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わたしをブルーに染め上げて  作者: かつをどり
第1章 ブルーグラス・ブルーム
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ブルーグラス・ブルーム 第9話

「そういえば、さっき弾いてた曲なんだったの? なんか聞き覚えはあるんだけど思い出せなくて」

「『双頭の鷲の旗の下に』(*注1)って行進曲、運動会とかでよく使われてる」


 やっぱり、それで聞き覚えがあったのか。


「それをギターで弾くなんてすごいね」

「ロイ・クラーク(*注2)ってカントリーミュージシャンが弾いてる動画のマネしただけだよ」

「へー、カントリーね・・・・・・」


 と、言ってみたけどミュージシャンの名前にも、そもそもカントリーミュージック自体にもあんまりピンとこない。


「カントリーミュージックが好きなの?」

「えっと、古いカントリーとかブルーグラスとかアメリカの民謡とか」

「ブルーグラス?」


 カントリーと民謡は何となく分かるような気もするけど「ブルーグラス」というのは聞いたことが無い。


「ええと、カントリーのジャンルのひとつでいいよ」


 じゃあカントリーでいいんじゃない?


 と、思ったけれどわざわざ分けたということは微妙にニュアンスが違うってことなんだろう、ポップとシティポップの違いみたいなものかもしれない。


「カントリーってカウボーイ的な曲だよね?」

「うーん・・・・・・ウェスタンミュージックと同じと言えば同じだけど違うとも言われてるみたいだし・・・」


 ここも違うらしい。

 知らない曲、しかも昔の洋楽のことはよくわからない。


 自分で調べてみるかとスマホでカントリーとウェスタンの違いを検索してみると、この二つは一緒にされることがあるけど母国アメリカでは区別されることもあるそうで、ようするによくわからなかった。


 ついでに「カントリーミュージック」で動画検索してみると、大体はギターが使われているけど知らない曲ばかりで、バイオリンやアコギを横にして弾いている姿からわたしがやるのとは全くのジャンル違いの曲だと思った。


「なんか渋そうだね」


 検索で出てきた動画のサムネからの率直な感想だったのだけど、それを聞いた水城さんの眉毛が下がり、すごくガッカリさせたような気がした。


「あっ、なんかごめん!?」

「ううんいいよ、よく言われるから」


 何気ない一言のせいで傷つけてしまった気がした。

 一瞬取り繕おうとも思ったけど今のことは率直な感想であり、そうすれば嘘を言う事になるので飲み込み、別の話題で空気を変えることにした。


「わたしはアニソンとかJ-POPとか邦ロックとか、最近かちょい古めの曲が好きで動画投稿とかしてるんだ。そういえば水城さんは動画投稿とかしないの?」

「しないよ」

「じゃあ、誰かと弾いたりするの? わたしは中学の文化祭でライブやって、そのあともたまにその子たちに誘われてやったりしてたよ」

「やったことない、いつも一人で弾いてる」


 一人!?

 いつも一人で演奏してるの?

 あんなに上手いのに?


「へぇ、そうなんだ・・・」


 なんなんだこの人? ますます分からなくなってきた。


 なんか他の話題、ギターの話・・・・・・いや、この流れだとあんまり音楽の話はしないほうがいい気がしてきた。

 どうしたものかと自分のチャンネルトップページの「HIBIKI Guitar」を睨みながら悶々としていると、コロンと名案が浮かんだ。

(*注1)双頭の鷲の旗の下に(Under the Double Eagle)J.F. ワーグナー作曲の行進曲

(*注2)ロイ・クラーク(Roy Clark)テレビ司会者としても活躍したカントリーミュージシャン

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