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神々の選んだ錬金術師  作者: すいな
73/95

用意

翌日。

俺は朝早くから起きて、外に出た。準備体操をするためだ。

流石に何も用意しない状態で出陣するわけにはいかないからなぁ…

薄い青色と橙色の空を眺めながら、俺は伸びをした。

朝のひんやりとした空気を孕み、風が俺の頬を軽く撫でた。

両足のコンディションを入念に整えると、俺は地面を蹴った。


疲れすぎないよう軽くジョギングをして帰ってくると、姉さんはもう朝ごはんを作って机に並べているところだった。

アシーナ、ソルド、イシュハももう椅子に座っている。

「ごめん、遅くなった」

靴の泥を落としながら、俺は姉さんに謝った。

全く気にする風情を見せず、姉さんはにっと笑った。

「今日出陣なんでしょ?その準備に行ってきたならとやかく言えないさ。ほら、冷めるよ」

姉さんの言葉に従い、俺は席についた。

出陣を意識してかはわからないが、朝から豪勢に豚肉だ。

俺たちは手を合わせると、勢いよく食べ始めた。


食べ終わると、俺は刀を整え、軍服に袖を通した。

部屋を出ると、目の前にアシーナが立っていた。

制服ではなく、昨日買った服を着崩している。

「ニーケ。私たちは行かない方がいいよね?この前は他のところを討伐してくるって言ったけど、ニーケがいないとなんか落ちつかなくて…」

髪を軽く束ねた姿で彼女は言った。

赤面しそうになるのを精神力で必死で抑えながら、俺は頷いた。

恐らく、彼女たちが来たら兵の仕事がなくなる。

どうやら俺が言わずとも彼女はそれを察したらしい。にこっと笑うと、自分の部屋へ戻ろうとした。


「あ、ちょっと待って」

咄嗟に、俺は彼女を呼び止めた。

驚いた表情で振り返った彼女の近くに顔を寄せ、俺は囁いた。

「今回行くのは、現在の最前線だ。今まで軍が出陣するようなところに15柱獣が出てきた例はなかったと思うが、今回はわからない。兵の仕事がなくなるのは少し困るけど、いざ出てきたときに俺一人でそれに対応できるとは思えない。だから―――言い方は悪くなっちゃうけど―――保険的な感じでついてきてくれないかな?」

彼女は少し考えたのち、頷いた。そして、俺に視線を合わせた。

「任せて。精いっぱいのバックアップをするよ」

頼りがいのあるそのセリフに、俺は微笑んで頷いた。

「今日の出陣場所はレアネ。君たち三人がその近くの戦場に加勢してきてからこちらに来ても、時間はあると思うよ」

俺のセリフに、彼女は頷いた。

「それじゃあ、行ってくるね」

俺がそう言って離れると、彼女はふわっと笑って手を振った。

軽く手を振り返すと、俺は家を飛び出した。


城へはあっという間についた。門の前には、エクセレスと姉さんが人待ち風情を漂わせて立っていた。

どうやらエクセレスの方が先に俺に気が付いたらしい、姉さんにこそっと耳打ちしたのが見えた。

姉さんはそれを聞いたうえで初めて俺を認識したようだ。元気に手を振れているあたり、昨日ちゃんと休めたようだ。

「あー、ニーケ!昨日はありがと!おかげで仕事がさっさと済んだわ!」

ぶんぶん手を振りながら、姉さんは元気よく言った。

温度差が半端ではなく、なんとなく白けながら俺は答えた。

「…そっか。よかった」

「今日は出陣の用意に来たのよね!イシュハとソルドとアシーナちゃんは連れてこなかったのね?」

テンションを下げることなく、姉さんは言った。

「まあ…あの二人連れてきたら絶対軍の仕事なくなるし…」

俺も同じテンションのまま答えた。

「それもそうね!じゃあ、軍の駐在地に行ってきてね!準備が整い次第、連絡しに誰かを向かわせるから、それまで作戦とか説明してて!」

「わかった」

俺は軽く頷くと、中庭に向かった。

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