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譜めくりの恋  作者: ゆぶ
27/95

第27小節



 雨音で目覚めた。


 予報がそうだったので窓は閉めてあった。


 一瞬、ここがどこなのかとまどった。


 自宅の部屋のはずなのに、様子がちがう、と。


 ああ、ホテルの部屋かと、すぐさま理解した。


 何だか、むしょうに家に帰りたかった。


 雨のせいなのかな。


 家からはなれた日にちのせいなのだろうか。


 わたしは最初のホームシックにかかったようだった。


 ベッドからからだを起こして、スマホを手にした。


 7時をまわっていたからもう母は起きているはずだった。


 電話した。


 母がでた。


「おはよう」

 とわたしはいった。

「あら、どうしたの?」

「ううん。何でもないんだけど、朝だから、おはようっていおうと思って」

「帰りたくなったんでしょ」

「何でわかるの」

「声でわかるわよ」

「へえ~」

「元気なの?」

「うん元気」

「で、どうなの?」

「ん? 何が?」

「アルバイトよ」

「ああ」

「すっかり観光気分なんじゃない?」

「そんなことないよ」

「まあ、それならそれで安心なんだけど。どう? やれそう?」

「譜めくり?」

「そう」

「何とか」

「よかった。えっ、何?」

「何?」

「ああ、お父さんが」

「何? うん。うん」

「お母さん? もしもし」

「あっ、ごめんなさいね。何かお父さんが腹巻きちゃんとしておきなさいって、雨だから」

「ああ」

「あなた雨だとあれになるから」

「そうね。うん。わかった」

「お父さんわかったって!」


 わたしは吹きだしてしまった。


 少しあけた窓の向こうのグレイの雲間から、ちょっとだけ淡いブルーがのぞいていた。

 

 

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