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刻印の付与魔導師(エンチャンター)  作者: 大和・J・カナタ
第8章 ジークハルト竜王国
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08-03 竜王国での夜/大迷宮へⅡ

これまでのあらすじ:ジークハルト竜王国の王都に到着しました。

 王都の門を潜った僕達は、竜王陛下が待つ王城を目指す。

 遠くから見える王城は、いかにも! って感じの城だな。円筒状の塔があり、そこには見張りの兵士が居る。中央の城本体の塔も円筒状の塔になっているが、三角錐の屋根があり、その頂点部には竜王国の旗が建てられている。

 質実剛健って感じの城だな、竜王陛下らしいと思う。いや、こういう城で育ったから、竜王陛下もあんな方になったのかもしれない。


 王城へ向かうと、すぐに応接室へ通された。

「謁見の間じゃないんだね?」

 そう言うと、皆に呆れた顔をされた……エイルまでっ!?

「先輩、謁見というのは目下の者が目上の人にお目に掛かる事を言うんですよ」

「いや、それは解っているけど」

「……王様同士、対等」

 ……あ。

「そっか、同盟国の王様同士なんだから、対等の関係なんだよな……」

 今まで、謁見をお願いする立場だったから忘れていたわ。


「何て言うか、ユート君は良い意味で王様らしくないわよね、親しみを感じるというか」

「ユーちゃんは寛大なので、悪意が無いならばズバッと言って大丈夫ですよ?」

 キリエの言葉にマナは頷いて、僕を真っすぐ見て言う。

「ユート君って、抜けてるよね」

「本当にズバッと来たな!!」

 良いけどね、自覚あるし。


「そもそも勇者とは言え、仕官する者にそんな事を言われて怒らない所などは、確かに王らしからぬ気はするがな。しかし、それもアヴァロン王の魅力だろうよ」

 おっ、竜王陛下がいらっしゃった。この応接室、扉なんかは無いから来たのに気付かなかったよ。マップ見ろって話だよね!


「どうも、先日は落成式へのご出席ありがとうございました、竜王陛下」

「こちらこそ、素晴らしい落成式に出席できて楽しませて貰ったよ。今宵は、こちらがもてなす番だ。楽しみにしていてくれ、アヴァロン王」

 握手を交わしながら、和やかに話す。


 そして、竜王陛下の視線はエイルへ向かう。

「こんにちは、フレズおじちゃん」

 その場に居た竜人族が、例外なく目を剥いた!! そりゃあ、この文武両道・清廉潔白を絵に描いたような竜王陛下を相手に、おじちゃん呼ばわりする幼女が居るとは思うまい。


「し……いや、エイルちゃん、よく来たね」

 神竜と呼びそうになるも、その事は秘密なのでおじちゃん顔になる竜王陛下!! 側近達は口を半開きにして呆けている!! 

「あわわわ……」

 兵士達や侍女達は顔を蒼白にして、竜王陛下とエイルを見比べている。しかし、竜王陛下もエイルも一向に気にする様子は無い!! よし、僕も気にしない事にしよう。


「アヴァロン王、我が国の王妃と子供達を紹介しよう。こちらが妻のティファニエル。そして我が国の第一王子ジオルギウスと、第二王子グラムシェルだ」

「ティファニエルと申します。ようこそアヴァロン王国の皆様、ジークハルト竜王国へ」

 ティファニエル王妃は、紅い髪の毛を靡かせた美女だった。少々布面積が少ないドレスを身に纏っており、均整の取れたプロポーションが強調されている。


「ジオルギウスと申します。お目に掛かれて光栄です」

 片方の肩を露出させた民族衣装に、ズボンという服装の青年。彼が第一王子のジオルギウス殿下だ。

 髪の色は竜王陛下と同じ白金で、これは今は亡き白金竜の血族の証らしい。


「……グラムシェルと申す、よろしく頼む」

 第二王子のグラムシェル殿下も同じ白金の髪の毛。その出で立ちは上半身裸にベストと、ワイルドな感じだね。

 この第二王子だけ、こちらに対して何か引っ掛かる感じだ。まぁ竜王国の王子だからね、きっといい人だろう。うん、その内打ち解けられるさ。


「そうだ、アヴァロン王。後程リンドヴァルムが妻と子を連れて来ると申しておったぞ」

「えっ、リンドさん結婚してたの!?」

 初耳だよ!! 

