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刻印の付与魔導師(エンチャンター)  作者: 大和・J・カナタ
第16章 エメアリア魔法国
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16-06 慟哭/助けて

これまでのあらすじ:ギルス帝国の暗殺者の中に、勇者タイシが居ました。

 勇者タイシ・タナカ。ギルス帝国の召喚した勇者で、セカンドジョブは斥候スカウトだった。

 ステータスはそれ程高くなく勇者最弱クラスだったはずだ。多少の魔物討伐くらいはやったのだろうが、錬成魔導師であるユウキと出会った頃のステータスとそう変わりはなかった。

 しかし、それはどうやら過去の情報らしい。


************************************************************


【名前】タイシ・タナカ

【種族/性別/年齢】人間(異世界人)/男/16歳

【国籍/階級】ギルス帝国/無し

【職業/レベル】勇者・暗殺者アサシン/Lv42

【状態】ヒュペリオンの加護(+100)・禁忌誓約ギアス

【ステータス】

 体力:78(+100)

 魔力:75(+100)

 筋力:76(+100)

 耐性:75(+100)

 敏捷:92(+100)

 精神:85(+100)

【技能】

 投擲術Lv11・気配遮断Lv10・暗器術Lv12

 火魔法Lv10・水魔法Lv10・風魔法Lv10・地魔法Lv10・光魔法Lv10・雷魔法Lv10

【称号】勇者・ギルス帝国の勇者・暗殺者・バルムンドの配下

【賞罰】無し


************************************************************


 明らかに強力な存在と化している。今のユウキに匹敵するステータスの持ち主だ。

 さて、気になる点がいくつかある。

 一つ目は斥候スカウトが何故、暗殺者アサシンになってしまったのか。

 最もこれはそこまで不思議な事ではない。ウチの婚約者の例があるからね。ジョブが上位ジョブや関連ジョブに転職シフトする事は、珍しいがあり得ない事ではない。


 二つ目は勿論、状態欄の“禁忌誓約ギアス”だ。

 名前からして穏やかではないのだが、ギアスと言われるとすぐ頭に浮かぶのが有名なアニメ作品。あれには複数のギアスがあったけど、この世界ではどんな扱いなのか?

 というか、僕が見た事も聞いた事も無い魔法なのだ。予想は付くけどね。


 そして三つ目……“バルムンドの配下”である。

 アヴァロン王国を襲った連中が使用していた遺失魔道具アーティファクトの製作者……その名前が“バルムンド・ギアブリッツ”だった。

 だとすれば、バルムンドが遺失魔道具アーティファクトをバラ撒き、アヴァロン王国襲撃を画策した黒幕の可能性がある。そして、タイシがそれに関わっていた可能性も……。


 兎にも角にも、まずは行動だ。

 僕は陰行の衣ステルススーツを身に纏い、銃剣に門弾ゲートバレットを装填する。更に銃剣に消音器サイレンサーを装着し、引き金を引いた。

 転移魔法陣の接続先は、プリシアの居る真上だ。女王であるプリシアの部屋は王城の最上階にあり、その上は尖塔になっている。その上ならば、気付かれずにエメアリア魔法国に行く事が可能だと判断したのだ。


 転移魔法陣を潜ると、そこは予想通り尖塔だった。足音を立てないようにその上に立ち、周囲の様子を確認する。

 プリシアや先代女王は自室で寝ているようだ。城の中では、側近や従者が下方階で動き回っている。そして、城の周囲……見張りの騎士や魔導師達が巡回したり、詰め所で待機しているみたいだ。

