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二人の姫君  作者: 南雲司
2/20

友宜の姫君

すんません、頭痛が酷くて、更新どころではありませんでした。まだジクジクしてるんですけど、なんとか書ける分は書きます。

 グル師が復帰する迄、休校と言う分けにもいかず、急遽ヘイアン師の代講となった。師について言えば、空間魔法についてはまるで門外漢である。属性魔法の基礎を浚う事に午前、空間魔法は例のエナジーボルトの実技と自主研究に午後を費やす事にした。

 カーシャ、アマーリは請われて自主研究のリーダーとなった。そう言った事に向いている筈のトムオスは、実技に専念するらしい。体感して初めて理解できる事もあるのだ。

 午前の講義の終わり、アマーリがヘイアン師に訊いた。

「国の喫緊きっきんの事案が有るのでは無いですか」

「将に、この大学がそうなのですよ」

 アマーリは、キーナンが強国になると直感した。


 木目シャオはアリスに、度々歌を請うた。眼を閉じてじっと聴いている。シャオの事だから何も音楽に興味があっての事では無いのだろう。そう思ってドロシーは訊いてみた。

「なにか気になる事でも?」

「アリスの歌は癒される」

 ただ、聴きたかっただけの様だ。


 土塁は高さ三メートル程で直径六メートル程、やや勾配の付いた円筒の上に平べったいドーム状の屋根が掛かったような形をしている。壁の厚みは五十センチ程、その直径と厚みのまま、プヨは繊維構造体を降ろして行っている。吸い上げた元素は、構造体に使える物はそのまま使い、使えない物、主に硫黄だが、は何本ヶ所かに纏め、小型の人形に処理して貰っていた。魔素に対して不活性にするのだ。

 プロシージャもミスをする。ヒトの様に成功こそがマグレか、と言った頻繁ひんぱんな物ではないが、ミスが新たな知見を呼び情報の蓄積の種とも成る事を考えると、穿った見方ではあるが、此れは予めプログラムされた事なのかも知れない。

 真田編み構造を保ったまま、繊維を成長させる。その複雑極まりない作業の中で、うっかりと、柔軟性を増すために水素を混入したケイ素繊維に、処理の終わった硫黄を混入してしまったのである。柔軟性はやや落ちたが、強靭性が増した。ミスから駒が出た。

 以降、プヨは此れを基本構造に取り入れる事にした。作業効率は大幅に改善した。


 公が執務室で退屈な仕事をしていると、ウーシャラークの姫が訪ねてきた。

「どうかしたのかね、オルファ」

「魔法を学びたいのです。少しでもお役に立ちたく」オルファとは友宜ゆうぎを意味するウーシャラーク語で、質に送られる際姫に与えられた名だ。

 公は考える。此れからは大学の教える空間魔法が主流になるだろう。現行の魔法は直ぐに陳腐化する。どうせなら手垢の付かぬ内に空間魔法に触れさせたい。

 だが、大学はさすがに無理である。公の力があれば聴講生として姫を捩じ込む事は出来る。しかし、付いては行けないだろう。中原中の優秀な学生から更に選抜された者達の中で学ぶ事になるのだ。

 学生達の誰かに家庭教師をして貰うか。そう思いかけた処で一つひらめいた。ダンジョンはどうだ?


 グル師は、大きな枕を背に身体をやや起こして、カーシャの話を聴いていた。例のアリスの内部空間への侵入と言う、特殊な形のダンジョンアタックに付いてである。時折質問を飛ばす。分けも分からずシャオに従っていただけと言う思いの強いカーシャには答えられない。

「あー、それは、トムオスかアマーリなら分かるかも知れない」

「ふむ、それなら今度二人を連れてきなさい」

 それから、課業が終わった後、三人の学生とグル師の勉強会が日課となった。


 公の依頼を受けたヘイアン師は、オルファ姫を伴ってダンジョンを訪れた。応対したのは、何時もの如くドロシーである。

「それは構いませんが、毎日転移門を開くのは、いささか負担ですね。いっそ此方に姫様の居室を設けましょう」魔素の収入が安定すれば、実の処、対した負担ではないのだが、森と歪なダンジョンからの支援で漸く運営している現段階では、魔素の消費は幾許いくばくかでは有っても避けたい。

「それは…」言い淀むヘイアン師。

「私はそれで構いません。と言うより望むところです」

 どの道週に一度は、定例で会合する事になる。それに便乗して姫の移動を行うことになった。一週間は公館で、一週間はダンジョンで過ごす事になる。

 その日は準備もある事とて、公館に帰った。


 イバーラクで動きがあった。空軍内での事である。常勝での奢りからか眼に余る行動をする者が増えてきた事もあって、総務部の提言を要れ空軍憲兵部を強化した。その憲兵部がシャオを拘束しようとしたのである。容疑は軍事機密の漏洩。その頃には、シャオがキーナンの大学に論文を送った事は知られていた。

空間魔法に関する物で有った事から、機密の漏洩と断じられたのである。

 しかし、シャオは神樹の森の重鎮でもある。そもそも、憲兵隊に逮捕権があるかも怪しい。憲兵隊と森人の衛兵の間で戦闘になり憲兵隊員数人が死亡した。シャオは神樹のウロに避難し、事の次第を説明する様に空軍に要求した。

「軍は、森と戦争をする積もりなのか」それなら受けて立つ、それが森人だ。


 歪なダンジョンも呼応して動いた。シャオのみならずサルーも拘束され、その場で処刑されたからである。コア、虎治に取ってイバーラクとはシャオとサルーの事である。この二人を敵と見なすなら、イバーラクは敵だ。

 虎治の嫁達のみならず、ワルキューレ全部隊が歪なダンジョンに移動した。

最後のイバーラクの部分はまだまだ後になる筈だったんですけど、いつ書けなくなるか分からないので巻きでいきます。

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