表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

猫じゃなかった

作者: らんらんらん




ああ〜好きだなあ〜


日向ぼっこしながら、一生懸命勉強してるご主人様を眺める。とても幸せ。


俺は猫だ。たぶん。

なんか、人間だった気もするんだよなー

言葉もわかるし、文字も読める。計算も出来る。

猫の常識には疎いけど、人間の常識はなんとなくわかる。

挨拶で鼻をかぐとか、肛門狙われるとか、猫の世界は難しいよー

人間なら名前名乗るだけで済むのに。

もう気軽に外なんて出ないー


そういえば、名前わかんないや。

ご主人様には、レオンって呼ばれる。


やっぱ、俺は猫なんだなあ〜

ゴロンゴロン。


「レオン、お茶にしましょう」


来ました!お膝でなでなでタイム!わーい!


「ニャア」


トンッと、窓際から飛び降りてソファに向かう。

抱きあげて膝にのせてもらうのだ。

ご主人様の匂い。いい匂い。


ふわあ〜しあわせ〜

喉なっちゃう〜ゴロゴロゴロゴロ



ぼふんっ


「………………あれ?」


俺、人間だった?


「あら、やっと変化薬の効果が切れたのね」


膝枕の状態で、ご主人様を見上げる。


「そっか。ご主人様じゃなくて、お義姉様だった」


なんか、すごく残念。


「…その変化薬、副作用がありそうね」


そうだ、そうだ。

婚約者が決められそうになったから、研究でお金いっぱい稼いで断ったんだ。

少し疲れたから、猫になる変化薬を飲んでゆっくりするって言ったんだ。


「俺、どれくらいの期間、猫だった?」


「一ヶ月よ」


「そっか〜」


人間に戻ったけど、お義姉様はなでなでしてくれる。

猫の背中も気持ちいいけど、髪の毛も気持ちいい。

うん、これもしあわせ。



お義姉様は、義母の連れ子。

俺は、父の連れ子。

ここは、義母が当主の伯爵家。

お義姉様が次期当主だから、俺はどっかに婿に出されそうになった。

でも、俺はここに居たい。

お金で家に貢献したから、きっともう大丈夫。



「レオン」


「なあに?」


「私の婿になりなさい」


「んー?お義姉様、婚約者いなかったっけー」


確か、侯爵家の三男だったかな。

やたら派手な顔で、ペラペラしゃべる人。


「前から不貞の証拠を集めてたの。あちらの有責で婚約破棄したわ」


「いつのまに」


「先週よ。お母様のお友達の息子だからって、あんな不良債権押し付けられるのは困るのよね」


「そうだねー」


「レオン、ずっとここに居なさい」


およ?

そういえば、義母の許可は取ったけど、次期当主のお義姉様の許可貰ってなかった。

うん、これでずっとここに居られる。

良かった、良かった。



「レオン、結婚式は一年後でいいかしら?」


「俺とお義姉様、ほんとに結婚するのー?」


「そうよ。レオン、私のこと好きでしょ?」


バレてるー。なんでバレたんだろー?

でも、もうお義姉様に婚約者いないし。

言ってもいっか。


「……うん。好きー」


「私も好きよ。のんびりレオン」




しっかり者の女伯爵と天才研究者の夫婦は、伯爵領を発展させよく治めた。


女伯爵の膝には、よく猫がいたらしい。



「レオン、甘えるのに毎回猫にならなくてもいいのよ」


「…ニャア」






「レオン、何やってるの?」

「変化薬の改良。羞恥心を感じないようにすると、記憶が曖昧になるみたい」

「羞恥心?」

「うん。猫だとトイレ使えないし。あと、猫だとパンツ履けないから」

「パンツ…」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 名前がレオンなものだから、てっきり実は獅子でしたー!となるかと思って読んでいたでゲスよ。 ねこになりーたーい〜って歌もありますけども、全人類の3分の1くらいの望みな気もしますけども、この薬は…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