 一方、ギルス帝国の暗殺者達は一直線に王城へ向かっている。現在は王都上空を移動中で、真実の目プロビデンスの遠視を活用して目視出来た。

 気球のバルーン部分やカゴ部分は黒く塗り潰され、夜闇に溶け込んでいる。搭乗しているのは、やはり全員が暗殺者だった。


 タイシとオーギュスト・ヴィクトリアが乗る気球以外は、墜とすか。

 宝物庫ストレージからスナイパーライフルを取り出し、先程の消音器サイレンサーを装着。狙いを定め、引き金を引く。

 バルーンに穴が空き、気球が高度を下げ始めた。搭乗している暗殺者達は、突然の事態に上を見上げる。

 すると一目散にロープを下に垂らし、それを伝って降下を開始した。手慣れているな……余程の訓練を積んでいるらしい。


 すぐさま、残る五つの気球の内四つを狙撃する。しかし、既に自分達の乗る気球も狙われていると判断したのだろう、暗殺者達は一人残らずロープで降下していった。

 ミスったな、暗殺者自身を狙うべきだったか? 幸い、全員を目視しているので真実の目プロビデンスのマップで追跡が可能だ。

 さて……そうすると色々と聞きたい事もあるし、殺さずに済ませるべきかな?

 僕は宝物庫ストレージから、特殊弾を取り出す。

 強制転移弾と名付けたこれは、その名の通りに弾が命中した者を強制転移させる刻印付与を施した弾だ。


 まず、警戒しながらも王城に向けて真っ先に走り出したヤツから。バスッと間の抜けた音がすると、暗殺者の頭部に弾が命中する。

 弾が砕け散って白い光と共に転移魔法陣が展開され、それがひと際輝いた瞬間に姿を消した。

 展開される転移魔法陣は平面円形ではなく球形で、転移対象を取り囲む。魔法陣自体に守護の根源魔法アカシックレコードを用いているので、転移対象となった者は逃れる事は出来ない。

 うーん、それにしても夜闇に白い光は目立つなぁ。まぁ良い、次だ。


 そんなこんなで、次々と暗殺者達を狙撃して強制転移させる事、十分。

 残る暗殺者はタイシ・オーギュスト・ヴィクトリアを含めて六人まで減った。彼らは遮蔽物を利用して、慎重に王城へと接近しているようだ。

 これはもしかしたら、タイシから狙撃の可能性を示唆されたかな?

 さて、散々王城周辺で光が発生しているので、王城の兵士達や魔導師達も気付いたようだ。

 光が発生した方向を警戒しながら、臨戦態勢で飛び出していく。暗殺者達は遮蔽物の陰から木の上に登り、それをやり過ごそうとしているようだ。


 騒がしくなった外の様子に気付いたのか、プリシアがバルコニーに飛び出した。

「何? 何の騒ぎ……? まさか、ギルス帝国の……」

 その可能性は十分考慮していたのだろう、プリシアは円卓の絆ラウンドリンクを取り出す。

 アヴァロン王国……恐らくは、僕に連絡を入れるんだろう。それじゃあ、後ろから声をかけてビックリ&安心させてあげようかな。


 ……そう思った瞬間だった。

「……駄目」

 悲痛そうな声で、プリシアが呟く。手にした円卓の絆ラウンドリンクを握り締めて。

「ユートに甘えちゃダメ。私は女王で、彼は王……私達は対等の友人、それで良いんだから……」

 それは、まるで自分に言い聞かせるような独り言。

「これ以上迷惑をかけるわけにはいかない……私の国は、私が守らなければならないの……」

 呟いた後、プリシアは目元を拭う仕草をして部屋に戻った。

 ……出て行くタイミングを逸してしまった。


************************************************************


 寝巻から女王としての服に着替えた私は玉座の間へと向かった。扉を開けると、集まっていた側近達が私に頭を下げる。

 そう、私はプリシア・ヴァン・エメアリア。このエメアリア魔法国の新たな女王。

 ここに集まる皆……そして、この国で暮らす皆を守る為に、泣いている暇なんてないの。


 同じように、王としての経験が浅い彼を思い出す。

 初めて彼を見たのは、勇者ツヨシ・ホシノとシキ・ホシノを殺した理由を説明する集まり。同年代の男の子なのに、彼は堂々としていた。

 海千山千の王達を前に一歩も引かず、それどころか世界同盟に加盟していない数カ国を味方に付けてしまった。更には反抗する国の王を、視線と言葉だけで黙らせてしまう威圧感……彼が只者ではない事は、明白だったわ。


