第26小節
月刊「音楽室」インタビュー(一部抜粋)
「あはは。ぼくはあえて沈黙していたわけではないんです。あの三年間の熱にうなされたような創作活動のあと、ぼくはクールダウンのあと無になってしまったんです。そう、まるで空っぽの状態になってしまった。ほんとうにその言葉どおりで、なんにも考えられなかったし、もちろん曲も、ワンフレーズのメロディーさえも思い浮かびませんでした。まあ、なんにも考えられなかったというのは、急かされるような、あるいは決断を迫られるような、そういったレベルでの、考えなきゃいけないことがなにもなかったという意味であって、それはある意味ぼくにとってはしあわせだったのかもしれません。ああ、念のため言っておきますけど、今日はなに食べようとか、どこに行こうとか、もちろん人間ですからそういうことはちゃんと考えてましたよ(笑)」
「そうですね。まあ、やっと、意識がピアノに向いてきた感じですね。で、いきなり曲を作れるかっていうと、そういうものでもない。飛び立つには滑走路が必要なわけで、いわば今回の演奏会はそれにあたると思っています。自分があの三年間になにを作ったのが、あらためて知る必要があるように感じていて。検証っていうとおおげさになりますけど、やっぱりそれをしておかないとその先には行けないなって。それがきっと、ファンの方が望んでいるものにつながってゆくだろうし、その先にこそ、あらたなメロディーは待っていてくれているんだと思うんですよね」
「構想ですか? そうだなあ。まあ、海、空、風ときたから、つぎは夢とか、希望とか、そういったタイトルにしよっかなと思ったりしてますけど。あっ、タイトルありきなんですよぼく。タイトルがみちびいてくれるってゆうか。作りあげてからは曲にタイトルつけられないタイプでね。どれもちがうような気がしてけっきょくつけられずもんもんとするってゆうね。そうやってタイトルもつけずに作った曲はいまでもタイトルは無題です(笑)そう、無題1とか2とか。無題8まであるんじゃないかな? それでアルバムだしてもいいくらいですね。いやだしませんけど。なんかね、無題じゃ曲に対して申し訳ないってゆうかね。まあ、じぶんでそうしておいてそういうのも変な話かもしれませんけど。でもいつか、これだってタイトルが思いつくときがくると思うんです。そうなったらアルバムとしてだしてもいいかなって考えてるんですけどね。ええ。ああ、それらはたとえ日の目をみないとしても、もとになってますからね。そうです。もとになっているんです。海、空、風のね。あっそっか。なんかタイトルの方向性がいま見えた感じがしました。ありがとうございます(笑)」
「ええ。そう、演奏会というかたちにしたのは、やっぱり、お客さんの反応というか、空気感というか、放たれた音がどんなふうに響いて、どんなふうに反響するのか感じたかった、というのもあります。それって、たぶん、自分が作ったものが、いったいなんだったのかっていうの知る、いちばん正しい方法だと思うんですよね。CDの感想や批評とはまたちがう、そう、言葉にできない感覚っていうのかな。それがいま、ほんとに必要なんですよね、ぼくには、うん」
「メッセージですか? うんと、そうだな。お待たせしていたらごめんなさい、ですかね。もちろん、ファンの方からの声は届いてますよ。それになんとか応えたい想いなんです」