「ほう、知らなかったのか? 確か息子は、アヴァロン王と同じ年の頃だったと思うがな」

 へぇ……息子いるのか。仲良くなれるかな。アヴァロンの中核メンバーって女性率高いから……男友達は増やしたいんだよね。

 勇者と聖女の子と、竜人族の英雄の子、境遇も似ているしな。


************************************************************


 その日の夜、僕達は歓迎の宴に招待された。

 竜王国の重鎮達が挨拶に来たり、竜人族の伝統舞踊等を見せて貰ったりと、賑やかな時間を過ごす。竜人族は皆、礼儀正しく高潔な人が多いね、接していて気持ちが良いよ。

「竜の目は未来を見通し、竜の牙は敵を噛み砕き、竜の爪は道を切り開き、竜の翼は明日へ羽ばたく為に。王竜に伝えた精神は、しっかり竜王国に受け継がれているわね」

「お前がそう仕向けたんかい!」

 しかし、グッジョブである。


「明日には大迷宮ですからね、しっかり英気を養って下さいね」

「そうですね、今回はユート様の付与魔法にお世話になると思いますから」

 デバフ系の効果があるダンジョンらしいからな。魔力回復の魔法薬や、疑似魔石もたくさん用意したし、装備も改良して魔力消費量を抑えたりと頑張ったし。

 皆のためにも、待っている仲間達の為にも気合を入れなくてはなるまい。


 ……


 そんな中、僕達はある一家と対面していた。竜騎士リンドヴァルムと、その家族である。

 奥さんの名前はクラリッサさん。琥珀の部族の出で、透き通るような金髪が特徴的な美人だ。


 そして、そんな二人の息子さん。鍛えられた体躯、金髪にメッシュのように交じる蒼い髪。竜戦士の、フリードリヒだ。

「お初にお目にかかります、ユート・アーカディア・アヴァロン陛下。私はリンドヴァルムとクラリッサの息子で、フリードリヒと申します。フリードとお呼び頂ければ僥倖です」

「初めまして、フリード。今は、立場は脇へ置いてしまおうか。リンドおじさんの息子なら、従兄弟みたいなものだろ? 気楽に接してくれると嬉しいよ」

「はっ、ですがこれが素でして」

 リンドおじさん、どんな教育方針だよ! 自分は寡黙なくせに!


 さて、宴の際にある発表がなされた。第二王子グラムシェル殿下率いる竜人族の攻略部隊が編成され、僕達と同タイミングで大迷宮攻略に乗り出すのだと言う。

「アヴァロン王国のみに大迷宮攻略を達成されては、竜王国の名折れ! 我々竜人族は心身ともに鍛え抜かれた、覇者の種族である事を証明しようではないか!」

 声高らかに、攻略部隊を鼓舞するグラムシェル殿下。

 ははぁ、それでか。グラムシェル殿下が僕に対して取った態度は、ライバルに負けないぞという事だろう。


「アヴァロン王、我々は必ずや大迷宮を突破してみせよう」

 自信に満ちたグラムシェル殿下に、僕は頷く。別に競争をするつもりは無いし、竜人族が踏破する事に対して、含むものは何もない。

「竜の血を引き、己の強さに慢心せずに高潔であろうとする竜人族の精鋭部隊ならば、きっと大迷宮に通用するだろう。貴殿らに習い、我々も気を引き締めねばならないな」

 僕からそんな言葉が出たのが意外だったのか、グラムシェル殿下は目を丸くした。


「竜王陛下から話を聞いているとは思うが、悪魔族に対抗する術として概念魔法アカシックレコードは非常に有用だ。そして貴殿等ならば……誇り高き竜人族の戦士達ならば、力に溺れる事無く愛するものを守る為に、力を振るう事が出来るだろう」

