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私の職業①

 私の仕事はライフライン施設での防災の仕事をしています。防災と言っても多岐にわたり、来館者の出入管理や警報対応などの警備業務もあれば、災害発生時の防災活動、具体的には自衛消防隊組織として、大型高所放水消防車を使用して消火活動したり、消火器や消火栓、消火設備の点検や保守、関連企業様への消火器や消火栓の取り扱いを訓練する防災インストラクター、AEDを使用した救命処置や応急手当などをレクチャーする救命インストラクターなどなど、色々あります。


 ただ、例えば営業や販売職のように、『数字を達成する!』という目標を持ったり、学校の先生のように、『生徒を卒業させる!』とか、そう言う花形のような目標はありません。


 私たち防災の仕事の最大の成果、それは、、、



『何も起きないこと。』



 そうなんです。いくら訓練を積み、防災活動のプロフェッショナルでも、救命処置を完璧にできるようになっても、私達の仕事の知識や技術が活躍する場面は、残念ながら『誰かに何かあった時』になります。


 それは、『人命』に直結することがほとんどですので、毎日の業務は真剣に取り組みます。知識を身に付けるために様々な資格も取得します。ですが、それらを使わないことが私たちの最大の成果であり、最大の勝利になります。


 うーん。地味、本当に地味な仕事ですね。だって、最大の成果が何にも起きないことですから、要は退屈であれば退屈なほど、平和であれば平和であるほど、危険はないのです。だからと言って、何か起きた時には適切で完璧な対応をしなければ、ぶっちゃげ人が死にます。だから、手を抜くことができません。



 私がこの仕事を選んだきっかけは『東日本大震災』です。



 懸命に被災者の救助活動に当たられる自衛隊や消防関係者様、その姿に感銘を受け、自分にも何かできないかと考えて選んだのが『警備』のお仕事でした。それが34歳の時です。それまでは、接客販売や営業など、『物を売ってなんぼ』『数字を作った物が勇者』な仕事をしていました。花形から日陰に移動した感じですね。


 今の会社はより防災職が強く、自分のやりたかった仕事に近いと感じ、6年間の警備隊長経験を経て、41歳の時に転職をしました。


 もっと早くやればよかったんじゃないの? なんて言われるかもしれませんが、言い訳をします。私の世代は『就職氷河期』という時代でした。何十社と面接をして、数少ない内定の中から仕事を選ぶような時代でした。特に私は専門学校でしたから、就職できないことが恥と教えられていました。


 誰か困っている人の助けになりたいと、警察官や自衛隊を目指すために専門学校は法律系の学校を選び、警視庁も自衛隊も採用筆記試験は突破できました。しかし、どちらも私の視力の悪さが仇となって叶えることはできませんでした。悲しんでいる暇もなく、公務員から一般企業へシフトして就職活動に入っていきます。


 今でも記憶しています。私は86社の面接を受けましたが、内定が出たのは4社。学校の先生からは、『面接に行く会社が少ないから内定も少ないんだ。』と怒られたのを覚えています。本当は警察官になりたかったのですが、筆記は合格しても、そのあとの身体検査などで通過できず、泣く泣く一般企業に就職しました。それも。4社の内定の出た会社の中で紳士服の販売会社を選んだのは、『スーツやネクタイを身に付けるのが好きだったから。』それだけです。


 私の時代はPCもそこまで普及していなくて、通信もポケベル|(若い方知ってるかな?)からPHSやガラケーにようやくシフトしていた時代。今のように、通信で何でも調べられる時代ではなかったのです。


 だからこそ、今の時代の若い方が将来の夢で悩んでいるとモヤモヤします。あえて批判覚悟で言いますが、若い皆さん、正直言って『贅沢』です。


 あなた達は、インターネットというものを駆使して、いくらでも情報を得ることができます。私の時代にはできなかったことが、自宅で手軽に調べられます。だからこそ、『将来の夢』がないと言わず、徹底的に『職業』というものを調べてほしいんです。


 もうひとつお伝えします。どうせ、黙っていても、将来に悲観しても、何をしていたって明日はやってきます。いやってほどやってきます。そして、明日が来る以上はお腹も減りますし、食べるためには『お金』が必要です。


 私の先輩の言葉です。『人生美味いもんさえ食えれば残りの時間はオマケみたいなもの!』じゃなかった。すみません、訂正です。『1日の大半は仕事をするのだから、仕事が楽しければ人生幸せじゃないか?』そう言ってくれた先輩がいました。本当にその通りで、イヤイヤ好きでもない仕事をするのと、好きだと思える仕事を楽しくやるのと、どっちがいいかというお話です。


 そのための一つの手段が、『やってみたい』と思う仕事に就くことです。私の時代はとにかく内定、とにかく就職、でした。今は転職もハンディにはなりませんし、事前に調べていくことができます。


 『生きるのが面倒くさい。』『好きな仕事が見付からない。』そう言わずに、イヤでも生きていかなきゃならないんだから、しっかり調べて、少しでも『興味を持ったこと』を仕事にしてみませんか? 惰性で生きて、なんとなく選んだ仕事で人生を消費するより、早いうちに楽しく働ける仕事を見付ける方が、人生ハッピーだと思いますよ。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 86社の面接を受けたのに『面接に行く会社が少ない』 と宣う学校の先生は、いかがなものかと思います。
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