 でも、世界会議で言葉を交わした時……その時は、緊張でガチガチだった私を気遣うように優しく語り掛けてくれた。彼は晩餐会でも、私が他国の王達と馴染めるようにしてくれていたのに気付いた。

 ……嬉しかったの、とても。

 心奪われるなというのは酷でしょう? あんなに優しくて素敵で、それでいて王としても戦士としても大きな存在感を兼ね備える彼を、想うなというのは酷でしょう?


 でも、そんな芽生えた恋心は、決して叶わないと私は知っている。

 だって私は女王で、彼は王。互いに自分の国に責任ある立場だわ。

 私もいつかは魔法国の貴族か、他国の王子を婿として迎える事になるでしょう。

 だから……この想いは胸に秘めて、彼の幸せを願うだけ。それでいいの……そうしなければならないのよ。


 さぁ、女王としての責務を果たしましょう。私の愛する国、私の愛する民を守る為に、私達の戦いを始めましょう。

「部屋から謎の白い光を見たわ。何か情報は?」

 私の言葉に、側近達が跪いた。

「現在、光が発生した場所に兵士と魔導師を向かわせております。追って御報告出来るかと」

「上空から、黒い布のようなものが括り付けられた籠が落ちて来ました。昼間にギルス帝国の皇子が使用した乗り物と同種の物と考えております」

 やはり、ギルス帝国……昼間の報復かしら? それとも、私の拉致かしら。


「王都の民への被害は?」

「現在、巡視兵の駐屯所へ連絡役を向かわせております。しかし騒ぎにはなっていない為、王都城下でギルス帝国が暴れているような事態では無いかと……無論、確認は早急に」

 良かった、民は無事の様だわ。

「解ったわ。それではエメアリア魔法国女王として命じます。我が国に入り込んだギルス帝国の不埒者を連れて来なさい、生死は問いません。王城の防衛機構を全て作動させなさい、無粋な来訪者に我が国の力を見せ付けるのです」

「「「「「ハッ!!」」」」」

 私の言葉に、側近達は一斉に返答した。すぐさま立ち上がり、それぞれが己の職分を果たす為に走り出していく。

 ギルス帝国との……戦争が始まるのね。


************************************************************


 指示を下してから、二時間が経過した。次々と入って来る報告は、不可解極まりない事が多かったわ。

 例の白い光……あれが起こった場所には何も無かった。不自然なほどに何も無く、兵士達も注意しながら辺りを確認したそうだけれど、成果は何も得られなかったらしい。

 不可解な現象と言えば、もう一つ。灯りで照らして、あの空を飛ぶ乗り物を発見したらしい。数は六つ。

 その内の墜落した五つは、布の部分に穴が空いていたらしい。そもそも、何故布と籠で飛ぶのかしら。

 そう言えば、ユートが“ききゅう”と呼んでいたわね。もしかして遺失魔道具アーティファクトだったりするのかしら?

 でも、そうしたらユート以外に……遺失魔道具アーティファクトを製作する者が居る、という事にならない?


 ——瞬間、嫌な予感が胸の奥から込み上げて来る。

 遺失魔道具アーティファクト……現在の技術では再現できない、魔石を用いない魔道具。我が魔法国のみならず、魔法技術に長けたエルフ族ですら製法を解き明かせない世界の謎。

 今この時代に、それを解き明かした少年がいる。勇者と聖女の息子にして英雄達の愛弟子、ユート・アーカディア・アヴァロン。

 自ら製作した遺失魔道具アーティファクトを駆使して、世界に覇を唱える冒険者。そして、神竜から託された天空島に新王国を建国した、理想郷の主。

 もし……もしも、彼と同等の遺失魔道具アーティファクトを製作できる者がいたら?

