≪ 崩壊 ≫
少しずつ・・・歯車が、狂う。
気が引けているのは事実だ。
行かないって手もあるが、それは逃げている様だったので嫌だった。
「瀬来間・・・さんは、まだ来てないのか?」
恐る恐る扉から頭だけを出し、喜央に訪ねた。その姿を見て、喜央は爆笑していた。
「で、何故彼女は昨日あんなに怒っていたのだ?」
喜央の前に立ちながら尋ねる。
相変わらず、喜央は菓子パンを齧りながら座っている。
「答えろ」
少し命令口調になってしまった。
「あぁ~どう言って良いのか解らないなぁ~」
誤魔化されている様で、頭にくる。
「何故怒っていた?それに、『来れる筈が無い』とは何だ?」
昨日、彼女が言った不可思議な言葉。その意味が知りたい。
「知ってどうする?」
冷めた目で、喜央が言い放つ。その目に、私は少し気圧されていた。
「どうすると言われても・・・」
「俺は、ここに来る事を許したが、知る事は許してない」
「何故お前の許しがいるのだ?ここはお前のモノじゃないぞ?」
いつの間にか、君からお前になっていた。
でも、そんな事は私は気付いて無かった。
「そうでないと、お前はここには来れなかった」
「どう言う意味だ?」
私が尋ねると、喜央は頭を掻いた。
「アンタ・・・もし、ここが普通じゃなかったらどうする?」
良く質問の意味が解らない。普通では無い?何が?
「意味が・・・解らないのだが?」
そう私が言うと、だろうなと言った顔をした。
「だから、説明出来ない。気付けば、壊れる」
何が壊れる?一体何が?
今日も夢を見た。優しい夢。
初めて、私を私だと見てくれた夢。
もう、嫌いだと言わなくて良いのだ・・・。
私は大好きなのだ・・・貴方が・・・。
だから、私はここに居る・・・。
何が何なのだ?
昨日、喜央は言っていた。
『気付けば、壊れる』
何が?一体・・・何が?
「あら、咲隼さん。どうしたの?眉間に皴何か寄せて」
国語の教師が私に話しかけてきた。
私はちょうど良いと思い、尋ねる事にした。
「あの、瀬来間さんって・・・」
「瀬来間?」
国語教師が首を傾げる。
「はい。多分三年だと思うんですけど・・・」
再度首を傾げる。
「そんな子・・・この学校に居たかしら?」
!?この教師は何を言っているのか?
「えっ!だって・・・」
「聞いた事無い名前ね。そんな珍しい名前なら、忘れる筈無し・・・」
何が?一体・・・。
『気付いたら、壊れる』
何故か喜央の言葉が頭に響く。
「だって、昨日屋上に」
「屋上?」
国語教師がまた首を傾げる。
「この学校の、屋上に通じる階段は埋められているわよ?」
?埋められている?どうやって・・・でも・・・私は・・・。
「埋められている?どうやって、何故?」
そう私が言うと、今度は困った顔をした。
「見て、みますか?」
そう尋ねられ、私は頷いた。
「どうして・・・・」
屋上に通じる筈の扉。開けたらそこには、階段がある筈だった。
「何で・・・壁?」
開けた瞬間にコンクリートの壁があった。
私は、昨日もその前も、その前も、この扉を通って、屋上に行っていた筈・・・なのに。
「埋めたと言っても、コンクリートの壁を作っただけで、中は空洞なんだけどね」
私は、国語教師の言葉など、耳には入ってなかった。
何故・・・?
どうして・・・?
『気付いたら、壊れる』
心の中で響く。
気付いてなんかないよ・・・何で・・・。
一体これは・・・?
あれ?なんか恋愛じゃなくなってね?
なんて書いてるときに思った。やべ・・・マジやべ・・・。
少し話の方向性が変わってきているのですが、ぶっちゃけ、計画通りなので。
多分もうそろ終わると思います。そんな長くやろうと思った作品ではないので。
では、最後までお付き合いお願いします・・・。