 僕の言葉に、会場の竜人族達が歓声を上げた。


「グラムシェル殿下、互いの健闘を祈ろう」

 僕の差し出した手を見て、グラムシェル殿下は一瞬呆け……そして、僕の手を握り返した。

「アヴァロン国王陛下。互いに大迷宮踏破を目指し、頑張ろうではないか!」

 素直で、やっぱり良い人だったね。力強い握手と同時に、会場から盛大な拍手が起こった。


 ……


 そろそろ、宴も終わりかな? と思っていたら、マリアンヌさんが声を掛けてきた。先程までとは違い、紅玉竜の血族である証……紅の長い髪は後ろで一括りにしていた。

「失礼致します、アヴァロン王」

「これはマリアンヌ殿」


 しかし、この国って本当に……何で布面積少ないんだろ。

 マリアンヌさんの纏う衣装はシースルーになった腰布やベストがあるものの、ビキニやん。スタイルも良く、胸のサイズはアリスといい勝負だ。

 目の保養とは言うが、婚約者達が居る僕としては目のやり場に困る。

「明日からは攻略ですね。私は王都でお帰りをお待ちしています」

 おや、待っていてくれるのか。


 そこへ、グラムシェル殿下がやって来た。

「アヴァロン国王陛下。是非参考までに、魔王国の大迷宮を踏破なさった陛下のお話を聞かせて貰えないか?」

「まぁ、流石は殿下。勤勉ですのね」

 にこやかにそう告げるマリアンヌさんだが、グラムシェル殿下が微妙そうな顔をする。どうしたんだろ? まぁ良いか。

「僕は勿論構わないよ」

「それはありがたい。兄上もどうでしょうか?」

 グラムシェル殿下に話を振られ、ジオルギウス殿下も頷く。

「確かに、アヴァロン国王陛下の武勇伝は聞き及んでいるが、ご本人からお話を伺える機会などそうそうあるまい」

 僕としてはこれをきっかけに、仲良くなれないかな~という打算もある。


「しかしマリアンヌ。猫を被り過ぎではないか? 違和感が凄いぞ」

「なっ……他国の、それも世界同盟の盟主たるアヴァロン王が来るから、おしとやかにしろって言ったのは兄さん達じゃない!」

 被った猫がログアウトしました。周りの竜人達は苦笑している。

「マリアンヌ殿は、活発な方なのだな」

「ハッ!! い、いえ……その……」

 顔を赤らめて視線を泳がせるマリアンヌさんに苦笑し、僕は一つ提案をする。


「そうだ、殿下方。よかったら僕と友人になってはくれないか?」

「え? あ、はぁ……構いませんが」

「……うむ、俺は構わぬぞ」

「マリアンヌ殿も、どうだろうか?」

「わ、私もよろしいのですか……? そ、そうですわね……では、よろしくお願いいたします……」

 よし、了承が得られたね。


「じゃ、ここからは友人として会話しようか。普段はこんな感じの口調だから、そちらも普段通りの喋り方で接してくれると嬉しいよ」

 僕の口調の変化に、三人はポカーンという擬音が出そうな表情をして……そして、笑った。

「解った、しかし何と呼べば良いのかな」

「普通にユートでいいよ。イングヴァルトやミリアン、ヴォルフィードの王子や皇子・皇女殿下達もそう呼んでいるからさ。あぁ、あと魔王もね」

「「「は、はぁ……」」」

 三人は、世界同盟の参加国全てと、気安い関係を築いている事に顔を引き攣らせる。


 気を取り直したのか、切り出したのはグラムシェル殿下だった。

「……では、ユートと。あぁ、確かにこの方が呼びやすいな」

「だろう?」

 軽い口調で返事をすると、グラムシェル殿下は苦笑した。

「じゃあ、私はマリアって呼んで貰いたいわ」

「そうだな、私もジオと呼んで貰えるか?」

「では、俺はグラムで構わない」

 うん、彼らのフルネームよりも、愛称で呼ぶ方が良いな。親しみを込める意味でも、呼びやすさ的にもね。

「了解、改めてよろしくね、ジオ・グラム・マリア」

