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わたしをブルーに染め上げて  作者: かつをどり
第2章 音叉と響き
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音叉と響き 第4話

「ねえ、今日の放課後叉音ちゃんの家に遊びに行ってもいい?」


 少し距離が縮んだ気がしたから思い切ってもう一歩踏み込んでみた。


「私の家、学校から遠いけど大丈夫?」

「あっ…」


 そうだった、しかもウチと反対方向だから昨日家に帰ったら八時前で怒られたんだった。


「放課後だと無理かぁ……」

 

 家だったらギターの話とかもっと出来ると思ったんだけどなぁ……


「じゃあさ、休みの日は? 今度の土日はどう?」

「うーん、また雨だったら大丈夫だけど」

「雨だったら?」

「晴れてると畑を手伝わないといけないから」

「あー、なるほど」


 昨日、雨があがったのを残念がっている様子だったのが不思議だったけどそれでか。


「いつも手伝ってるの?」

「休みの日はおじいちゃんとおばあちゃんしかいないし、手伝わないとおこづかいもらえないから」

「へー、大変だね」


 そうなると、雨が降らない限り畑仕事はいつも手伝っているのか、でも叉音ちゃんの肌はわたしよりもずっと白くて外で働いているようには見えなかった。


「叉音ちゃん肌白いよね、なんかしてるの?」

「うん、日焼けすると真っ赤になったり水ぶくれになるから、日焼け止め塗って長袖着てる」


 それでこんなに真っ白なのか、たしかに半袖から出ている二の腕と手足を見比べても違いがない。わたしは焼けるとすぐに黒くなって嫌なんだけど、火傷みたいになるのも嫌だなぁ。


「ええと……あんまり見ないで、恥ずかしいから」

「あっ、ごめんね」


 最初は無口でクールな感じかと思っていたけど、こうやって照れてはにかんでいるのを見るなんだかかわいく思えてきた。でも、そう思えば思うほど、昨日窓から見たギターを弾く姿の印象が強くなって、また見たくなる。




 あまり食べない方なのか単に口が小さいのか、叉音ちゃんはチマチマモグモグとサンドイッチと食べていて、その姿を見ていたらふと、家の冷蔵庫に詰め込まれた玉子と昨日叉音ちゃんのおばあちゃんから貰ったスイカとお菓子が頭の中で結びついて、妙案が浮かんだ。


「そうだ行くよ、土日のどっちか叉音ちゃんの家」

「えっ、来ても雨降らないと私は畑だよ?」

「うん、だから手伝うよ畑仕事」

「いや…いいよ無理しなくて」

「ほらほら、昨日スイカとお菓子もらったからお礼もあげなきゃいけないから行くよ」


 そうそう、だから叉音ちゃんの家にはそのうち行かないといけないんだった。


「別に余り物だったからお礼なんかいらないよ」

「いやぁ、お母さんに『絶対に行け』って言われてるから行かないとわたしが怒られるし」


 そしてその”お礼”は我が家の冷蔵庫を圧迫している大量の玉子だ。


「まあ……それならいいと思うよ」

「土日どっちがいい?」

「……じゃあ土曜日、時間はお昼くらいでいいよ」

「わかった、じゃあ土曜のお昼に行くね」


 渋々、本当に渋々認めてくれた。とは言え約束を取り付けたのには違いないから土曜に叉音ちゃんの家に行こう。

 もしかしたら畑仕事で終わるかもしれないけど、一緒にいられるならそれでもいいや。




 土曜日までの数日は今日みたいに一緒にお昼を食べたり、休み時間に音楽以外の話をしたりしていた。

 そんなやり取りの中で叉音ちゃんの家はお父さんとお母さんは休みの日が決まっていない仕事の兼業農家、畑と田んぼの世話はは主におじいちゃんとおばあちゃんがしていて、その手伝いをしておこづかいをもらっていること。


 あと、一人っ子で好きな食べ物はナポリタンというのを知れた。

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