36 特殊部隊の戦場
俺は飛び出しざま、すぐに本部長室へ向かった。
扉を3度ノックし、開ける。
ほかの3人は、もう本部長の前に陣取っていた。
肝心の本部長は、小さくなって冷や汗をかいている。
あの人、俺たちが来るたびにあんなに汗かいて大丈夫なんだろうか。
「あ、ニーケさん来ましたか…」
本部長の顔にひきつった笑顔が浮かんだ。
「はい、遅れてすみませんでした」
俺は敬礼して答える。
「べべべつにいいですよ…。で、今残りの三人に大体の流れをお話ししましたので、そこから聞いてください…」
終始流れる汗をひきつった笑みのまま拭きながら、本部長は言った。
俺たちはうなずき、部屋を後にした。
俺が出た瞬間、本部長はほおっと一息ため息をついていた。
「で、俺たちが今日行くのは!どうやら最近魔王軍のドラゴンが巣食っているらしいヒライドだ!巣食っているだけならまだいいが、どうやら周辺住民を片っ端から殺しているようでな!殲滅しろとのことだ!」
特殊部隊専用の部屋に入るや否や、ソルドが叫んだ。
こいつ、熱血キャラになったよな。いつからだろう…
「うん。ドラゴンかあ、僕は実物見たことないや。ニーケ君とアシーナちゃんは見たんだよねえ?」
ハオラン先生は俺たちに質問を投げかける。
俺はうなずいた。
「ええ、見ました。この間のと今回のドラゴンのサイズ感が一緒ならの話ですが、足の太さだけで俺の身長くらいありますね」
「なるほど!かなりでかいのだな!」
ソルドは相変わらずの大声で言う。
「そうね、かなり大きいからその剣で首を断ち切れるかしら」
アシーナが問題点を口にした。
「それについては問題ないよぉ。僕たち、今日はこの武器じゃなくて一回り大きいの使うつもりだから。それでも無理だったら2人にとどめはお願いするねぇ」
のんびり先生が言う。
…今回、俺たちの責任かなり重くないか?
「そう、わかったわ。じゃあ行きましょうか」
アシーナが言い、俺たちは連れだって外へ出た。
「どうやらここがヒライドのようだ!」
ソルドが一番最初に外へ出て、言った。いつもよりトーンは落ちている。
ヒライドも、かなりひどい状態だった。
辺りはドラゴンが吐いたであろう炎で丸裸にされ、草一本すら見つからない。
木が生えていたとしても、おそらくドラゴンが飛ぶ時の爆風によってだろう、へし折れている。
見えている地面はえぐられている。
「うわぁ、これはヤバそうだね。がんばらないとなあ」
一回り大きい刀を2本構えた先生が言った。
「ええ、じゃあ戦う前にドラゴンの弱点について話そうかしら」
アシーナがいつもの落ちついた口調で言った。
「おねがいしまーす」
「ドラゴンは、首を斬り落とせばもちろん死ぬわ。だけど、もう一か所弱い場所があるの。それが腕。血管が多く集まっていて、斬り落としてしばらくすると失血死で殺せるわ。それに、攻撃するとき、至近距離で戦おうとすると腕が出てくるから、間合いに入れれば比較的攻撃しやすい場所ね」
地面にドラゴンの絵を描きながら、アシーナが説明した。
初めて知った!やっぱりアシーナは博識だ…
「でも、すぐには死なないんだよな!ならば、まず翼を斬り落として移動手段を無くすのも手じゃないか?」
ソルドが提案する。
「ああ、それには賛成だ。だから、俺とアシーナがドラゴンをひきつけるから、その間に翼を斬り落とせ。それでいいか、みんな?」
俺も提案する。
「「「いいよ」」」
三人はうなずいた。
猛烈なスピードで巣へ突っ込む。
ドラゴンたちは、どうやら足元をちょろちょろ走る虫くらいにしか俺たちを認識していないようだ。
今巣の中にいるドラゴンは3頭。
それだけなら、俺一人で行けるな。
まとめて目を潰して気を引く。
「錬成」
奪い取ってきたキマイラの爪を矢にして、3頭のドラゴンの目を潰す。
ドラゴンたちの絶叫が響き渡った。
「さあ、翼を斬り落とせ!!」




