33 特殊部隊に入隊…
「あら、ニーケにリンじゃないの。久しぶりね」
本部に帰ると、ちょうどアシーナと鉢合わせになった。
制服に刀。おそらくこれから出陣だろう。
俺は軽く微笑んだ。リンは破顔した。
「やあアシーナ」
「アシーナちゃん!久しぶりー!」
アシーナも、俺たちにこたえるように上品に笑った。
「ニーケ。リンの手続きを済ませたら、ちゃんと女子寮に部屋とるのよ?」
俺がずっとリンと同じ部屋で暮らしていたからだろう。アシーナが念を押した。
「わかってるよ」
俺はうなずいた。
対照的に、リンは衝撃を受けた顔をした。
「え、ニーケ様と同じ部屋じゃダメなの?」
「ダメよ。女子寮に部屋を持つ。いいわね?」
アシーナは小さい子供をたしなめるようにリンに言った。
リンはしぶしぶ、といった体で頷いた。
「じゃあ、私出陣だから。あとでね」
「ああ」
「が、がんばってね!」
アシーナを見送った後、俺たちは受付へ行った。
受付担当は、あの小生意気な嬢ではなかった。
助かった。俺、あいつ苦手なんだよ…
「はい、新規登録ですね。お名前を教えてください」
穏やかな笑顔で、受付嬢はリンに話しかけた。
「リ、リン・コンペニ・アプライズですっ」
上ずった声でリンが言う。
「こいつ、戦闘職じゃないので他の裏方に回してください」
俺が横から口出しする。
「わかりました。では、リンさんの対応については本部長と話してから決めますので、しばらくは寮で待っていてください。これが女子寮の地図です。あなたの部屋は…308号室になります」
受付嬢は笑顔をキープしたまま、にこやかに言った。
「次に、ニーケさん。本部長がお呼びでしたので、本部長室に向かってください」
受付嬢が唐突に俺に向けて言った。
「あ、わかりました。じゃあ、リン。またな」
俺はリンに軽く手を振ると、本部に向かって走り出した。
「え、えーと、ニーケさん?あなたには今から、特殊部隊に回っていただこうと思います…」
相変わらず冷や汗かきまくりの本部長が俺に告げた。
んーと、特殊部隊?
「別にいいですけど、特殊部隊って何ですか?」
俺は素直に聞く。
本部長はポケットからハンカチを取り出して額を拭いた。
拭いたそばから汗が出てきてるから意味なくないか…?
「特殊部隊、とはあの…強いモンスターを殲滅する、通常の部隊より強い者が集まる部隊です…」
「強いモンスターというと?」
「ええ、例えば…この間出てきたキマイラやらドラゴンやら…下手したら15柱獣とも戦うことになるかもです…」
15柱獣。
モロ、ケーリ、タナト、ヒュプノ、ネイロ、モース、オイジュ、ゲーラ、エリー、ピロテス、アーパテ、ネメ、アトロ、ラケ、ヘスの15頭のことだ。
そいつらとも相まみえられるということか。
なるほど、面白そうじゃないか。
「メンバーは」
「アシーナさん、ソルドさん、ハオランさん、そしてあなたの4人です…」
本部長は小さくなりながら言った。
ふーん…って4人!?ちょっと待て少なすぎないか!!?
それに、ソルドにハオランて!ソルドはまだいいよ。先生!
「ちょっと少なくないですか?」
俺は外面の冷静さを必死で保ちながら聞く。
「ええ、あの…大変いいにくいのですが、この間のウィヨンで強い人たちが結構お亡くなりになられて…人が…」
ああ、なるほど…
「それはしょうがないですね。わかりました、受けましょう、その話」
俺は、本部長を見据え、大きくうなずいた。




