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わたしをブルーに染め上げて  作者: かつをどり
第1章 ブルーグラス・ブルーム
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ブルーグラス・ブルーム 第5話

 この辺はニュータウンということで家も商業施設も多いけど、宅地開発されている地域から少し離れれば田んぼや雑木林が広がっていてる。


 親の運転する車の窓から見たことはあっても入ったことの無い横道、そのさらに横の林と田んぼに挟まれた農道を歩いていると生け垣に囲まれた目印の”大きな門”が現れた。

 昔家族で行った江戸時代のテーマパークで見たのよりも遥かに立派で想像の三倍は大きく、門柱には「水城」の立派な表札が打ち付けられていた。


「豪農・・・・・・ってやつ?」


 豪農の意味はよくわからないけど何となくのイメージでこの言葉が出てきた。


 学校から結構離れているせいでここまで来るのに時間が掛かり、もう日が傾き始めているのと雨空のせいで薄暗く、夜になれば変質者どころかイノシシでも出てきそうな雰囲気だし、さっさと返してついでに名前も聞いて帰ろうかと思ったのだけれど、門にはインターホンの類が見当たらないので一応「おじゃまします」と断ってから敷地に入った。


 生け垣が目隠しになっていて外から見えていなかった敷地内はわたしの家が五つは入りそうな広さで、左手に古そうな立派で大きな家があり、奥に真新しい大きなガレージ、右手には木造でボロっちい大きな納屋があり、門を除けば計三つの建物が建っていた。


 うちのおじいちゃんも農家だけどこんなに大きな家ではないので思わず圧倒されてしまったけど、ずっとキョロキョロしていたらただの不審者だ。


 手早く用事を済ませるために家の玄関先に向かったのだけど、雨音に混じって音楽が聞こえた気がし、足を止めた。

 最初は気のせいかと思ったのだけど耳を澄ますとたしかに、しかも背後の納屋から鳴っているようで、近づくと確かに音楽が、それもエレキギターのような音が聞こえる。


家の中から聞こえてくるなら何も感じなかっただろうけど、建物が建物なだけに激しい違和感がして気になってしょうがなくなった。

 実は納屋ではなく、離れか何かで誰か住んでいるのではないかとも考えたけど、木製で頑丈そうな戸は車が入れる大きさの両開きだし、大きくてボロい納屋にしか見えない。


 中が気になるけど木戸を開ければすぐにバレれるだろうし、隙間から覗いても何も見えない、入り口側に窓はなく横や後ろにはあるだろうけど、そっちは雑草だらけで躊躇した。

 でも、こんなボロっちい納屋に似つかわしくないギターらしき音の方にどうしても興味がそそられる。


 濡れるのと覗き見するのを天秤にかけた結果好奇心の方が勝り、足音を殺すと同時に水たまりにハマらないように抜き足差し足で納屋の横から回り込んだ。


 想像通り建物横に窓はあるけど何かで塞がれていて真っ黒で中は見えず、落胆しながら裏手に回り込むと段々と音が大きくなりながら中が見通せる窓が見え、ガラスの汚れと雨粒のせいで曇っているけど室内が明るいおかげで中の様子が窺えた。


 最初に覗き込んだ角度からは奥にカーテンのようなものがぶら下がっているのしか見えかったけど、さらに突き進むと人がいるのが見えてきた。

 ギターを持っていて、後ろ姿だったからはっきりしなかったけれどアンプを弄るために前かがみになったおかげで横顔が見えた。


「水城さん?」


 あの地味で背が低くていかにも人畜無害そうな水城さんが制服のままでギターを持って立っている、しかもこんな納屋の中で。

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