≪ 再会 ≫
最終話。
月日は流れた。喜央が・・・彼が消えて一年経った。
生徒会選挙で、新たな生徒会長が生まれ、私の悩みが一つ消えた。
肩の重荷は、少し軽くなった様な気がする。
友達も出来た。女友達だ。
川島凛子。
ノリで生きている様な、過去の私には苦手なタイプだったけれど、話してみれば私と何も変わらない子だ。
親友・・・?と言えるまでになっただろうか。新しい悩みだけれど、幸せな悩みだ。
一緒に笑って、怒って、泣いて、楽しむ。こんなに友達と言うのが良いモノだとは思わなった。
今では大切な、私が生きる上で欠かせない存在になった。
今、この世界は冬を迎えている。深々と降る雪が凄く綺麗で、新鮮な気持ちだ。
貴方の、世界は今どんな季節ですか?
卒業。
「秀!!」
後ろから声をかけられる。私の事をこう呼ぶのは凛子だけだ。
「ちょっと、やめてよ!男みたいじゃん」
「ごめんごめん」
わざとらしく頭を掻く。少し可愛い。
「秀と写真撮ろうと思って!」
そう言い、制服のポケットから、インスタントカメラを取り出す。
「いつでも会えるでしょ?同じ大学なんだから」
苦笑しながら言う。
「制服姿の私達はこれで最後でしょ?だから記念に」
そう言いながら、制服のスカートをパタパタさせる。
「それもそうかな」
そう私が言うと、凛子は満面の笑みを浮かべ、近くに居た教師の側に行き、写真を撮ってくれと頼んでいる。
色々あった。けれども、それは貴重な事だったのだろう。
私が全てに気付いた時、全ては終わっていた。
気持ちに気付いた時、私の前から姿を消した。
「秀!!」
手招きしながら私の名前を呼ぶ。
私も笑みが零れていた。
「だから、男みたいでしょ!」
駆け出しながら、凛子の方に走り出す。
私はふと、空を見上げた。
あ、飛行機雲。
『――――変わらないよ』
ホントにそうかな。確かめてはみたいけど、貴方がそう言うなら。きっと同じなのだろうな。
「今更現れても・・・知らないからな」
飛行機雲を見ながら呟く。
強くは見せているけれど、やっぱりまだ忘れられない。
「ホント・・・私の為に生まれたんじゃないのかよ・・・」
「ちょっと、秀!早く!!」
向こうで、凛子がぴょんぴょん跳ねながら、手招きしている。
「ごめん!今行く!」
私は駆け出した。前へ駆け出したのかは分からない。でも、少しぐらい進んでいるだろう。
大学に入って、半年。
違う環境は、好きではないけれど凛子が居るだけで、気は楽だ。
「ちょっと、この曲どうかな?」
凛子が、私にCDのジャケットを見せながら聞く。
「ジャケットだけじゃ分からないよ」
苦笑交じりに言う。
「じゃー聴いてみ」
そう言い、ヘッドホンを私に渡す。
今、私と凛子はCDショップに来ている。
凛子が、欲しいCDがあると言うから来たのだが、あれもこれもで結局本当に欲しい物はどれかは分からない状態だ。
「ほれ、聴いてみ」
私は渡されたヘッドホンを耳に当て、流れる音楽を聴く。
・・・・あ、良いかも。
ロックなのだろうけど、静かなロックだ。耳心地が良い。
喜央も、こう言う音楽好きかな。
何で喜央が出てくるのか・・・。引きずるなぁ~私。
もう現れても知らない。あんな奴忘れて、違うカッコいい大人っぽい人と付き合って、幸せになろう。
どんな人が良いかな?
