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tea break  作者: 龍門 
2/9

≪ 素直 ≫

辛い。それは小さいけれど、確実に心を締め付ける。

でも、君の温かさには、救われる。


 喜央京助。


 多分同じ学年。


「喜央?アイツは最近授業出てないなぁ~」

「喜央君?見ないなぁ~どっかでサボってるんじゃない?」

「京助ならこの学校のどっかに居るだろ?」


 不良もどきとは言っていたけれど、何故か皆喜央の事を不良と見ていない様だ。


 やはり、普通の不良ではないのか?


「何だ?咲隼。お前も喜央の事知りたいのか?流石、生徒会長だな」


「いえ・・・」


 生徒会長だからって訳じゃない・・・。


「あっ、もし見つけたら授業に出る様に言ってくれ」


「はい・・・」


 少し気持ちがブルーだ。


 けれども、『関わるな』とか言われると思ったが・・・。




「あれ?何だ、もう来ないと思ったのに。案外早く来たな」


 今日も屋上で、菓子パンを食べながら座っている。


「先程まで、君の事を調べていた」


 少し驚いた顔をしたように見えたが、直ぐに苦笑した。


「俺の事?調べても面白くなかっただろ?」


「確かに・・・君は不良と言っていたが、周りはそうは見ていない様だな」


 調べても、調べても、不良らしい事は聞けなった。


「だから言ったろ?俺はもどきなんだよ。サボる口実に、不良語っただけ」


 サボる為に不良になったか・・・でもなりきれてない様な気がするが・・・。


「だが、不良だからと言って、授業をサボって良い訳ではないだろう?」


 そう私が言うと、また苦笑した。


「この前サボってたのは誰だよ・・・」


 コイツは好きになれないタイプだ。


「私はこの前だけだ。だが、君はここ最近頻繁にサボってる様じゃないか?」


「この前だけって、今も授業中だぞ?」


「私は今、生徒会長として授業に出ない生徒を、授業に出そうと業務をこなしている。だから問題無しだ」


 その発言に、半ば呆れた様な顔をした。


「何だその顔は?」


 少しコイツには、下に見られているような気がしてならない。


「べ~つ~に~」


「ムカツクな、その言い方」


 そう私が言うと、ケラケラと笑いながら仰向けになった。


「いや~アンタ、思った以上に面白いな!」


「なっ!?」


 面白い?この私が?ありえない・・・ありえない・


「噂なんてモノは信用出来ないよ」


 笑いながら、そう言う。


「噂?」


 聞かなければ良いのに聞いてしまう。


「生徒会長は融通が効かなくて、堅物だって噂」


 それは、仕方が無いのだ。何でもかんでもOKと言っていたら、大変な事になる。


「そんな顔するなよ」


 !?顔に出てたか?油断した・・・。


 直ぐに無表情になる。すると、喜央はつまらなそうな顔をした。


「何だ?」


「いや、その顔・・・似合わないなって思って」


「似合わない?普通にしているだけなのに似合わない?」


 半ば怒っていた。


「笑えば良いじゃん」


 そんな簡単に言うなよ・・・苦労しているんだぞ・・・。


「その顔も似合わない」


 また顔に出ていた様だ・・・不覚だ。


「別に、君には関係ない」


 切って捨てる様な言葉。これだから駄目なんだ・・・。


「そう言うなよ。こうやって話すのも何かの縁だろ?それに、俺の言った事は結構、的を射ているんだぞ?」


「不良もどきが、何を言っている」


 駄目だな・・・私・・・。


 素直になる事は、捨てた。辛いから。

 素直になる事は、忘れた。辛いから。

 素直になる事は、消えた。辛いから。

 素直になる事は・・・・なる事は・・・。


「そんなに辛いのか?」


 !?何で・・・何でコイツには・・・。


「なら何で、生徒会長になった?」


「軽はずみだ。なりたかった訳では無い。少し勉強が出来たから、推薦されただけだ。そしたら、いつの間にか生徒会長なんて、ご立派な者になっていた」


 自慢の様に聞こえて、他人からしたら、頭にくるかもしれん・・・。でも、私は辛い。


「俺は、こう言う時、慰めも励ましもするつもりは無い。それは、時には人を傷つけるから、他人の優しさは時に、傲慢で心に響かないから・・・だから俺は何も言わない」


 ・・・・。


「でも・・・」


「何だ?」


 少し間が開いた。


「いつでもここに来れば良い。つまらない事話して、退屈に空を見る。そんなで良ければ、また来れば良い・・・」


 優しさ・・・なのだろうか?


 少し笑みが零れた。遠過ぎて、直ぐには解らないけど、これは優しさなのだろう。

 でも、今はこれだけで嬉しかった・・・。


 私は喜央に背を向けた。


「帰るのか?」


 後ろから声が聞こえる。


「あぁ、今日は帰る」


「そうか」


「でも・・・」


 でも・・・


「でも?」


「また、来るかもしれない・・・」


 顔が赤くなるのが分かる。


「だいたいここに居る」


「そうか・・・」


 馬鹿にされるだろうから振り返らない。


「それじゃ・・・また」


「またな」


 私はゆっくり、屋上の扉を閉めた。




 くすぐったくて、不思議な気持ち・・・。

 でも・・・温かいと思う。今はこれだけで救われる・・・。


何か・・・進まねぇ~・・・。

なんだろ・・・思った以上に進まない。

あれ、少しミスをしたのだろうか?

あれれ、少しどころじゃない様な・・・。


でも良いさ!咲隼可愛いから。

作者自身。少し我が強いと言うか、素直じゃない人は好きです。

・・・・変態か、俺・・・。


それにしても、咲隼は少しずつ内面的な事は解ってきたんですが、

喜央は全然ですね。何ですかアノ不思議キャラ?

少し扱うのに戸惑う。

でも、何も知らないキャラより、何でも知っている方が扱いやすいのですが、

これ普通の恋愛モノなんだけどな・・・。


それはさておき、ここまで読んでくれてありがとうございます。

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