 改めて、僕は三人の新たな友人達と握手を交わした。


 ……


 盛大な宴の後で、僕達は王城の中庭にあるテラスに案内された。夜空を見上げると、満天の星空が見られる。

 婚約者達にユウキとマナ、エイル……そして、折角だからフリードも連れて来たよ。友好の輪を広げるのは、良い事だ。 

 案内された時には、既に酒や果実水等が用意されていた。王城の侍女達が用意してくれたんだろうな。星空の下で宴会か、星見酒だね。


「さて、じゃあユート。早速、大迷宮の話を聞かせて貰えるか?」

 そう切り出すグラムだが、マリアがそれに待ったをかける。

「その件も聞きたいけど、折角だから旅の話を色々聞きたくない? 父上に聞いたんだけど、元々は冒険者なんでしょ?」

「最近は冒険者として活動出来てないけどね」

 そう言って、僕は銀級冒険者のライセンスカードを見せる。

「最後に冒険者として活動したのは、いつでしたっけ?」

 いつだっけ。そんなアリスの疑問に答えたのはアイリだった。

「クエスト王国のカルネヴァーレ以来では無いでしょうか?」

 あぁ、そっか。

「まぁ、その話は後でかな? 時系列に沿って話す事にしようか」


 ……


 イングヴァルト王国での活動。

 ミリアン獣王国での騒動。

 アーカディア島の発見と神竜の試練。

 アルファからの依頼で旅立ったヴォルフィード皇国。

 クエスト王国での魔物の大量発生事件。

 オーヴァン魔王国への出発と、勇者との出会い。

 そして魔王国のアヴリウス大迷宮の攻略。

 大迷宮攻略の後に起こった、先代魔王軍の侵攻と撃退。

 そして四カ国会談と、世界同盟の発足に伴うアヴァロン王国建国。

 メグミからの要請を受けて向かった、クロイツ教国での大立ち回り。

 時折キリエ達が補足しつつ、これまでの旅の話を語る。


 ……


「とまぁ、僕達のこれまでの旅は、こんな所かね?」

 四人の表情は盛大に引き攣っていた。うん、まぁそうなるよね。

「……じ、事実なのか? それ」

「事実だよ?」

「凄いわね、正に英雄譚って感じだわ」

「あぁ……何と言うか、言葉が出て来ない」

「凄まじい活躍ぶりです、アヴァロン国王陛下……」

 大体、この辺の説明をするとそういう反応をされるからね。もう慣れたよ。


「そういえば、マリアがさっきグラムを兄さんって呼んでいたけど?」

「あぁ、私は殿下達とは従兄妹なの。だからかしら、昔からプライベートでは兄さんって呼んでいてね」

「成程、そういう事情があったんですね」

 ユウキがうんうんと頷いている。

 その後も、杯を交わしながら話に花を咲かせる。気付けば僕達は、結構な時間まで飲み続けていた。


************************************************************


 翌日、竜王国の王城に一泊した僕達は、いつもの冒険者装備で集合する。

 竜王陛下や直臣の面々、更には話を聞き付けた民衆までもが集まって、僕達やグラム率いる攻略部隊に声援を送ってくれる。何か有名人にでもなった気分だよ。

「凄い人数だな」

「えぇ、それだけ大迷宮攻略に対する竜人族の関心が高いのでしょう」

 折角見送りに来てくれているので、僕達はあえてメイン装備を持った状態。

 ちなみに、勇者の三人はメイン装備の代わりに、神授の装備を持っている。メグミは聖盾、マナは聖杖、ユウキは聖杯だ。


「我々竜人族の攻略部隊と、アヴァロン王国の国王陛下率いる精鋭達の出陣に集った民よ、聞け!」

 竜王陛下の声が、広場に響き渡る。凄い声量だな。

「彼等は邪悪なる悪魔族に対抗するための力を求め、これより苦難の道へと向かう! しかし我は信じる、彼等ならば必ずや大迷宮を突破し、明日を照らす希望の光となるであろう! 我が民よ、我等の希望の光を讃えよ!!」

