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わたしをブルーに染め上げて  作者: かつをどり
第5章 祭りの前が一番楽しい!
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祭りの前が一番楽しい! 第7話

「はぁ、はぁーーー……」

「うっさいなぁ、どうしたの?」


 昨日の一件は学祭ステージには出ないということになって終わったはずだけど、やっぱりどうにも気まずくて一人でお昼を食べていた。


 そんなわたしの気持ちを知ってか知らずか、無理矢理向かいに陽葵が座ってきて地の底から湧き上がるような深いため息に対してうっとうしそうにしている。


「だからなんでも無いって、ってか勝手に座ったんだからうるさいならどっか行ってよ」

「いやさ、そんな露骨に落ち込んでたら気になるじゃん」


 さっきから何があったのかこっちに探りを入れてきて、どうにか適当な相槌でかわしていたのにまともに会話をしてしまったからか、陽葵はムスッとしていた表情をコロッとまぶしい笑顔に変えてきた。


「で?で?何があったの? 相談のるよ?」


 このカラッとした笑顔は今の湿度80%のわたしにはあまりにも眩しい、そういえば最初に会った時もこんな風にグイグイ話しかけてきて、気がついたら”友達”として認定されてたんだった。


 ただ、ずっとこうしてウジウジして叉音ちゃんとギクシャクするのも嫌だしどこかで吐き出してしまいたいという気持ちもある。それに愚痴るなら陽葵はちょうど良さそうだし少しは気が晴れるかもしれない。


「学祭で一緒にステージ出るはずだった子に断られた」

「あー、振られてやんの」

「違うって、最初はオッケー出してくれたんだけど、後になって怖くなって『やっぱり出れない』って言われたの」

「なるほどねぇ、そりゃモヤモヤするね」

「まあ元々こっちが結構無理に誘ったのもあるからしょうがないんだけどさ」

「ステージってギターのでしょ、自信無いんじゃない? ほら、響上手だから足引っ張りそうで怖いとか」

「いや、そうじゃなくて人前で弾いたこと無いらしくて」

「それで怖いんだ。まあ最初はそうだよねぇ、あたしもバレーで初めて試合出たときの事は緊張しすぎてめっちゃミスったもんなぁ」


 陽葵の思い出話はどうでもいいとして、わたしの方も叉音ちゃんの性格的にしょうがないと割り切ろうと思っているけど、ずっと一緒に出れると思って練習してたのを思い出すとやっぱりどうしても悔しいというか裏切られたようなやりきれない感情が出てきてしまい、こうしてウダウダとしている。


「『しょうがない』って言うけど、響はまだ出たいと思ってるからそんなに落ち込んでるんでしょ?」

「まあそうだけど、本人が嫌ならしょうがないよ」

「えー、じゃあほら学祭前に人前で弾かせて慣れさせたら?」

「荒療治だなぁ……」

「でも一番効きそうじゃん?」


 まあたしかに、学祭ステージの前にステップを置いて慣れて貰うのはいいかもしれない、でも昨日のやりとりのせいでどうにも微妙な空気が流れているのにそんな事をするのはなぁ……


「大丈夫? そんなことして?」

「このままズルズル引きずるよりとりあえず言ってみなよ、無理なら無理でスパッと断られた方がスッキリするんじゃない?」

「まぁ確かに……」


 ダメ元で頼んでみて断られれば踏ん切りもつくかもしれない、ただそうなるとどこで演奏するかが問題になる。


「うーん、やるとしてどこでやるの?」

「あたしは音楽のことなんかわかんだからヒビキが考えてよ…あっ、ライブハウスとか?」

「いやいやいきなりハードル高いって、そもそもそんな簡単に出れるもんじゃ無いでしょ」

「そうなの?」

「わたしも知らないけどさ、もっと低いところから行こうよ」


 ええと、後は路上ライブとか……これもライブハウスとたいして変わらないな、例えば顔見知り相手、叉音ちゃんの家族は……いやいつも何となく聞いてるから効果が低そうだしお父さんとは微妙な仲らしいからやめておこう、わたしの家族は叉音ちゃんの都合で学祭に出れなくなったのをまだ言えてないからダメだな。


 と、ここで一緒になって顎に手を当てて考えるポーズをしている陽葵に眼がとまった。


「あーっと……聴く? というか見る?」

「えっ、あたし?」

「”顔見知り”くらいの方がちょうどよさそうだから」

「その子ってあたしも知ってる子なの?」

「あー……」


 そういえば秘密なんだよなぁ、これ以上は叉音ちゃんに相談してから決めるか。

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