表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終端の魔術師と破壊の遺子  作者: イベリア
第一章「アークウィザード」
3/8

第二話「入学式」

「しかし、驚いたなぁ。ディーがアークウィザード候補生が……柄じゃ無いよな?」


 中央魔術院の前、二人は軽口を叩き合っていた。


「先輩こそ、先生は柄じゃ無いだろ?」


 二人して違い無いと笑ってから中央魔術院の門をくぐる。


「じゃあ新入生は向こうだ、俺は教職員だからこっち。お互い頑張ろうな。」


 アレンはそう言ってディーに手を振った。


「先輩こそ頑張れよ。」


 そう言ってディーも手を振り返した。


 ディーの目の前には中央魔術院アークウィザード科の扉が立ち塞がる。それはこの国で最も狭き門の扉、アークウィザードになる可能性を秘めた魔術師のみが通ることを許される扉だ。


 そのせいで何の変哲も無い木の扉が彼にはまるで鉄城門のように見えた。意を決し、扉を押すとそれはあまりにあっけなく開いてしまった。


 門の中に入ると中にはアークウィザード科の生徒と思われる僅か10名の生徒と中央魔術院の5代目学長であるエルム・モーガンが居た。


「ようこそ、君が最後だディー・クラーク君。揃ったところで早速入学式を始めようと思う。」


 学長はそう言ってディーを歓迎し改めて話し始める。


「知っているかと思うが私は学長のエルム・モーガンである。今年もアークウィザードに成りうる学生をこんなにも沢山迎え入れることができて光栄だ。」


 アークウィザードになる可能性を持つ魔術師は終端を超える魔術師の中でも特に少なく、魔術師全体の1%にも満たないことが多い。そう考えると特に今年は異常だ、10人も居るわけがない。


「諸君らには是非ともアークウィザードを目指し頑張ってもらいたい。」


 学長は挨拶を短く終わらせると壇上から降りた。それもその筈だ、どうすればアークウィザードに至れるのかそんな具体案過去のアークウィザードですらも持ち合わせていないのだ。


 続いて登壇したのは講師と思われる若年の白衣を着た成人男性だった。


「私は諸君らの変換放出魔法理論科の講師を務めることになったギルバート・テイラーだ。よろしく頼む。諸君らとともに放出魔法の原理とその理論について研究していくのが私の仕事である。諸君らの中には私より優秀になりうる生徒もいるだろう。私は大いに楽しみである。以上。」


 ギルバート・テイラー、テイラー博士とも呼ばれる彼は放出魔法分野において現代最高の知識と研究成果を持つ博士である。放出魔法分野において現在彼の右に出るものはいない。そんな講師が今壇上から降りた。


 次に登壇したのは白髪の老人だった。


「君たちの付呪魔法理論科担当のルイス・アルフソンじゃ。難しいことも沢山話すがどうかしっかり聞いておくれ。そして、なにか新しいことを発見したら是非ともわしにも教えて欲しい。みんな仲良く、楽しく勉強しようぞ。」


 ルイス・アルフソン。この老人は初代アークウィザードにして至高の付呪師と呼ばれたアルフの子孫である。さらにこの老人は付呪によって延命し現在百五十歳になる付呪魔法界の老獪だ。テイラー博士同様この老人も付呪の現在の第一人者である。


 最後に登壇したのは女性だった。


「皆さんに内功魔法理論科のお話をさせていただきますエリスティア・クロウリーです!み、皆さんよろしくお願いしますッ!!」


 エリスティア・クロウリーも前の二人に違わず内功魔法の第一人者である。


 自分が若いことを気にしすぎる傾向があり、内気なところもあるがそれでもなお現代において彼女が最も内功魔法について熟知していることは疑いようのない事実だ。


 そして彼女もまた熱心な研究者であり学生に教えるだけで終わる気は無い。


 アークウィザード科の講師に共通することはあわよくば学生の中から自分と同等以上の学生を作り自分の研究の次元を押し上げること。それ以外に興味がないのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