15.まだ終わらんぞ-純増で八体である-
全44話予定です
私は挿絵は描けませんが、曲ならなんとか作れたりします
という訳で、現在連載しているこの小説に曲を付けてみました
曲名は小説と同名の「レイドライバー」です
もしよろしければ一度聴いてみてください
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曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)
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「まだ終わらんぞ」
とクロイツェルは続きを話し始めた。
それによると、四体の改修と、現在いるパイロットの機体分の二体、それから先ほど研究所でみた二体用、更にはもう四体を用意する、というのだ。
純増で八体である。これをあと三か月で仕上げようというのだ。
「それはいくら何でも無茶ではありませんか?」
思わず声が出る。
「そう思うかね? 工場は常に稼働している。きみたちが敗退する前から常に生産体制は採ってきたのだ。実際、きみたちの事件の際には骨格が出来上がっていた機体が既に三体あったのだよ。そこからの増産、と言ってもいいこの生産体制を維持してきたのだ、ずっとな。それから駆動系を一新する、と言ったな? そこで出てきたパーツはまだ使用できる。なのでそちらに回そうと思っている」
クロイツェルはそう言うと、
「だがしかし、確かにこれは無茶が過ぎるというものだ。なので猶予をもう一か月作ろうと思う。それでも職人たちには睡眠を削ってもらう事になるが」
どの国も最後は手作業の部分は職人頼り、といったところか。同盟連合とてそれは同じだ。戦闘をしていないからといって生産ラインを止めたりはしない。
現在、帝国、同盟連合ともにレイドライバーの生産を第一にしている。それは、他の兵器を作らないと言っている訳ではない。ただ、他の生産ラインに比べてレイドライバーの生産に注力が向いている、という話なのだ。
もちろんレイドライバーだけで戦争は語れない。それは航空戦力だってそうだ。最新鋭機の生産だってしなければならないし、失われた通常戦闘機の補充もしなければならない。場合によっては増強だってあり得る。
現に今回の日本奪還で[同盟連合はどの地方でも戦闘が出来るし、戦闘は継続している]というアピールをした形になっている。もちろんそれは当の同盟連合が望んだアピールだ。
つまり[休んでいる暇はないぞ]と。[何処でも戦闘になり得るぞ]と。
それには地上部隊の増強だって考えられる。
更に言えば、兵器は数年から数十年サイクルで古くなってくる。古いタイプの兵器は新しいタイプの兵器と一対一で対峙させた場合、使い手の技量が同じであれば、間違いなく新しい兵器の方が勝るのだ。
それは詰まるところ兵器にも[新陳代謝]が必要である、というのを表している。作って終わり、ではないのだ。作っては新しいものに交換しまた作る。それだってかなりの生産力をつぎ込まないといけない。
くどいようだが、レイドライバーだけで戦争は語れないのである。
それでも注力せざるをえない事情というものがある。
部隊の消耗というのが一つ。もう一つは想定される相手戦力との均衡である。相手が十体揃えてくるなら、こちらも十体揃える必要がある。しかもそれは戦力差がなくて、という前提条件が付く。
戦力差があるようならなおさら数を揃えないといけないのは自明の理だ。クロイツェルは決して楽観論者ではない。今回のこの数を提示したのにだって彼なりの理由が存在するのは間違いない。でなければ八体の増産なんてありえないのだ。
だが、これが揃えば全部で十二体。四体ごとの編成をとれば三隊に分けることが出来る。いわゆる分隊化だ。そして分隊化出来れば何もすべてをアルカテイルに向けなくてもいい、という話にもなる。
それは先ほどの話ではないが[同盟連合はどの地方でも戦闘が出来るし、戦闘は継続している]というアピールである。現に同盟連合は日本という、アルカテイルからほど遠い地方にレイドライバーを派遣したのだ。そんなに離れたところでも戦闘が起きる可能性がある、と示したのだ。
それは現在の三国間の、予定調和になりつつある戦闘状態に火を放つ事にもつながる。
レイドライバー登場以前の、この世界情勢が三国に統一されていく際の話とも繋がる。
全44話予定です




