第15小節
朝食があまりにも美味しかったので食べすぎた。
やっぱりなんて笑ってみたけど、すぐに悲しくなった。
おなかが苦しいので部屋で少し横になろうと思った。
そこへいつの間にか支配人がきていった。
「おはようございます」
わたしは立ってあいさつすべきではないかと思い、立とうとしたけど支配人にどうぞそのままでと制止された。
立ちかけたわたしは頭を下げてから座っていった。
「おはようございます」
「昨夜はよくおやすみになられましたか?」
「はい。ぐっすりと」
「何よりです。ベッドや枕のかたさはいかかですか?」
「あ、ちょうどいいです」
「そうですか。気になることはわたしでも島田のほうにでもいって下さいね。あ、それから野崎様より楽譜を一式届けてほしいとのことでしたので、それをさきほどお部屋のほうに」
「わっ、助かります。ありがとうございます」
「いえ。では」
「どうも」
支配人は去っていった。
部屋にもどったわたしはすぐにリクエストカードに自戒をこめて胃薬と書き足した。
楽譜一式はリクエストカードが置いてあるデスクの上に置かれてあった。
そのとなりには1枚の今後のスケジュール表も。
それが正式にアルバイトが成立したようなしるしに思えて、うれしかった。
使用中のベッドのほうで横になってリモコンでテレビをつけた。
ちょうど天気予報をやっていた。
ある町の最高気温がぬりかえられたらしい。
あの陽射し。
どうりで。
わたしはおなかをさすりながらテレビを見ていたらうとうととしはじめていた。
テレビの音量を小さくした。
アイマスクのかわりに左腕で両目をおおった。