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二人の姫君  作者: 南雲司
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光の蝶

次第にクライマックスへと近づいて行きます。

[グル導師]

 グル導師は大いに車椅子を気に入った。

「もう少し速度はでないか?」

 しかしと言うか、やはりと言うか、そんな事を言い出した。

 安全の為とは言うが、これだけのセーフティーが付いているのなら人の走る速度くらいは出しても良いはずだ。

 アマーリが答える。

「先生、お付きの人の事も考えて下さい。自在に走り回られてはバテてしまいます」

「なにこれに乗っていれば、一人で何でも出来るぞ」

「トイレとかどう為さるお積もりですか」

「ぐっ」流石にトイレ機能はついていない。


 とまれ、導師は漸く教壇に立てる手段を手にいれた。


[アリスとオルファ]

 アリスとオルファは簡単な術式の構築の仕方を学び始めた。

 これまでに学んだちょっとした魔法を組み合わせて

 新たな魔法を使える様にするのだ。

 ドロシーは手本として風魔法で風車を回し、

 コップの水を汲み上げ、

 火魔法で暖めてお湯を出す簡単な術式を作って見せた。


「あったかーい」

 二人はキャッキャッ言いながら、

 暫くその魔法で遊んでいた。


[プヨ]

 繊維構造体は、思ったより早く鉱床を抜けた。

 ここから先は傘状に広げていく。

 少しでも多くの魔素を取り込む為だ。


 同時に直径六メートルのパイプの中に取り込まれている鉱床の中に

 繊維を張り巡らせる。


 出来るだけ

 密に密に密に、

 少しでも多くの硫黄を絡め取って、

 魔素の流れをスムースにする為だ。


 目に見えた成果が出るのは何ヵ月後だろうか。


[騎乗ゴーレム]

 グル師が教鞭を取る様に為ると、[車椅子]の噂は急速に広まった。何日もしない内にヘイアン師が、やって来た。


「これが噂の騎乗ゴーレムですか」

「私らは車椅子と呼んでいます」

「成る程成る程、コードネームと言う分けですな。しかし、素晴らしい。研究したいので魔法省にも、一つ作って頂けませんか」

「作成したのは学生達ですので、訊いてみましょう」

 直ぐにカーシャ達が呼ばれ、色々訊かれた後値段の話に為った。アマーリが代表して答えた。


「試作と言う事で、此れに関しては大したお金は掛かってないのです」

 普通、試作なら倍する費用が掛かる筈、怪訝な顔をするヘイアン師。

「部材やら、特に魔石は、大学や小さなダンジョンから無償の提供を受けていますので」

 ああ、そう言う事か。が、まてよ、小さなダンジョンでは複雑な術式を刻めるだけの魔石は採れなかった筈だ。神樹の森の援助か!

「ふむ、では費用は此方で持ちますのでもう一台お願いします」


 その一台が魔法省に納入された後、息を切らせて大学に飛び込んで来たのは新任の軍務卿だった。


[サルーヤシガ]

「サルーヤシガ」

「シレーヤシガ」

「プテラサルー」

 リュウコが森に近づくと、次々に隠蔽を解いた森人の丸太が現れ口々にチャントを唱えた。

 これ、歓迎されてるんだよな。

 試しに手を挙げてみる。うぉっと。


 突然のどよめきに、思わずリュウコにしがみつく。

「クヮーックヮーッ!」

 リュウコもチャントに合わせて鳴き出した。

「わうわうわう」

 マリーはただ吠えたいだけの様だ。

 ツノウサはと言うと、両の前肢で耳を押さえている。


 丸太空軍のこれでもかと言う護衛を受け、

 サルーは神樹の森に[帰還]した。


[光の蝶]

 アリスとオルファがその日の内に作り出したのは、

 光の鱗粉を散らしながら飛ぶ蝶だった。

 治癒の付与が付いていて、

 届きさえすれば多少の治癒効果がある。

 ドロシーは満面の笑みで誉めた。

 これは良い物だ。


 その様子を見て、木目シャオはコテンと首を傾げた。


[商談]

「騎乗ゴーレムを十両、いや五十両、百両でも、作れるだけ作って頂きたい」

 三人の学生は困惑して顔を見合わせる。魔法省に譲った[車椅子]は、実は小さなダンジョンの人形達に依頼して作って貰ったのでカーシャ達は手を付けていない。学業の妨げになるのだ。

「では、ダンジョンに行けば作って貰えるのだな」


 それは訊いてみないと、いまから行きますか?


 挨拶もそこそこに軍務卿は、ドロシーに商談を切り出した。

「神樹の森とも相談しなければなりません。森の援助物資を転用していますので、魔法省様にはお安く提供できましたが、それだけ大量となればそうも行きませんし、我がダンジョンでは生産力に不安があります」

「やはりか、あれだけの物が金貨一枚で出来る筈はないとは思った」

「神樹の森で作って貰うとして、果たして了承して貰えるのか、金額は如何程になるのか」


 そこへ木目シャオが現れた。

「森での生産は問題ない。値段については資料を検討してからになる」

「では、この次ヘイアン師が来られる時に同道なさいませ。ご返事はその時に」


[付け忘れ(意図的な)]

 軍務卿がかっ飛んで来たのには理由がある。

 魔法省に譲った[車椅子]にはリミッターを付け忘れていた。


 たまたま居合わせた性能試験で、

 軽装の軍馬を軽く引き離したのだ。


 興味をもってヘイアン師に詳しく訊いてみれば、

 なんとそのままでも実戦に投入できるではないか。


 その足で大学に向かった。

 終業に間に合わせるため、走りに走った。


[余白]

「二千文字って短いよねー」A

「うちらの出番無くなったし」B

「楽で良い」C

「言われてみれば」AB


さあて、騎乗ゴーレム[車椅子]をどうやって活躍させるか、実はまだ考えていません。(ぁ

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