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二人の姫君  作者: 南雲司
8/20

模索する若者達

[緊縛才能は増大する]

「駄目」木目シャオ。

 ミサイル用小型エンジンの為、無限補給魔石を使いたいと言ったら即答で断られた。コストが嵩みすぎる、鹵獲を赦す機会が大幅に増えかねない、etc.etc.


「だめかー」B。

「水でなければいいかも」C。

「どゆこと?」A。

「油でも回る事は回る」C。

「?」AB。

 水車を油で回すことはしない。

 水素原子を擂り潰してエネルギーを得ているのだ。

 水より効率が悪いし、

 熱で発火して危険だからだ。


「普通にジェットエンジン作れる」C。

「それだ!」AB。


 どつぼに嵌まりまくる三娘。


[性能試験]

「まじかよ、全然揺れないぞ」

 乗っているのはアマーリ。

 学生三人組は車椅子の悪路での走行性能試験をしていた。

「これは、車椅、子と言う、より騎乗ゴーレ、ムになるん、じゃない、か!」

 追い付けずに息を切らしながら、トムオス。

「帰って、階段に、再挑戦、しよう」

 流石はドワーフ、足元の悪さをピョンピョン跳び跳ねながらアマーリに追随するカーシャ。


 帰りはトムオスが乗る事になった。


[手解き]

「そう、そぅっと、優しく、柔らかく…」


 ドロシーは、二人の姫に癒しの魔法の手解きをしている。

 この魔法は、その人柄が強く影響する。

 と言っても苦手だからと言って、

 悪人とか性格が悪いとかはあまり関係なく、

 守銭奴のような治癒使いもいる事はいる。


 概ねお人好しの傾向が強いとは言える。

 が、冷酷な魔女と言われたシャオも、

 割りと優秀な治癒使いであってみれば、

 [人柄]と言う物を一意的に割りきって判断すべきではない

 と言う事だろうか。


「あ、暖かい(あったかい)」患者役のアリス。

「その暖かさが発動している証です」ニッコリとドロシー。


 オルファには治癒魔法の良い素質がある様だ。


[お嫁さんプヨ]

「素材ですか」

 三人娘はプヨの所に来ていた。

「そそ、軽量化用のファイバー素材とエンジンに使える耐熱素材」A。

「素材の専門家と聴いて」B。

「金とダイアモンドも」C。

「それ違うから」AB。


 生憎、岩山と土中から拾い上げたものしかない、とプヨ。

「でも、炭素繊維に硝子繊維、鉄繊維もあるし」A。

「良ければ四つ足人形を一体お貸ししましょう。その場で繊維を封入した方が手間が省けて良いでしょうから」

「まじ!まじ!」B。

「プヨ良いお嫁さんになる」C。


[車椅子]

 速すぎると言う事で車椅子にはリミッターを付けた。転倒した時大怪我をしない為だ。下り坂でも人の歩く速さしか出ない。と言うか、自動で六本足歩行に切り替わる。もう、煩いくらいにカチカチと切り替わる。


「車輪いらなくね?」

 燃費があるからそうも言えないのだが、

 完全に平らな処以外では歩行で進むようにした。

 もう完成で良い様にも思えたが、

 カーシャにはまだ気に入らない処がある様だ。


[カンウー]

 太守は侵攻部隊の長と、奇襲を受けた時の対策に付いて話し合っていた。

「安全を確認して、普段通りの警戒度に落としたと言うのだな」

「左様であります」

「詰まりは、我等が斥候に気付かれぬ様に潜んでいた事になる」

 そうでなければ、策敵した外側から歩哨に気付かれぬ様に接近してきたか。

 何れも、主力であったゴーレムの良くする処ではない。


「転移門かも知れませんね」宰を司る文官が言った。

「ダンジョン領域でなければ開けないのではないか?」

「恐れながら、彼方かほうには、森が付いていると聞き及びます。為らば其れなりの秘技も有るかと」

「ふん、憶測で語るか」鼻白む太守。

「しかし、それなら間尺かんじゃくは合います」部隊長。

「ふむ、その場に居った者がいうなら、聞くべきか、ならばそれを前提に策を立てよ」

 何も、再び小さなダンジョンと事を構えようと言うのではない。至近に有力な武装集団がいるのなら、あらかじめ対策を練るのは領を治める者の務めである。


[策謀]

 目論んでいる全イェードゥの併呑に空軍が動かないのは、拡張派にとって中々に面倒な事だった。制空権がなければ旧式の羽ばたき気球にすら苦しめられた陸軍も動かないからである。

 水軍は先の[反乱]以来航空戦力を削られ僅か一隻の母艦しか認められていない。


 エーアスが事実上退陣した事で、水軍航空隊の増強を認めはしたのだが、形になる迄はまだ時間が掛かる。どうせ掛かるならと、陸軍航空隊が創設される事に為った。しかし、真空圧縮の魔石は空軍が押さえている。水軍だけならまだしも陸軍までは回ってこない。


 カヌーベ討つべし。策謀が動き出した。


[出番まだ?]

 カヌーベがサルーの生存をシャオに聞かされたのは、概ね事が収まってからの事だった。

「此れは困りましたね」

 サルーが生きていたのは嬉しい。だが、都合が悪すぎるのだ。この不安定な時期に不死鳥の如く生き返ったり等したらそれこそ国を二分する争乱に為りかねない。

「暫くダンジョンに籠っていて貰いましょう」


「出番まだ?」

「わうわう」

「ふしゅー」

彼方と書いて、[あちら][かなた][あなた]と主に三つですかね、読み方。本作本話では[かほう]と読ませていますが、辞書に載っているかも分からない、希少な読み方だと思います。古くさい物言いの感じが欲しくて使いました。

上の三つと違って重箱読みかつ一般的ではないですから、間違いだ、と言われても反論はしません。テストなら間違いなく❌が付きますしね。

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