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わたしをブルーに染め上げて  作者: かつをどり
第6章 ふたりぼっちステージ
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祭りの前が一番楽しい! 第3話

 そして現在、アコギを持ってきている理由を陽葵に説明をしないといけないんだけど、叉音ちゃんとの事を話すわけにはいかないのでとりあえず「家で弾くと苦情が来る」の部分をかいつまんで話すと、陽葵は理解したのかしていないのか微妙な空返事でとりあえず納得はしてくれたようだった。


「でも毎日持ってくるって大変じゃない?」

「けど学祭で弾くからもう時間もあんま無い───」


 と、ここで自分で自分に驚いた。


 しまった、学祭で弾く事はまだ誰にも言ってないんだった!


「いや、違───」

「えっ、学祭で弾くの!?」


 雨のせいでジメッとしていた空気を吹き飛ばすカラッとした笑顔をわたしの鼻先まで近づけ、一オクターブうわずったいかにも嬉しそう歓喜の声で耳をつんざかれながら慌てて両手で物理的に口を塞ぎながら、よりにもよって一番面倒くさそうなのに口を滑らせてしまったのを後悔した。


「声がデカいって! あー、しまったなぁ……まだ誰にも言ってないんだから秘密にしてよ?」

「えーいいじゃん、言えばみんな見に来てくれでしょ?」


 まあ普通のバンドとして出るならそれでいいんだろうけど、今回は叉音ちゃんとふたりだからやる前から注目を浴びるようなことはなるべくしたくなかったんだよねぇ……


「誰かと出るの? それともヒビキ一人?」

「いやー…もう一人いるんだけどね……」

「えー誰? あたしも知ってる人?」

「あー……っと、当日まで秘密かな」

「えー、教えてよ」

「だから秘密だって、それより出るのは他の人に言わないでよ?」

「言わないから誰と出るか教えてよ」


 陽葵はムスッとしながらこちらに揺さぶりを掛けてきた。


 ああもう面倒くさいな、コイツは。


「じゃあ学祭でギター弾くのは言っていいから誰かと出るってのは秘密にしてよ」

「えー、そんなに言いたくないの?」

「わたしじゃなくてもう一人に迷惑がかかるんだって」




 わたしが叉音ちゃんの事を教えるのを断固として拒否したから渋々と諦めたように見えるけど、納得はまったくしていない様子だった。

 ただ、今の「学祭」の話題で少し気になっていたことを思い出したのと、何より陽葵の興味を逸らすために別の話題を振っておくことにした。


「そういえばさ、わたし学祭の準備サボりまくってるんだけどなんか言われてない?」


 学祭の出し物は投票でメイド喫茶に決まった上に陽葵や叉音ちゃんのクラスと合同開催になったんだけど、わたしは練習にかまけて全然準備を手伝っていなかった。


「あぁ、大丈夫じゃない? あたしもあんまり出てないけど何も言われてないよ」

「あんたは部活やってるからでしょ」

「そうかもだけど、何も言われてないのは本当だよ」

「ま、ならいっか」


 手伝いを全くしていないのにはなんとなく後ろめたさを感じていたから少しは肩の荷が下りた気がしたし、陽葵の方もさっきまでの仏頂面をいつものあっけらかんとした表情に戻してくれた。

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