表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神々の選んだ錬金術師  作者: すいな
38/95

38 14

速い。

間一髪のところで後ろへ避ける。

避けた、と思った次の瞬間、後ろに殺気を感じた。

上空へ飛び上がり、逃げる。


「逃がさないわよ?」

俺の頭上に雲がかかった。

雷が来る前の、ピリピリした感じが俺を襲った。

これはヤバい。


「錬成っ!」

空気を固め、それを蹴って軌道を修正。雲から逃れる。

俺が避けた次の瞬間、雲から俺がいた場所へ雷が落ちた。

「ちょろちょろと見苦しい。一思いに殺られればいいのに」

ケーリは憎々し気に吐き捨てた。

「殺されてたまるかよっ!」

ケーリの方へ空中を駆ける。


まずは目を潰すっ!

刀を錬成、ぶん投げて目に突き刺す。

叫び声は、上がらなかった。

代わりに、シュゥゥゥという音とともに、煙が出た。

何が起きた?


煙が収まった。

カラン、と刀が落ちる音がした。

唖然。

銀色の目が、元通りに再生していた。

ケーリは、得意げに笑みを浮かべた。

「お生憎様。私の体は再生するのよ。でも、折角あなたみたいな強い人間と相まみえたのだから、ちょっとは傷をつけてほしいわ。もう少し致命的な傷をつけてみなさい」

そう言うと、ケーリは上空へ飛んだ。


不意に、俺のすぐそばに小さい雷が落ちた。

そのあとから、次々と白金色の鋭く尖った石が降ってきた。

ほとんど感覚で避ける。

もはや目視不可能な速さに至っている。


俺は避けながら考えていた。

生き物である限り、死は必ず訪れる。

傷もつく。さっきの攻撃で目に刀が突き刺さったのがいい証拠だ。

どうすれば、再生させることなく傷をつけることができるだろうか。


不意に、かなり危険だがやってみる価値のある思い付きをした。

ドラゴンは、自分で自分の体に触れようとしない。

触れることで体に深い傷を負わせてしまうからだ。

ケーリもドラゴンならばそれは同じだろう。

ならば、ケーリの体の一部を剥がしとり、それで攻撃すれば…


俺は飛び上がった。

ケーリに猛スピードで近づくと、一閃。

爪を削り取った。


どうやら爪を削られるとは思っていなかったらしい、ちょっと唖然とした顔。

爪も再生する。煙がちょっと出て、爪がまた生えてきた。

その間、ケーリは動きがストップしていた。

これは…


「ふうん、ケーリ。お前が負う傷は浅いほど再生が速いんだね?」

俺は落下しながら聞いた。

「あら、バレちゃったならしょうがないわ。認めるわよ」

ケーリは俺を見下ろしながらそう言った。

どこか楽しそうな感じが混ざった声だった。


次の瞬間、ケーリは俺の目の前にいた。

「年貢の納め時ね。覚悟を決めなさい」

氷よりも冷たく、残酷な声でケーリは告げた。


俺は今、刀を構えてもいない。

受け身を取る姿勢でもない。

錬成して逃げられるわけもない。

死が確定しているシチュエーション。だが…


「来てくれるのを待ってたよ、ケーリ」

俺は不敵に笑い、右手で刀を、左手でケーリの爪を握りなおした。

ケーリが一瞬怯んだその瞬間、

首を一閃。

僅かに、細い煙が出てきた。ケーリの動きが止まった。

刹那、俺は切り口から大動脈を探し出し、爪で掻き切った。


断末魔の悲鳴。

今まで聞いた中で最も恐ろしく、そして最も美しいものだった。


ケーリの体と首は、地に落ちた。

俺は、すたっと着地した。

ケーリは、何かを呟いていた。


「…様、私は……果たせ…ぅか」


あまりに声が小さく、俺には聞き取ることができなかった。


ケーリの頬に一筋、涙が伝った。

美しい銀色の目が、生気を失った。

「安らかに眠れよ、ケーリ」

俺は、そっと彼女に声をかけ、そして立ち去った。


「…そうか、ケーリが死んだか。あいつを殺すような奴が生まれた、ということだな。はは、いつになったら俺様のところに来るかな?楽しみじゃないか」


ケーリの死の一部始終を、水晶玉で見た男が言った。


薄暗い空間で、邪悪な影がほくそ笑んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