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わたしをブルーに染め上げて  作者: かつをどり
第3章 夏祭りと三つの響き
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夏祭りと三つの響き 第6話

 射的に輪投げをやってチョコバナナを食べ、焼きそばを持って次は飲みものを買おうとしていたんだけど───


「痛ったぁ……」


 さっきから両足の親指と人差し指の間が痛くて、ついに我慢できなくなってしゃがみ込んでしまった。


「大丈夫?」

「うぅ……ちょっと休みたいかも」


 とはいえ、会場中心のここでは座って休める場所はなさそう。


「駅の反対側にも公園あって、そこなら人がいないかも、ちょっと離れてるけどどうする?」

「うん、ちょっとならそっちで休みたい」


 この辺だと、たとえ座れても休んだ気がしなそうだから離れたいと言うのもあった。




 叉音ちゃんが言っていた公園は駅を挟んだ反対側にあり、途中で山車の列に捕まったけど十分もかからないで到着した。

 住宅街と駐車場に挟まれたベンチくらいしかない小さな公園で、目の前の道路をお祭りの行き帰りをする人が行き交ってはいるけどここにはわたしたちしかいなかった。


「これしか無かった」


 自販機を探しに行っていた叉音ちゃんがミネラルウォーターのペットボトルを手渡してくれた。


「ありがとう、さっきチョコバナナ食べたし甘いのよりも水の方がいいよ」


 隣に座った叉音ちゃんは、脱いだ下駄の上に置いていたわたしの足をじっと見つめていた。


「下駄、普段から履いてる?」

「今日初めて履いたんだよね」

「履いて慣らしておいた方がよかったね」


 確かにそうだよね、買ったのは一昨日だったけど、せめて昨日くらいは履けばよかった。

 ベンチに座って放り出した足の指で鼻緒を掴み、プラプラとさせている下駄を見ながら一日中家で一人天下を謳歌していた昨日の自分を恨んでいた。


「叉音ちゃんは普段から下駄履いてるの?」

「うん、ちょっと外に出る時は。歩いた時の音が好きだから」


 確かに、わたしの下駄は底にゴムが貼ってあるから音がしないけど、叉音ちゃんのは木が直接地面に触れるから歩くとカランカランと心地のいい乾いた音がしていた。


「なーんか叉音ちゃんてそういうのにこだわっててかっこいいなぁー……」

「そんなことないよ」

「いやあるよ、メガネだってこだわって今の使ってるし、わたしはそういうのないからなぁ……」

「いつもの服も似合ってるし、大丈夫だと思うよ」

「確かに服は自分に合うようなのを買うようにしてるよ。でもこだわりとかそういうのは無いし、なんなら服も一緒に買いに行った友達に勧められるままに買った気がするし、そう言うのが無いんだよね、わたし」


 それに浴衣も下駄も適当に買ったせいで、今こうして色々と後悔しているし。


「私はいつも使うなら自分が好きなのがいいと思ってるだけだから」

「なるほどねぇ」


 じゃあ叉音ちゃんがいつも使っている物は全て本人が「これがいい!」と思って買って使ってるんだろうか?


 そう考えたらいつも身につけている靴や服、ボールペンも全てがこだわりの一品に思えてきた。

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