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譜めくりの恋  作者: ゆぶ
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第6小節



 いつの間にか寝ていた。

  

 スマホを見るとどうやら1時間ほど眠っていたようだ。


 ベッドは演奏会のあいだにメイクは済ませておきますからね、と島田さんはいっていた。


 演奏会がはじまるまではお食事などお部屋にいらっしゃらないときにでも、ということだった。


 部屋をでたら、どこにいくにもフロントは通らないといけないのでそれでわかるのだろうと思った。


 泊まり客ではないので手間はかけられない。


 ツインのベッドは交互に使わないと。


 だから最初にどちら側のベッドに寝ようか、これも指でどっちにしようかなと選んで、結果壁側のほうになった。


 窓を閉めてからエイッと飛び込んで横になった。


 そしたら、寝てた。


 部屋はこんなに明るかったのによく寝れたなと思った。


 窓のカーテンは閉めない。


 家でもそう。


 昼寝するときはたいていアイマスクをする。


 あっ、アイマスク持ってくるの忘れた。


 リクエストカードというものがあって、それに欲しいものを書いてフロントに渡しておけば翌日には部屋に届けておいてくれるというシステムになってるらしい。


 アイマスクと、わたしはまずデスクの上にあるリクエストカードのいちばん上の欄に備え付けのペンで書いた。


 カードはだいたい50枚ほどがゴムで束ねてあった。


 そのとなりにはおなじ枚数ほどの封筒があった。


 リクエストカードはその封筒に入れて封をして渡す。


 封をあけるのはわたしか、他の女性スタッフだけだから安心してほしいと島田さんはいってくれた。


 リクエストカードの説明のついでに島田さんに聞いたけど、近くにコンビニはないとのことだった。


 そういえばバスで来る途中、一軒家やマンションはあったがお店らしい建物は見かけなかった。


 しかも森を抜けると、そこにはもうホテルしかないような雰囲気だった。


 Tシャツにホットパンツ姿になっていたわたしは、脱ぎ捨ててあった服を入口付近のフックに掛けてあったビニールの洗濯専用袋(島田さんは確か英語が入った別の言い方をした)に入れて、掛けてあったところの真下の床に置いた。


 それから、わたしは何げなく窓から外を見た。


 窓に立つ位置をずらしてゆくと、ある位置にきたら木々のあいだから桟橋全体をくっきりと見ることができた。


 その角度から見るとちょうど木々の幹がおなじように揃って曲がっていて、そこだけぽっかりと空間ができ、それで向こうの桟橋まできれいに見通せるかたちとなっていた。


 そこに、ひとりの男性が立っていた。


 演奏会のチラシとおなじ服装。


 すらっとした背格好。


 間違いなかった。


 わたしは素早くワンピースに着替えた。


  


 

 



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