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わたしをブルーに染め上げて  作者: かつをどり
第2章 音叉と響き
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音叉と響き 第8話

 居間の方からは話し声が聞こえ、自分の家だったら挨拶に行かなきゃいけないんだろうけど、今いるのは叉音ちゃんの親戚だしわざわざ「部屋に行ってて」と言われてたから階段を上がり、言われた通り右を見ると「こまね」のドアプレートが貼り付けられているドアがあった。


 どんな部屋なんだろうとワクワクしながら開けた先は畳敷で、ベッドと勉強机にタンスがあるシンプルな部屋、広さは私の部屋より少し狭いくらいだった。

 ただ、ベッドと机が置かれた壁の反対側はアーディオンドアで仕切られているので、ここを開けるともっと広くなるようだ。


 カーテンの向こう側がものすごく気になって覗いてみたかったけど、納屋の窓を覗き見して驚かれた叉音ちゃんの顔を思い出して思いとどまった。


 見た感じでは漫画なんかは無く、ある本は参考書なんか勉強用だけ。

 自分のスマホでも見て時間を潰そうかと考えたけど、座布団は無いし勉強机の椅子には通学カバンが置かれている。

 ベッドに座ろうかとも思ったけど、気が引けたから大人しく畳に直接あぐらで座ってスマホで時間を潰していた。




 多分四十分くらいが経ち、外から階段を上がる足音がして───


「開けて」


 と、閉めたドアの外から叉音ちゃんの声。


 言われた通りドアを開けると、水出し茶が入った水差しとコップを載せたお盆を両手で持っているいつもの髪型とツートンカラーのメガネをした叉音ちゃんが立っていた。


「ありがとう」


 そう言いながらお盆を勉強机に置き、駆け足で部屋の外に出ていくと座布団を二枚持ってきてまた出ていって、今度は長方形の小さなちゃぶ台を持ってきてくれた。


「わざわざごめんね」

「ううん大丈夫、本当は下でゆっくりしたかったけど親戚来てるから」

「そうみたいだね」

「おじいちゃんの弟で、捕まると話長いから」


 その口ぶりからすると、どうも苦手に思っているようだ。


「あっ、お菓子忘れた」


 叉音ちゃんが慌てて立ち上がろうとしたのを止めた。


「お茶だけでいいよ」

「でも───」

「捕まると話長いんでしょ」


 それにお茶と座布団と机の準備をさせて、これ以上バタバタと動き回ってもらうのが申し訳ないのもあった。


「うん、じゃあそうする」


 ホッとした表情の叉音ちゃんにわたしも安心した。けれど、気になることがあるのでそれはそれとして聞いておきたい。


「ねえ、このカーテンの向こうってどうなってるの?」


 この部屋に入ったときから気になっていたアコーディオンドアを手のひらで叩きながら聞いてみた。


「元々お父さんと叔父さんの部屋で、向こうに楽器とかレコードとか置いてて普段は閉めてる」


 楽器にレコード、それは見たい!


「ねえねえ、見てもいい?」

「えっ、片付けてないから……」

「あたしの部屋も綺麗じゃないし全然気にしないよ、ちょっと見るだけだから、ね?」

「……」


 どんな物があるのだろうとワクワクして前のめり気味だったけど、黙ってしまった叉音ちゃんの姿を見ていたら急に気持ちがしぼんでいった。

 このまま強めにお願いすれば見せてくれそうだけど、そんな無理やり見るようなことはしたくないし、もしかすると見られたくないものがあるのかもしれない。


「ええと、いきなり過ぎたね……やっぱりいいよ」

「明日…だったらいいよ」

「いいの?」

「うん」


 やっぱり無理強いしたような気がするなぁ……


 そんな気持ちを察してくれたのか、叉音ちゃんの方から話題を変えてくれた。


「えっと…そうだ、これ」


 かけていたメガネを外し、ティッシュペーパーで念入りに拭いてから手渡してくれた。

 そのメガネはツルと上半分が黒色、鼻あてより下が黄色っぽいツートンカラーの太縁で、じっくり見ても面白いデザインだけどどのへんが”特別”なのかはよく分からない。

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