将来の夢について①
さて、Yahoo!知恵袋というものがありまして、私は『将来の夢』というカテゴリーマスターになっているようです。別にそれは何でもないのですが、なんだかそんな称号が付いちゃうくらい、多くの方のお悩みにお答えしてきたんだなと思います。
このカテゴリーですごく多いのが、
『今、○学○年生なんですが、将来の夢がありません。』
『来年、就職活動なんですがやりたいことが見つかりません。』
こういう相談なんですね。これはエッセイなので、持論を好き勝手に展開していきますが、日本の教育システム上、これは当たり前のことなんですよ。若い皆さん、将来の夢が見つからないのは至極当たり前で仕方のない事で特別なことではないことを自覚してください。
なぜか。だって、学校教育の中で『職業』について学ぶ時間ってどれだけあります? 日本にはどのくらいの種類の仕事があるかご存じですか? 諸説あるのですが、ざっと1万数千種あるといわれています。私の年齢になっても、初めて知る仕事って少なくないんです。
こんだけ仕事があるのに、学校教育ではそれを学ばせることもなければ、しっかり調べるようにと促すこともほとんどしません。それなのに、どの先生も笑顔で、
「将来の夢について作文を書きましょう。」
なんてお題を出してきます。メディアもそうです。毎年のように『子供たちのなりたい職業ランキング』なんて報道してますよね。あれ、意味ありますか?
男の子
・スポーツ選手
・警察官
・医師
・パイロット
女の子
・看護師
・保育士や幼稚園教諭
・花屋やケーキ屋
・アイドルや声優
近年だと、ここになんとかチューバーとか、なんとかクリエイターみたいなものが入ってきます。要は
『目で見える範囲の仕事』のなかから選んでいるにすぎないんです。いわゆる花形の仕事ですよね。もちろん、私の本職である防災関連の仕事とか、輸入した青いバナナを黄色く熟させる専門の仕事に就きたいなんて聞いたことがありません。
私の世代は『超就職氷河期』なんて名前が付くような時代で、職を選ぶなんて信念をもって勉学に励んだ一部の人以外はなかったです。私みたいな一般人、特に勉強もしてこなかったような私は『職を選ぶ』なんて贅沢な事でした。
それでも、ご多分に漏れず『警察官』とか『消防士』『自衛隊』にあこがれていた私は、公務員系の法律専門学校に進学します。専門学校なんて『就職するための学校』ですので、みんな必死に就職活動していました。私もいろいろ先生のご指導もあって、筆記試験は何度か合格できました。でも視力が足りずになれなかったんですよね。
子供たちに描かせる、子供たちの狭い世界の中で決めさせる『将来の夢』が、叶わなかったときにその子はどうすればいいんでしょう。私の場合はいやおうなしに一般企業の就職活動へシフトさせられたので、落ち込んでいる暇はなかったですが、ずっともやもやしながら活動していました。
そのうえ、今でも『学歴フィルター』なんて言葉もありますが、当時も似たようなことはあり、『応募条件・大学卒以上』というのがすごく多くて、面接すら受けられずに外していった企業が何百社とありました。自分が悪いんですが、ほんの一言、義務教育中に『学歴で受けられない仕事がたくさんある。』ということを教えてほしかったです。
面接すること86社、一日に4件回ったこともありました。取れた内定は4つ。そして何となくで選んだ紳士服販売。どの企業でも、どんな仕事でも、後々生かされる知識や技術はありますが、もっと『学ぶ』ということに積極的になっておくべきだったと、今でも後悔しています。
学ぶといえばなんですが、私、小学生のころから小説を書くのが趣味だったもので、本もたくさん読んでまいりました。お陰様で、国語の成績だけはいつも抜群で、世の中が国語だけなら一流大学に行けたのかもしれないと勝手に思っています。高校2年生のある日のこと、期末テストで学年1位の成績を取った国語、そして、学年ワースト1位の成績となった数学。2枚の回答用紙を前に、担任が腕を組んで悩んでいました。
「褒めてやりたいんだけど、方やワースト。。。」
当時、数学とか化学とか物理とか、社会に出たら絶対必要ないだろとか勝手に思っていて、好きな国語や社会科はよく勉強しましたが、それ以外に興味のない科目は全くやらないわかりやすい性格でした。でも、世の中には『師』と呼べる方がいらっしゃるんですよ。私にも何人かいらっしゃいましたが、特に高校3年時の担任U先生は今でも尊敬している先生です。
警察官を目指すといって、法律系の専門学校に進学を決めた私に、国語の教師でもあったU先生がおっしゃいました。相変わらず国語と数学でベストとワーストを取った時です。
「学校の勉強ってのは大人が勝手に決めてやらせてる勉強だからさ、好きな科目を目一杯やるのでもいいさ。でもな、社会に出てからの勉強は、全部自分に跳ね返ってくるから、選り好みせずに全力で取り組むんだぞ。」
この言葉は私の人生の教訓になっています。確かに、仕事に関する勉強というのは、直接自分の業務につながります。つまりそれは実績にもつながり、実績は自分の昇給、昇格、賞与、すべてにかかわってきます。
ですので、皆さんの中に得意不得意な教科があっても気にしなくて大丈夫です。だけれども、社会に出て、仕事に就いたら、その道のプロとして目いっぱい学びの時間を持ってください。情報が必要なら集めましょう、資格が必要なら取りましょう。5年後、10年後の立場と所得を作っていきます。
さて、少し話がそれましたが、将来の夢に関しての話に戻します。まずは皆さんには、あらゆるツールを使って、世の中にどんな仕事があるのか調べてください。1万数千種すべてが無理でも、今現在知っている範囲の中から決めるよりも、調べれば調べただけ選択肢は増えていきます。
その中で、やってみたいことや興味を持ったことを書き出していってください。その仕事についてもっと深く掘り下げて調べると、どんな資格が必要なのか、どんな学歴が必要なのか、年齢的に行けるのか、性別はどうかとか、いろいろわかると思います。そうすると、どんな進学・進路を取ればいいのかが見えてきます。
大学に進学して、専門的な学部を専攻して職を目指さなければいけない仕事もあるでしょうし、まずはその仕事に就いてから技術を磨いていく、学歴よりも実践技術という仕事もあると思います。そうやって何をしていけばいいかがわかれば、ようやく次は勉強です。これが、U先生の言いたかった『自分の為の勉強』です。
まずは、自分がやってみたいことを絞って、そのためにどんな進路を取ればいいかを調べる。そうやって自分の進むべき『道』を作っていきましょう。