 彼のように人々の為にではなく、自分の欲望の為に悪用する人物だったら? そんな輩が……今攻め込んできている、ギルス帝国の中にいるとしたら?


 背筋が凍る思い。嫌な予感が胸中を満たす。

 しっかりして、プリシア・ヴァン・エメアリア……私は女王なのよ。臣下に不安が伝染してしまうでしょう、そんな事で女王は務まらないわ。絶望なんてしている暇は無いの。エメアリア魔法国を守る為に、自分が何をすべきか……しっかり考えなさい。

 自分に言い聞かせながら、私は必死に闘志を燃やす。

 なのに、嫌な予感ほど的中してしまうらしい。


 ——ゴトリ、ゴトリ。

 玉座の間の開け放たれた入口に、二人の人間が転がり込んで来た。先程、私の指示を受けて持ち場に向かったはずの側近。

 ソルマー侯爵と、カラント伯爵。彼らは目を見開き、苦悶の表情を浮かべ……こと切れていた。

 誰がこんな事を……そんな陳腐な言葉を吐く必要はない。下手人……オーギュスト・ヴァン・グリーンベルがそこに立っていたのだ。

「グリーンベル……あなた……!!」

「お忘れか、エメアリア女王よ。私はこの国の侯爵だった男、城の防衛機構くらい熟知しているとも」

 五年前、エメアリア魔法国でも三本の指に入ると言われた男。確かに、彼ならばこの展開は有り得た。彼を警戒しなかったのは、明らかに私の判断ミスだった。


 更に、物言わぬ屍と化した側近達が無造作に転がされた。

「エ、エド……!!」

 ヴィクトリアと呼ばれていた女が、エドの死体を踏み付ける。

「次はお前がこうなるか?」

 鋭い目が私を射抜く。

 更に更に、先程まで私の前で動き、話し、生きていた側近達が……変わり果てた姿で次々と転がされていった。

「そ、そんな……!!」

 全滅……したの? 嘘でしょう?


「な……何故……どうして……!!」

 そんな私の慟哭に応えたのは、嘲笑だった。

「クククッ……決まっているだろう? お前のせいだよ」

 ヴィクトリアの愉快そうな声が、私の心を抉る。

 私のせい……? 違う、私のせいなんかじゃ……。

「お前が殿下に反抗するから、こいつらは犠牲になったのさ。お前が大人しく殿下の前に跪いていれば、こいつらは死なずに済んだのさ」

 私が……私が、ギャリック皇子の求めに応えなかったから? 違う、そんな。だって、そんな事をしたら……。

「お前を守るものはもう無い。今頃、先代女王も勇者の手で葬られているだろう」

 ……お祖母様が? 勇者に?  嘘……でしょう……?


 身体の震えが止まらない。どれだけ堪えようと思っても、目元が滲んで涙が溢れてしまう。

 寒い。怖い。痛い。辛い。誰か。

「た……け……」

 震える唇から漏れ出た、言葉にならない声。

「たす……け……」

 気付けば私は玉座じゃなく、地面に膝をついていた。

「たすけ……て……」

 駄目……その名前を呼んでは駄目なの……。

「ユート……助けて……!!」

 駄目なのに……!!


