第36話 エピローグの裏側で
【エピローグの裏側で】
おかしいです。絶対におかしいです。何かが間違っています……!
師匠との一件の後、ダンジョンの近くでドラゴンの卵を見つけたので師匠のように鍋で孵化させ、駆け出し冒険者さんと仲良くなるのを手伝ってもらっているのですが一向にうまくいきません。
それどころか最近では駆け出し冒険者さんの数が減っている気がします。
エメに聞いてみたら「気のせいではないですか?」とか言われたけど、絶対に嘘です。モンスターで、スライムのエメには分からないかもしれないけど、絶対に駆け出し冒険者さんたちがこのダンジョンを避けるようになっています。
それを私は如実に感じ取り、できるだけ強いモンスターを狩って駆け出しさんたちが気持ちよく初めての冒険を出来るように環境整備しているのに、何故か、やってくるのは上級の方ばかりで、時々デッドバイドラゴンの双子と戦闘になっています。
あの双子は私よりも強くなりたいらしいので放っているのですが、時々駆け出し冒険者さんにやりすぎるのがいけません。
もしあの双子のせいで駆け出しさんがこのダンジョンを避けるようになっているのなら躾けてあげないといけないかもです。
そう、師匠のように……!
「師匠の、ように……!」
カッコよく、駆け出しさんたちを助けてお友達になってもらう……!
「よしっ……!」
私は気合を入れ直し、今日もデッドバイスライムのエメを引き連れ、上層階へと向かいます。
今日こそは、お友達になっていただける駆け出し冒険者さんと出会えると信じて。
――私のダンジョン暮らしは、続くのです!
【了】