 盛大な歓声と拍手に見送られ、僕達はジークハルト竜王国の大迷宮を目指して移動を開始する。僕達の姿が見えなくなるまで、歓声は止まなかった。

 ……


 大迷宮入口まで、徒歩で三時間ほどかかっただろうか。

 地の底へ誘い込むように、大きな縦穴が口を開けている。壁沿いに中へ入るための通路のような足場があり、道具がなくても入る事が出来るようだ。

「では、我々は先に入らせて貰う。アヴァロン王、ご武運を」

「殿下達も、武運を」

 攻略は公的な場なので、互いに王族としての口調で応対だ。


 僕達は、竜王国攻略部隊に先陣を譲る。これはグラムから言い出した事だ。別段、対抗意識とかではない。

 曰く、自分達の方が人数は多いので、危険をある程度排除できるだろうという判断だ。折角善意で言ってくれているので、僕達はそれを了承した。

 最も、マップが使えるからね……また、攻略本片手のダンジョンアタックになりそうだ。

 やはり、自分の作り出した遺失魔道具アーティファクトの中でも“真実の目プロビデンス”はやり過ぎた気がする。まっ、活用するんだけどね。


 竜人族部隊が攻略を開始して、三十分程。

「……さて、マップも確認出来たし、僕達も向かうか」

 正直、正規ルートを通れば一日半くらいで踏破出来そうだ。無論、迷宮内の魔物の強さにもよるんだけどね。

「ここからが本番だ。大迷宮探索を開始するにあたって、配置をここで決めておく」


 しかし、それに待ったをかける者が居た。

「お兄ちゃん……大迷宮での戦闘や探索に、私は関われないの。戦力外として考えておいて貰えないかな」

 エイルがそんな事を言い出したのだ。

 少し考えるが……まぁ、良いだろう。正体が神竜でも幼い少女だし。


「解った、戦闘時は下がっているんだよ」

「……理由を聞かないの?」

 不思議そうに問いかけるエイルに苦笑する。

「エイルがそうしたいんだろ? そして、それには何か大切な理由があるんだろ? それなら、お兄ちゃんとして受け入れるさ」

 その言葉に、エイルが抱き着いてくる。

「ありがと、お兄ちゃん」

 その黒髪を優しく撫で、僕は気を引き締め直し、配置を指示する。


 ……


 前衛はエルザとメグミの鉄壁コンビ。続いて速攻が出来るキリエとアイリ。

 その後に、アリス・リイン・クリスの魔導師組。続いてユウキとマナの勇者コンビに、今回は同行のみのエイル。殿に僕だ。

 僕が最後尾に居るのは、マップを確認しての指示が出せるポジションが望ましく、加えて言うなら挟撃を受けても、背後の敵は僕一人で処理できるからだ。神竜の加護があるしね、それも+200の。

 誰も異論は言わなかったので、そのフォーメーションでダンジョンアタックを開始する。


 通路を降りていく中で、僕は異常に気付く。

「あー、デバフかけられてるな、確かに」

 ステータスを確認しながら進んでいたのだが、前情報通りにステータスダウンのトラップがあるようだ。どうやら、通路の途中にデバフをかける魔法陣が、巧妙に隠されていたらしいな。

 ステータスチェックをしないならば、徐々にステータスが下げられても違和感には気付けないだろう。中々に厭らしいトラップだな。


「どうしますか?」

「魔物の接敵前に解呪ディスペルするから大丈夫だよ、無視して進もう」

 そう、デバフもバフも、解呪ディスペルで無力化出来る。そうすれば、後は地力の勝負だ。


 更に言えば、通路に隠された魔法陣は”真実の目プロビデンス”で見る事ができた。一度、一通りの魔法陣を目視できたならば、僕の目で簡単に見抜けるようになる。マップで確認すれば何処に何の魔法陣が隠されているかが僕には解るのだ。

 それを説明すると、婚約者達とエルザは苦笑い。ユウキとマナは、目を丸くしていた。


 さぁ、攻略の時間だ。

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