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二人の姫君  作者: 南雲司
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補給

クライマックスに近づきます


[森人軍の連携]

 森人達は小さなダンジョンの新領を含む領域以外での戦闘を、制限されていた。が、軍事行動とは言え、偵察索敵までも防げる物ではない。予め敵の動向を知っておかねば、護れる物も護れないではないか。

 そして、その結果知った情報を同盟国や準同盟勢力に明かすのには、何の不都合もない。


 真空気球[丸太]の鞍手達は、発見したイバーラク軍の動向を逐一前線の人形部隊や[車椅子]部隊に報告していた。そして、人形部隊が把握していたのはイバーラクの動きだけではなく、その打撃力の主力である無限軌道戦車の付与を含む防御魔法も含まれていた。


「射つ前に此れを嵌めて」

 木目シャオが手渡したのは真空魔法解除の魔石で、四つ足人形に嵌めて使う。夕闇に紛れて六体の四つ足は、対空自立ボルトを至近から発射し、六両の戦車を破壊した。


[サスケラ]

「命令した物以外は襲うな、絶対だ!」

 風竜達は不満の声を上げる。

 それでは餌が捕れないではないか。

 狩りが下手に為ってしまう。


「では、命令する。海中のマグロを捕ってこい。必ず持ち帰れ、違反した竜は尻尾を切り取る」


 風竜にマグロとクジラの区別はつかない。

 恐らく漁船とイワシの区別も分からないだろう。

 なので海中と指定する。

 此れで通じないならもうお手上げだ。


 風竜でなくて、高度二万迄上がれる別の眷族を見付けるか、

 でっち上げるかしないとならない。


 まあ、今回の戦はイバーラクが相手だし、出番はないから急ぐこともないか。サスケラに援軍要請は来なかった。尤も、来ても出征る積もりはない。


 敵の兵は故国の民なのだ。


[威風堂々]

 イバーラク斥候部隊は三つ目の村を探索していた。

「此れまでと同じですね。兵糧に成りそうな物は持ち去られています」

「家畜も連れていったのか、居ません」

 小隊長の若い少尉は思う。だから、戦車と跨乗歩兵で先行すれば良かったんだ。お偉いさんが威風堂々とか言い出したお陰で、俺達は空きっ腹だ。

 そのお偉いさんに言わせると、制空権の無い所での突出は危険、虎の子の戦車を消耗したくない。どうやっても勝つのだから被害を最小にすべきだ、となる。


 しかし、折角の快速兵器を歩兵速度に合わせた所以で、本来攻め手側の権利である筈の先手を守り手側に渡してしまっていた。


[着せ替え人形]

 アリスは着せ替え人形になっていた。


 危険度は大分低くなってはいるが、

 陸軍の侵攻方向から言って、カンウー領が落ちれば、

 (小さなダンジョン)の新領に入ってくるだろう。

 万が一を考えると早めに疎開させておくに越した事はない。

 森とキーナンどちらにするか悩ましい処ではあるが、

 まずはキーナンにお世話になる事にした。


 なのでキーナン風の衣装を合わせているのだ。


[デュプリケイトコア]

『サスケラさま、お久し振りにございます』

「おお、デュプリケイトマティではないか、久しいな」

あるじよりドロシーの名を賜って居りますれば…』

「すまんすまん、ドロシーだな、うむ、覚えたぞ。して何の用だ?」

『はい、この度の戦で主の居留を移す事になりまして、付き人としてわたくしも同道いたします』

「ふむ、いやまてそれではダンジョンが手薄にならないか?」

『まこと、御慧眼ごけいがんにごさいます。きましてはデュプリケイトを臨時で構いませんので、一珠ひとたま御都合願えませんでしょうか』

「成る程、相分かった。丁度、物分かりの悪い眷族を二十頭ばかり処分した処だ。一珠の余裕はある。パスを繋げるのでそちらで召喚してくれ」


 二十頭も処分するとは、穏やかではないが、他所様のダンジョンだ。ドロシーには余計な詮索をする趣味はない。パスが繋がったのを確認するとデュプリケイトを召喚した。


[内弟子]

 アマーリはデマイオスに興味を引かれた。そのレポート一面の朱筆の所以ではあったが、退学を覚悟する程の

 赤、赤、赤、

 それを見せびらかし、あろうことか、

「俺は此れを家宝にするぞ」

 と、のたまわったのである。


 訊けばハイマオ師の朱筆であると言う。見せて貰えば、成る程、朱が入る程にぐだぐだな論理だが中々面白い発想をする。

 これは逃しては成らない。そう直感した。

「お前、今日から俺達の勉強会に来いよ、あ、俺アマーリな、アマーリ・チムタカ」

「いや、俺、バイト有るんだけど」

「そんなの、辞めちまえ、丁度グル師の屋敷で内弟子募集中だ、今から行こうぜ」


 グル師はそんな物は募集していない。アマーリの出任せである。

 しかし、グル師は笑って弟子入りを認め、館の住人が一人増えた。


[一両でも]

 朝もやの中、四つ足人形達は散開したまま合流点へと急ぐ。

 遅滞作戦もほぼ限界に達していた。

 辛うじて太守とキーナン軍の展開が間に合ったらしい事を思えば

 成功と言えるのかも知れない。


 しかし、余裕が欲しい。

 イバーラクの最大の脅威である戦車の撃破は十数両に留まる。

 明日に見込まれている両軍主力の衝突迄に

 一両でも多く潰して置きたい。


 その思いで積まれた半ダース程の自立ボルトを運ぶ四つ足達は

 合流点へと急ぐ。


イバーラクの兵站の描写抜けてますね。今更、書いても手遅れなので、あとでこっそり適当な場所に嵌め込むかもでふ

カットバックだとその辺は楽ですね。

なに?手抜きし放題?正解

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