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二人の姫君  作者: 南雲司
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三人娘の憂鬱

あれれ?イバーラクの事まだ書くつもりだったんですけど

書き終わってみたら全然違う話に。

ま、まあ、こう言うことも、あらあな。

[リストラダンジョン]

「この達うちの眷族にならないかな」

 虎治はピッチピチの娘等を視遣って言う。

 ワルキューレの半数を占める[嫁達]以外の娘達についてである。

「だめです。ルームの数が足りません」

 コアはピシャリと言う。

「えー、どうしてさ、こないだ拡張してから大分立つじゃん」

 半年ほど前に拡張して、総数で三百五十になっている。

 [嫁]の数は部屋数より一つ少ない三百四十九人である。


「小さなダンジョンへの援助で魔素が逼迫しています。十部屋、いえこれからの援助分も有りますから二十部屋削除しなければなりません」

「まじで?部屋無くなった達どうするの」

 輪番で部屋を使う事も出来るが、コアの手間が増える。

「解雇ですね」

「ロトーに迷うじゃん却下」

「ではパージですか?」

 パージとは存在を消し去る事だ。

 元々存在していなかったのだから、消し去って資源をリサイクルするのはコアに取っては、どうと言う事も無いのだが、虎治に取っては違う。

「死んじゃうじゃん、もっとダメ」


 結局他のダンジョンに眷族として譲渡する事になった。

「でもさ、いままで毎日イチャイチャしてたんだよね。欲求不満とかならないかな」

「男性が多数いる所でないとだめですね」

「えー、魔素回復したら引き取ろうよ」

「それでは、預かって貰ってるだけですよ。対価をなんで払う積もりですか?」

「……魔素?」

 歪なダンジョンは若いダンジョンだ。湯石処かまだ魔石も出ない。

 何かを召喚するにせよ、DPと言う形で魔素を消費しなければならない。要するに支払うのが魔素しかないのだ。

 虎治は意味が無い事にやっと気付いた。

「それに、このダンジョンだと赤ん坊作れるのは、極一部の嫁だけですから、意外と希望者は多いかも知れませんね」

 嫁一人に付き赤ん坊一人に制限しても流石に多すぎる。


 オアシスは却下だ。男性がサルー一人しかいない。そんな所へ若い娘を送り込んだら、シャオが怖すぎる。レベルが上がって一日五回迄は死に戻りが出来るがそれで足りるか、とても不安だ。

 城は、サスケラがいるから、欲求不満にはならないだろうが、子供は作れない。


 すると、森人の男性ねらいで森か、屈強な男達を百人近く抱えている、小さなダンジョンが有力候補だ。

 コアはその線で希望者を募ってみた。三十二名が手を挙げた。


 虎治は微妙に落ち込んだ。


「なんで君等までいんのさ」虎治

「エルフとか、まじ興味あるしー」三娘ABC。

 処が、若い娘が大量に来るとあって、森人の女性の強い抵抗にあった。何しろ人族から森人に入った最近の女性と言えば、シャオとミーティアなのだ。しかもワルキューレの優秀さはつとに知られている。そんなのに大勢来られては堪らない。


 結局、小さなダンジョン一択となった。


「まじ、マッチョ好みだしー」ABC。

 三馬鹿娘はなんでも良い様だった。

「空軍の任期どうするの?」

「…」しかとする様だ。


[三人娘の憂鬱]

 彼女等(三馬鹿娘)の名誉の為に言って置かねば為るまい。

 綿火薬の提言をして以来、三人娘等は大忙しだった。

 ワルキューレの一員である筈なのに

 空技厰くうぎしょうでこき使われた。

 そんなに詳しいなら頼むわ、とナイスミドルに言われて、

 頑張っちゃった。


 硝酸だけでなく、希硫酸の配分が肝だと気付いてからが大変だった。

 時折発生する硫化水素にわたわたしながら頑張った。

炭パック(黒色火薬の煤煙)って美容にいいかも」

 とか、あり得ない事を口走り始めた頃、

 やや燃焼速度の遅い事で寧ろ優秀な炸薬としての綿火薬が完成した。


 しかし、受難はまだ続く。うっかり優秀で有る事を示したばかりに

 工厰こうしょうでは勿論の事、休暇でダンジョンに

 帰ってからも、コアにこき使われる様になったのであった。


 ポリシーとして勤労よりは怠惰をこよなく愛する三娘達が

 この機会に手を挙げない筈は無かったのである。

「子ども?まじうざいしー」


 本音漏れてますよ。


[歌う姫君]

 アリスは有頂天だった。

 次にヘイアン師が来る時に、同じ年頃の女の子がお泊まりに来ると聴いたばかりなのに、綺麗なお姉さん達が沢山来て膝を付いている。

 歌を歌ってくれと言うのだ。


 楽しくて、

 嬉しくて、

 ついつい声が大きくなる。


 歌が終わったのに誰も動こうとしない。

 不思議に思ってドロシーをみたら、泣いていた。


/だいじょうぶだよ。

/こわいのは、もういないよ。

/さびしかったのは、きのうまで。

/きょうからは、わたしがいるよ。


 ドロシーが抱きついてきた。


 木目シャオは考える。アリスの歌の力は結節点が半ば融合していたからだと思っていたが、どうやら違うようだ。

 相変わらず魔素は広がる。

 と言っても全体に差し障る程でもなく、彼女自身が生み出す魔素の範疇に留まっている事から問題にすべき物でもない。


 これは何なのだろう。

 ギフトの一つでは有るだろうが判然としない。

 まだ暫くいる事になりそうだ。


[エーアス]

 エーアスは獄中にあった。

 元王族と言うのはこの頃には知られていたからか、

 既に不敬罪は廃止されているにも関わらず、

 暴力的な扱いは受けていなかった。

「サルーが生きていればなぁ」

 独り言(ひとりご)ちる、その髪はめっきり白くなっていた。


いい加減三人娘の名前考えないとなぁ。

手遅れ?ABCで足りてるみたいだし、このまま行っちゃおうか。

すでに、モブじゃなくなってるんだけど。

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