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わたしをブルーに染め上げて  作者: かつをどり
第4章 重なる音と重なる心
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重なる音と重なる心 第2話

 祭り会場で結構食べてしまったから晩ご飯は食べず納屋に向かったのだけど、夜とは言え締め切っていてエアコンも無い建物だから立っているだけで汗が滲んでくる暑さだった。


「叉音ちゃん、いつもこんなところで練習してるの?」


 そういえばここに来るのはなんだかんだで教科書を返しに来た時以来で、本格的な夏に突入してからは初めてだった。


「ちょっと待ってて」


 と言うと、叉音ちゃんは納屋の奥に行ってガラガラと何やら大きな管が付いた四角い機械を押してきた。


「それ何?」

「スポットクーラー、暑いから夏はいつもこれ使ってる」


 ああなるほど、たしかにこんなのが無いと夜でもここにいるのは辛いか。


 納屋の中を仕切る毛布の隙間にクーラーのノズルを差し込んで電源を入れると、テレビ台の中からホールケーキくらいありそうな丸い缶とレトロなデザインの紙の箱を取り出した。

 よく見ると缶の方は蚊取り線香で箱の方はマッチだったけど、マッチの方は徳用とのことでこんな大きいのは見たことが無かった。


 慣れた手つきで缶の蓋を裏返して蚊取り線香をセットするとマッチで火を付け、煙が出ているのを確認していた。


「じゃあ楽器取りに行こうか」

「楽器?」


 ならここにあるじゃんと、さっもらったばかりのアコギをポロンと弾いたら──


「バンジョーとフィドル」

「あっ、そうだった」

 弾いて貰う約束してたんだった。


 叉音ちゃんの部屋に行って締め切られたアコーディオンドアを開けると、何本ものギターにアンプがあり、本棚にはレコードとCDがびっしり並べられ隣のカラーボックには一杯に音楽関係の本、そして巨大なコンポが鎮座していた。


「うわー……すごっ!」

「ほとんどお父さんのだけど、私のはそこの本棚に置いてるだけ」


 とは言うけど、その叉音ちゃんのレコードとCDと本は四段のカラーボック一杯で結構な量だった。


「わたしはサブスクとかダウンロードで買っちゃうけど、叉音ちゃんはCD派なんだ」

「うーん……ダウンロードでも買ってるけど、CDしか無かったり、それもないからレコードで買ってるのもあるから」


 そういえば前にも聞いたんだった、それでこんな事になるのか。


 興味津々で部屋を見渡していると、ギターに混じって一本だけ丸い本体から生えた細いネックが目に付いた。


「これがバンジョーだよね?」


 手を伸ばして取ろうとしたのだけど──


「ネック持つと危ないから気をつけね」


 と、警告されて手を引っ込めた。


 他人の楽器を壊したらシャレにならないからここは本人に任せよう。


「叉音ちゃん、お願いします」

「じゃあこっちを持って行って」


 手渡された取っ手付きのケース、この不気味な重さと形からすると多分中身はフィドルで、こっちはこっちで持つ手が震えた。

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