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わたしをブルーに染め上げて  作者: かつをどり
第4章 重なる音と重なる心
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重なる音と重なる心 第5話

 夏休み前半はあまりにも暇だったから、さっさと学校が始まって友達と会えないかとさえ思っていたのに、夏祭り以降は叉音ちゃんの家に通う生活を続けたいから終わって欲しくないと心変わりしていて、そんな状態で夏休み明けを迎えたものだからすっかり意気消沈していた。


 一方で久しぶりに顔を合わせるクラスメイトも陰鬱とした雰囲気を醸し出していたけれど再来月、つまり十一月にある学祭の話題がちらほらと出ていて、それを楽しみに過ごそうと励まし合っていた。




「ヒビキ、いつもさっさと帰るけどなにやってるの?」


 心に穴が開いたと言うと大げさだけど、けだるさと喪失感を引きずりながら漫然と過ごしている夏休み明け三日目の昼休み、机の向かいで菓子パンを食べている()(まり)のこの言葉で箸に挟んだブロッコリーをで口に運ぶのを一瞬止め、回答を考える間を作るために口に放り込んで咀嚼する。


「ギターの練習、アコギ始めたんだよね」

「へーそうだったんだ。 あとさ、夏休みの前辺りから水城さんと仲いいよね」

「えっ……そ、そう?」

「だっていっつもお昼一緒に食べてるじゃん、今日だってあたしが捕まえなかった行ってたんでしょ?」


 たしかに、今日は授業が長引いたせいで昼休みまでずれ込み、帰ってきた所を捕まって陽葵の席まで連れてこられたから、これが無ければ今頃は階段の踊り場に向かって叉音ちゃんと二人きりの時だけに出来る音楽の話をしていたと思う。


「たしか夏休み前まで話したこと無かったよね?」

「あー……っと」


 どうしようか、客観的に見てもわたしと叉音ちゃんは”仲がいい”と映るだろうし自分でもそう思っているけど、そう答えると次はどうして仲良くなったか、あるいは普段何をしているのかを聞かれ、それには口止めされている「音楽」の話をしなければならなくなってしまう。


「……うん、色々あって結構仲良くなった」

「へー、ねぇ普段二人で何してるの?」


 ああ、やっぱりそうきたか。


「いやぁごめん、それはちょっと……」

「えっ、話せないの?」

「うーん、話せないっていうか、他の人に叉音ちゃんの事を言うの、本人が嫌がるから」

「ふーん……まあ仲がいいならいいか。ほら、水城さんって他の人と話すことなんか無かったから気になってたんだよね」

「やっぱりそうなんだ」

「そもそもヒビキも似たようなイメージだったから余計に気になってたんだよね」

「えっちょっと待って、わたしって友達いないイメージなの?」


 引っ込み思案な叉音ちゃんはともかく、自分は人並みに友達も交友関係もあると思っていたからその言葉は意外で驚かされた。


「いやヒビキって友達はいるけど特定の相手と仲良くしないと思ったから、水城さんは特別扱いだから結構びっくりしてるんだよね」

「あー……そう見えてたんだ」


 たしかに、わたしは友達付き合いはするけどそれはグループの一員として一緒に遊びに行くとか向こうから誘われて一緒に遊ぶのメインで、自分から誘って遊ぶような相手は今まで居なかった。そう言われると叉音ちゃんは自分から積極的に会いに行く初めての相手で、たしかにそれは”特別扱い”だ。


「ほら、夏休みに楽器屋で声かけた時も、水城さんを追いかけて逃げられたし」


 見えてたんだ……


「なんか放っておけないというか、確かに特別とは思ってるかも」

「もしかして好きとか?」

「まあ、一緒にいるのは好きだけどそんなラブい感じでは無いよ」


 両方の指でハートマークを作る陽葵のニヤついた顔をジトッとした目で睨んで否定したところでこの話題は終わったのだけど、話題が出たせいでいつもの階段の踊り場で一人でお昼ご飯を食べている叉音ちゃんの姿を想像してしまい、いてもたってもいられなくなってしまった。


「やっぱりお昼は叉音ちゃんと食べるから行くね」

「やっぱ好きなんじゃん!」

「だから、そういうのじゃ無い!」


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