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神々の選んだ錬金術師  作者: すいな
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服装を…

アシーナとイシュハが身支度を整えて出てきたのは、俺が着替えた約20分後だった。

元々美人な二人だが、出てきたときにはオーラまでもが変わっているのだから驚きだ。

アシーナは、この間俺と選んだ服。髪は高い位置で一つに束ねてある。

イシュハは、ふんわりした淡い緑のワンピース。耳にかかる部分の髪を編み込み、軽くまとめている。

二人の後ろからは、得意げな姉さんが小さなポーチを持って出てきて、そのまま洗面室に入って行ってしまった。

…女子って、すごいな。ソルドもすごいけど。

見れば、俺はなんら変わっていない。服も髪形も、なんにも凝ってないし…すごく居心地が悪い。


一人で勝手に落ち込んでいると、突然ソルドが声を上げた。すでに雰囲気と口調は学生時代だ。

「イシュハ。僕たちは慣れてるから問題ないけど、街中で飛んだり、いや、そもそも――気を悪くしたらほんとに申し訳ないんだけど――その大きさだとやっぱり周りにとっては違和感があると思うんだ。だから、僕たちと同じくらいの大きさになることってできるかな?」

イシュハは顎に細い指を当て、視線を少し右斜め上に向けた。

やがて視線をこちらに戻すと、彼女は自分の胸元に人差し指を向けた。

そして、複雑な図形を描くように指を服の上から滑らせた。

小さい笛を吹いたような高い音が響いた。次の瞬間、彼女の頭はアシーナより5センチほど低い位置にあった。


「これでどうだ? 羽は収めた。恐らく違和感はないと思うぞ?」

腕を柔らかく広げ、彼女は小首をかしげた。

髪、目、鼻、口、首、腕、ウエスト、脚。すべてのパーツにおいて、縮尺を変えただけ。バランスは

完璧だ。

俺は気まずさと落ち込んだ気分を振り払うように、首を何度も縦に振った。

アシーナが歓声を上げた。

「すごいわ! 違和感なんてどこにもない!」

「強いて言うなら、少し尖ってるこの耳だけだね。でも、よく見なきゃ気が付かないよ。だから全然大丈夫だ」

学生時代風のソルドも言う。

イシュハの頬が少しだけ動いた。相変わらず表情筋が硬い。が、少しだけ動いたその頬が、一刷毛赤くなっている。

すぐにふいっと扉の方を振り返って、少し拙い動きで歩いて行った。…照れ隠しかな。

「じゃあ、僕たちも行こうか」

ソルドがそう言い、彼女の後をついて行った。

アシーナと顔を見合わせる。

どちらからともなく距離を詰め、俺たちは並んで歩き出した。

後ろから姉さんが手を振るのを感じ、振り返って軽く手を振る。

靴を履いて、俺たちは家から出た。


街の大通りは普段よりもかなり人出が多く、なおかつにぎわっていた。店によっては、飾りの旗まで飾ってある。

恐らく、俺たちが勝ち星を挙げてきたのが伝わってお祭りモードなのだろう。客引きも、いつもより多い気がする。

周りよりずっと背が高いソルドを先頭に歩く。その隣にはイシュハ。

俺とアシーナはそこから少し引いた位置にいるが、なかなか目立つ一行になってるだろうな…

事実、周りから視線が集まっているのが分かる。

突然、ソルドが振り返った。

「ニーケ、アシーナ。まず行きたいところある?」

「私は特にないわ。あなたたちに任せる」

アシーナは即答。

「…俺は、格好をどうにかしたい」

恐る恐る提案する。そりゃあそうだ。周りの3人と釣り合わなさすぎる。特に、隣がアシーナなのだから辛い。


ソルドとアシーナが顔を見合わせた。

「…別にいいけど、ニーケ、そんなに気にしなくてもかっこいいよ?」

ソルドのフォローが入る。俺の気持ちの持ちようだからいいの!

「ソルド御用達の店! 教えて! そして俺に服を選んでほしい!」

両手を合わせて頭を下げた。彼は視線をちょっとずらして頭に手をやった。

やがて視線を戻すと、ちょっと困ったような表情で遠くを指さした。ニウム学園の方角だ。

「僕が服とか買ってる店、すこし遠いんだけどいいかな…?」

俺は首が壊れるくらいの勢いで何度も頷いた。

隣のアシーナは、不思議そうな顔で俺を見ていたが、視線をソルドに戻すと軽く頷いた。

イシュハは意外そうな顔で俺を眺めた。

「へえ、そういうのに無頓着なものだと思っていたぞ。何を着ていても様になる容姿だからな、お前は。だから気にする必要もないと思うが」

「そうだよ。今日の服だってすごく似合ってるよ? 真っ白のパーカーにジーンズ、っていうかなり無難な選択だけど」

ソルドがまた言う。二人のコメントは、俺の心にかなりぶっ刺さった。褒めてるつもりなんだろうけど。結構痛いよ…

ギリギリの笑顔を作って、俺はソルドを見上げた。

「…とりあえず、行こう。屋根とかに上るんじゃなくて、普通に歩いて」

俺の笑顔の危うさに気づかなかったのか、ソルドはまっすぐな笑顔で俺を見た。

「じゃあ、行こう!」

イシュハも気づかなかったらしい。ソルドの横に並び、二人で歩き始めた。

気が付いたアシーナが励ますように手を握ってくれた。それを支えに、俺はソルドの後ろに並んだ。

今後2週間は投稿できません、ごめんなさい!

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