≪ 理解 ≫
気付いた。解った。思い出した。
夢を見た。
悲しい夢。
消えてしまう夢。
探すけれど、どこにも居なくて、泣き崩れる私。
夢・・・。夢・・・。
「夢だっだら・・・良がっだのに・・・」
枕を・・・濡らす。
あの日。喜央京助が消えたあの日から、この学校から喜央京助の存在が消えた。
元から居なかったように。
もう・・・涙は出なくなった。これ以上の悲しみは無いだろうから。
何も無い。この学校に、私は居ない。
1か月。喜央京助の存在が消えてから、一月たった。
変わらない。何も。
重い。全てが。私には・・・。
夢を見た。過去の夢。私が、生徒会長になったばかりの時の記憶。
鮮明に、正確に。まるで、過去に行ったかの様に・・。
春。桜が散り、夏に近づく季節。
各教室から、生徒会長の立候補を選出するため、話し合いが行われていた。
「それじゃー多数決で良いですか?」
教壇に立つ、学級委員長が言う。
誰も立候補せず、最後の手段として多数決で決める事になった。
一人ずつ、学級委員長がクラスの名前を言っていく。
「では、咲隼秀里さんが良いと思う人、挙手してください」
教室に居る生徒の多数が、手あげた。
「えっ?」
「では、多数で、咲隼さんに決まりです」
「ちょっと待ってくれ!何故私なのだ!?」
私は立ち上がり、抗議した。
「決まってしまった事なので・・・それに立候補なので、生徒会長に決まった訳ではないですし、お願いできますか?」
聞かれてはいるが、否定権など無かった。
「は・・・はい」
私はゆっくりと座った。
思えば、教室の皆は、面倒だったのだろう。だから、適当に私を選んだ。
その後、生徒会選挙があり、まるで操作された様に、私が生徒会長になってしまった。
私みたいにやる気が無い人より、やる気がある人がやれば良い。
私はそう、教師に抗議した。けれども、決まったものは、と聞いてくれはしなかった。
それから、学校に行くのが嫌になった。
生徒会長と言う、変なプレッシャーが圧しかかり、辛くなった。
ある日、ふと思った。
この世界が変われば良いのだ。壊れてしまえば。変わってしまえば。
それが出来なくとも、私の周りが変われば。
不良と友達になるのはどうだろうか?
いや、本物の不良は駄目だ。不良・・・みたいな奴とだ。
そうだ、そして友達になろう。恋人でも良いかもしれない。その人を好きになれば、あり得る事だ。
そして、その不良もどきの友達の・・・本物の不良が現れる。
そうすれば・・・私の世界は、変わる筈・・・。
・・・何を考えているんだ・・・・私は。
そんな、都合が良い訳がない。
こんなもの、話にしても面白くないだろうな・・・。
でも、そんな奴が存在したら、私は友達になれるだろうか?好きになれるだろうか?
向こうも、私と友達になってくれるだろうか?好きになってくれるだろうか?
望むだけなら、望むだけなら私にだって許されるだろうか?
夏休みが終わり、それでも猛暑は続いた。
「ここは?」
ふと、ある扉を見つけた。
「確か・・・屋上への・・・」
私はその扉を開けた。
生徒立ち入り禁止だと知っていたけれど。
違う世界が見たくて・・・。
屋上への扉を開けた。光が差す。少し目を細める。
まるで、景色が一変したような、そんな気がした。
「何でアンタ見たいな優秀な人がここに?」
「・・・・そうか。私が・・・いけなかったのか・・・」
目を開けた時、私は泣いていた。流し尽くしたと思っていたが、私は泣いていた。
私が作り出した。私が生みだした。私が・・・・。
喜央の顔を思い出す。笑顔を思い出す。喋り方も、菓子パンを食べている姿も。
「喜央・・・・会いたいよ・・・・」
私は・・・お前が・・・好きだよ・・・。
だから・・・会いたいよ。
もう一度、私と・・・あの屋上で・・・一緒に。
優しい言葉をかけて欲しい・・・。笑顔で、私を見てくれ。
「独りは・・・辛いよ・・・・喜央・・・・」
流し尽くした筈なのに、涙は溢れ出てきた。
枯れてしまうぐらいに・・・・溢れて、流れた。
何か、悲しくなってしまった。
喜央と瀬来間は咲隼が作り出した存在。
だから消えてしまった。
もう少しでフィナーレですなぁ~。
でも、終わり方は悩んでいます。どうしよ・・・。
では、もう少し最後までお付き合いください。




