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第14話 おひさしのお師匠さま

【4】最強の存在


「お、お、ししょう!?」

「おう、元気そうで何より。それよりなんだこれ。孤独に耐えかねて、等身大お人形遊びでもはじめてたのか?」


 そう言って粉々に吹き飛んだ宮殿を師匠は眺めます。


「等身大お人形遊び、が、どんなものかは知りませんけど、だとしても、こんなふうには遊ばないと思い、ます……」

「そうか。てっきり怪獣襲来でどかーんみたいなやつかと思った」


 師匠は時々よく分からないことをおっしゃいます。

 そこが師匠の魅力でもあるのですが、いやはや、お久しぶりです師匠!


「……………ん? 何か言いたいのなら口を動かさないと訳がわからんぞ。なんだもごごって」

「びゃ、ごめんなひゃいっ……!」


 慌てて謝ったら思いっきり舌を噛みました。「いたひ……」


「相変わらずのようだな」


 落ち込む私の頭を師匠は乱暴に撫でてくださいます。


「えへへ……」


 大人の人の手は怖いのですが、師匠は平気です。

 師匠はその気になれば私が反応するよりも先に私の首を刎ねることも可能なので、頭を触られる前から触られているようなものなのです!


 ずっと死地です!

 今にも殺されてもおかしくはありません!


「で、修行は? 大主人はどうした」

「倒し、ました……」

「こらこら。嘘はよくないぞ? 何度も教えただろう。怖くてついた嘘は巡り巡ってお前の首を絞めることにつながる、と。何事にも正直者が一番だ。小賢しい口八丁で誤魔化すのではなく、正面からぶちのめせ」

「くちはっちょう、できるほど……、おしゃべり、上手じゃ、ない、……です……」

「……すまん」

「いえ……」


 なんだかすごく悲しくなってポロポロ涙が止まりません。


「うえぇえ……」

「あーっ、もうっ、泣くな泣くな!」

「だってぇっ……!」


 師匠が抱きしめてくれたのをいいことに私は思いっきり泣き叫びます。

 何がそんなに悲しいのか分かりませんが、とにかく涙が止まらなかったのです。

 もしかすると、人とお話ししたのが久しぶりすぎて嬉しかったのかもしれません。


「ぅぇあぁあああっ……、ししょぉっーっ……、血の匂いがするぅ〜っ……!」

「ここに来るまでも散々ぶちのめして来たからな!」

「でも、良いにおぃいいいい〜……!」

「おいおいおい……? 意味がわからんぞ……」

「うびゃぁああああああああ」


 決して血の匂いがいい匂いだと思ったわけではありません。

 血の匂いに混じって香る師匠の甘酸っぱい匂いがいい匂いだと思ったのです。



 そうして小一時間。



 なんだかんだ言いながら泣き続け、師匠はそんな私に呆れながらも付き合ってくださいました。


 普段は殺せだのぶち殺せだの、モンスターをぶちのめすことしか脳にない脳筋師匠ですが、こういう時だけは本当に優しいのです。

 なので、師匠は本当に大好きな、大好きな私の、お師匠様なのです!


「んじゃ、泣き止んだら、私を一発殴ってみろ」

「うぇえ……?」

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