「あいよ」


 すぐ隣から、そんな飄々とした声が響いて来た。


************************************************************


 僕とした事が痛恨のミスを犯してしまった、後で猛省しなければ。最初の段階で、こいつらを全滅させられなかったのは僕の落ち度だ。某駆逐艦のように「何か落ち度でも?」と言えば、提督に「100%落ち度」と言われること請け合い。

 僕のミスに対する責任は、しっかり取らなければなるまい。


「……ユート?」

 涙を流してくしゃくしゃになっていたプリシアの顔が、呆気に取られたものになっていた。そりゃ、驚くよね。

 ちなみに出待ちをしていた訳ではない。勇者タイシが到着する前に、先代女王を安全地帯へ避難させていたのだ。

「先代は僕が安全な場所に避難させている。これ以上、こいつらの好きにはさせないって約束する……だからプリシア、“俺”を信じろ」

「ユート……うん…………うんっ」

 絶望の中に見えた希望、プリシアの顔に生気が戻る。


 これ以上、彼女を苦しめさせたりはしない。

 その為にも、まずやる事がある。両手に銃剣を構え、引き金を引く。連続する発砲音、薄暗い玉座の間を照らすマズルフラッシュ。

 その銃撃が自分達に向けられたものと判断したオーギュスト・ヴィクトリアが横跳びにその場を離れる。馬鹿め、お前達など眼中にない。

「えっ!? な、何を……!? あ、あれ……?」

 まるで普通の少女のように慌てふためくプリシア。そりゃあ、助けに来たはずの奴が死体を銃撃したら驚くよね。しかも、その死体が忽然と消えたんだから、驚きは倍増だよね。

「これ以上彼らを傷付けられたら溜まったものじゃないんでね。悪いが引き取らせて貰った」

 そう、撃ったのは収納弾だ。彼らの死体は宝物庫ストレージで丁重に保管しておく。

「……面妖な!」

「昼間の借り、返してくれる!」

 さてさて、もう誰彼憚る事は無い。


 ナイフを手に接近してくるヴィクトリア。成程、随分と動きも滑らかだし、早さも申し分ない。

「さぁ、懺悔の時間だ」

 だが、それでも足りない。ヴィクトリア以上の速さで動いた俺は、その眼前へと肉薄する。

「なっ!?」

 ……雑魚が。その腹に痛烈なヤクザキックをぶち込む。

「ぐぇっ……!?」

「暗殺者風情が正面から突っ込んで来るとは、阿呆かお前。コソコソ隠れて隙を突くしか能が無いんだったら……」

 更に、その顔面に右拳を叩き込む。容赦なく打ち込んだおかげで、鼻の骨が砕けた。

「ギャアアァッ!?」

「隅っこでコソコソしておけばいいんだよ、このゴキブリがっ!!」

 そのまま、側頭部に回し蹴りを繰り出す。玉座の間の壁に激突し、ぐったりしたヴィクトリア。既に意識を手放した後だろう。


「ば、馬鹿な……暗殺者として幼い頃から鍛えられてきたヴィクトリアが……貴様は情報によれば付与魔導師のはず! なのに、何故そんなに……!!」

「黙れよ」

 容赦のない殺気を叩き付けて、もう1匹の害虫を黙らせる。

「ぐっ……ひっ……あ……」

 呼吸をするのも忘れる程、殺気に充てられて震える害虫オーギュスト

「貴様の様なクズに、懇切丁寧に俺の事を教えてやる義理は無い。理解したか? したなら黙って人生終了のお知らせを待っていろよ」

 そのまま予備動作の無い抜き撃ちで、ゴム弾を眉間にブチ込む。殺気により全身が緊張状態の所へ、ゴム弾による脳への痛烈な衝撃。あっさりとオーギュストも意識を失った。


 さぁ、残るは一人だけだ。

 ステータスにものを言わせて瞬動並みの速さで移動し、プリシアのすぐ側で急停止。そのままプリシアを片腕で抱き抱え、彼女の背後に立つ人影に向けて銃剣を横薙ぎに振るう。

 銃剣の刃に重ねられた刀。一瞬散る火花。

「あーあぁ……出来れば会わずに済ませたかったのにさあぁ……」

「そうつれない事を言うなよ、タイシ・タナカ」

 プリシアの背後に迫っていた勇者タイシと、至近距離で睨み合う形になった。

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