第24話 ギルド通信
【ギルド通信】
最初に、個人的な情報筋からの話にはなるが、剣聖フレイ・エリザベートの無事が確認された。
現在の足取りは不明ではあるが、確かな情報筋であることから心配はいらない。
無事ダンジョンから脱出し、再び何処かへ旅立ってしまったそうだ。
歴代の剣聖の中でも一際自由人ではあるが、無事であったことにまず喜びを分かち合いたい。
大地に大穴を開けた光と大主人に関しての情報は得ることが出来なかった為、近いうちに調査部隊を送り込む予定だ。
仮にそれで大主人の討伐が確認された場合は、再び駆け出し冒険者たちにダンジョンを開放したいと思う。
胸踊る冒険に胸を焦がれている同志諸君、もうしばらく待ってほしい。
また、先日、ファルムンドの街中にドラゴンが現れるいう事件が発生した。
大穴から地上へと飛び出したというドラゴンであったのか、それとも全く別の、他のダンジョンから到来したものなのかは不明だ。
ギルドの総力を上げ、姿を追っているが未だその居場所は確認されていない。
ドラゴン種は唯一、ダンジョン外で生存可能なモンスターである。
十年前、街を襲ったスカル・デス・ドラゴンの例もある。
ファルムンドダンジョンの安全が確認され、ドラゴンの情報が出揃うまではファルムンド近郊の冒険者諸君は十分に注意し、いつでも火急の事態に対応できるよう、備えておいてほしい。
必要なことだけを述べるに留めるつもりであったが、最後に伝えておきたいと思う。
私はファルムンドの街を守った英雄、黒睡蓮と宝玉蓮の二人の墓前に先日誓いを立てた。
十年に一度のモンスターパレード。
ダンジョンの叛逆が近いとされる今、私はこの局面を、誰一人として犠牲者を出すことなく乗り切る所存である。
どうか冒険者諸君、力を貸して欲しい。
そしてどうか冒険者諸君、仲間を、戦友を、互いに守ってやって欲しい。
そうすることで、我々は過去を乗り越え、新たな冒険へと踏み出すことが叶うのだから。
ファルムンドの街にて、待つ。
――サクラミア大陸ギルド本部長、アルムンド・べナスティア




