第2話 彼女が欲しい
「高校では彼女できるかなぁ」
注文を終え、一口水を飲むと、頼輝は不安そうな面持ちで切り出した。
「ヨッシーはいつもそのことしか考えてないだろ」
「いい加減俺にも彼女が欲しいぜ…」
中学校時代から、頼輝には彼女ができない。
瑛一は頼輝は比較的かっこいい方だと思っているのだが、優しくされるとすぐに好きになってしまう性格ゆえに、いい出会いに恵まれないのだ。
「まあまあ、きっとできるさ」
かくいう瑛一にとっても、少し欲しいと思う瞬間はある。
「彼女、ねぇ…」
そうつぶやきながら、コップを口に運ぶ。
その言葉を待ってましたとばかりに頼輝が冷やかしにくる。
「すぐ別れっちまったもんなあ」
「ぶっ」
思わず水を吹き出してしまった。意外な心の傷もあるものだ。中学時代、一度だけできたことがあるのだが、うまくいかず、すぐに別れてしまった。瑛一にとっては初めての経験ゆえにうれしかったが、どう接すればよいのかわからず、結局は音楽一本調子がたたって別れてしまったのだ。
お手拭きでテーブルを拭きながら、答える。
「そのことは、ふれるな」
「何動揺しちゃってんの?ピュアだねぇ」
嫌味交じりに笑いながら、頼輝が煽りにくる。
くっ…。
「…ヨッシーこそ彼女できたことないくせに。すぐ好きになって告白して振られるくせに」
悔し紛れに英太がつぶやく。こうかはばつぐんだ。
「それをいうな」
「何動揺してるんですか頼輝さん?」
「今度こそ成功してやるかんな!」
「はいはい…」
頼輝は躍起になっていたが、英太はなにかいつもと違うものを感じたような気がした。
いや、久しぶりにこんな話したからかな。
ちょうどそのタイミングでラーメンが届く。待ってましたと言わんばかりに頼輝は飛びつき、一心不乱に食べ始める。
「うめえ!」
相変わらずの食いっぷりだな。
そんな頼輝をよそに、瑛一も、ゆっくりと、それでも豪快に食べ始めた。
昨日に続いての投稿です
読んでいただきありがとうございます
今回は話の都合上短くなってしまいすみません!