私より背が高くて、私の気持ちが解ってくれて、よく笑って、空が好きで、食べるのが好きな人も良いな・・・。
これじゃーまるで・・・。
でも、私の前から消えてしまうのは嫌だ。もう、あんな思いは。
「あれ・・・」
涙が・・・何で!もう、泣かないって決めたのに。
私は目を拭った。
「あっ、この曲良いね?何てバンドかな?」
「さぁ、俺も知らないな」
私は凄い勢いで、隣を見た。
「咲隼は、ロックが好きなのか?」
何で・・・。
「でも、俺も嫌いじゃないかな」
そんな笑顔を見せないでよ。
駄目だ・・・。涙が溢れてしまう。強気に・・・。
「ふん!アンタの好みは知らないわよ」
「少し、大人っぽくなったな」
「どうも」
「生徒会長気質も抜けたな」
「こんだけ経てばね」
「友達できたみたいだな」
「うん。凄く良い子」
「彼氏はできたか?」
「どっかの馬鹿のお陰でトラウマができちゃってね」
「泣いた?」
「いきなり・・・なんの事?」
「少し、目が赤いよ?」
「花粉症なの」
「この季節に?」
「そうよ」
「ホント、口調変わったな」
「どんな感じに?」
「丸くなった感じ」
「褒めているの?貶しているの?」
「褒めてる」
「どうも」
「怒ってる?」
「何が?」
「消えた事」
「アンタのせいじゃないでしょ」
「そうだけどさ」
「気にしてない」
「ホント?」
「・・・・嘘」
「・・・・泣いた?」
「泣いた」
「どれぐらい?」
「枯れてしまう程」
「枯れたの?」
「一時は」
「最近は?」
「何が?」
「泣いてない?」
「たまに・・・思い出して」
「乙女」
「怒るよ」
「怒ってるんじゃないの?」
「怒ってるよ」
「じゃー怒っても今と変わらないじゃん」
「今以上になる」
「そりゃ、大変だ」
「どこに居たの?」
「どこかは分からない」
「何でここに居るの?」
「呼んだでしょ?」
「何で今なのよ」
「えっ、タイミング間違った?」
「そうじゃない。何で、直ぐに現れてくれなかったの?」
「ごめん」
「謝らないで」
「・・・・ごめん」
「だから・・・謝らないでよ」
「綺麗になったな」
「いきなり何よ!?」
目が合う。
「アンタはあまり変わってない」
目線を外す。
「俺さ・・・好きだったんだよ」
「・・・・そう」
「お前の事は知ってたけど、顔は知らなかった」
「顔で選んだの?」
「全部だよ。強さも、弱さも」
「でも、好きだったって事は・・・過去形でしょ?」
「・・・・今でも・・・好きだよ」
「なに恥ずかしいこと真顔で言ってるの?」
「怒ってる?」
「ううん」
「ありがと」
「まだ何も言ってない」
「手・・・」
そう言い、喜央が下に目線を落とした。私もそれと同時に目線を落とした。
「繋いでる」
笑顔で、私に言った。
私は俯いてしまった。
「・・・泣いても・・・良い?」
「後でね」
笑いながら言う。
「・・・・イジワル」
「ここで泣かれたら大変だから」
「でも・・・また消えるんでしょ?」
そう私が言うと、握っている手に、力がこもる。
「願ったでしょ?」
「え?」
「消えてしまうのは、嫌だって」
「・・・・じゃー」
喜央の顔が笑顔になる。
目線が合わさる。
「ずっと居るよ」
「・・・・やっぱり、泣いて良い?」
「ダメ」
「・・・イジワル」
温かい。手の温もりは、私の心を解してくれる。
「あの時言うの、忘れていた事がある。いや、気付かなかった事」
「何?」
「・・・・好きだよ。京助」
私がそう言うと、京助の顔が赤くなる。
「・・・・バカップルみてぇーだ」
そう言われて、私も顔が赤くなった。
「でも・・・俺もだよ。しゅ、秀里」
「・・・・うん」
握る手は、温かく、強く、握られている。
これで安心して、寝れる。もう枕は濡らさなくて良くなった。
今は、側に居てくれる人が居るから・・・・。
もう、嫌いと言わなくて良い・・・。
だから・・・
「・・・大好き・・・だよ」
終わった。疲れた。
さっきミスって、後書きこれ二度目・・・。
ほんとは長文の筈が・・・。中文に・・・
えぇー今回で終りですが、少し路線もかわり、でも心残りはないです。
本当はほのぼのした学園ものの筈が、ファンタジー要素が入ってしまい。
でも、何か良い感じにまとまったと自己満足。
もう少し長くなるはずだったのですが、あまり引っ張ると終わり方が雑になると思い、ここで終わりました。
解決していない事も多々、ありますが。それはご想像に、みたいな感じで読んでくれた方に委ねます。作者本人も想像・・・?妄想・・・?をしています。
最後とか、喋ってばっかりでした。別に手抜きって訳では!!
会話のスピード感が欲しく、あの様な感じに・・。
しかも結構べたな展開で。まぁ~作者本人べたが大好きなので、良いかなっと、自己満足。
終わり方も、この後書きで言ったように、結構悩みました。
でも、やっぱりハッピーエンドかな?と思いそうなりました。これも自己満足です。
えぇー今まで読んでくれた方。ありがとうございました。
また、違う話で会いましょう!!!
・・・・あぁ~同じこと二度書くのは疲れる・・・・。