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行動派刑事と考察派研究者の異変探求簿  作者: 松房
序章 異変対策チーム
4/4

4話 捕縛

(それにしても、異変の中から現れた人間ねぇ。まぁ、獣の様な耳なんてものが生えてるらしいから、生体実験、もとい、研究の対象になるんだろうが。)

俺が作戦開始位置で待機しながら、そんな複雑な思いに浸っていると、インカムから通信が入った。

『N3・・・対象がそちらへ向かった。そのまま市街地へ向かわぬよう誘導してくれ。』

「・・・了解」

俺はそう呟くと同時に目の前の十字路へ拳銃(ハンドガン)の銃口を向ける。

耳をすませると、左側の通路から物凄い速度で迫って来る足音が聞こえてきた。

(今だ・・・!)

━━パンッ!

そのまま放たれた銃弾は右側の通路中で跳弾し、対象を俺の正面の通路・・・路地の奥の方へ向かわせる事に成功した。

『よし、N3はそのまま私に着いてこい。』

「了解。N1に並走する。」

ちなみに俺の略称となったN3はNo.3の略らしい。

そのまま俺とN1はアホみたいに速い対象の速度に何とか食らいつきながら、時に進路をずらし、仲間と合流しながら、対象を袋小路へ追い込んだ。

「榛原さん。対象を追い込む事に成功。これから捕縛します。」

後ろをみると、N1がリーダーに報告していた。

というか、リーダーの名前聞いてなかったけど、榛原さんって言うのか。

「おい、N2。対象を捕縛する。お前は小さい方を頼む。」

「おうよ・・・嬢ちゃん少しキツイが我慢してくれよ。」

「ЖЙЁЛРМНっ!」

噂には聞いていたが、異変から現れた人の言語は全く理解出来そうにない。

N1と2が対象に動きを封じる捕縛器具を取り付けると、今まで盾越しに事態の収束を眺めていた間宮が突拍子も無く紙とペンを取り出した。

そして、幼い方の対象の前に屈むと、紙に何やら絵を描き始めた。

「・・・N4、余計な事はよせ。」

「いえいえ、これから僕がするのは異変の向こう側の言語学習です。」

そして、そのページを千切り対象へ見せる間宮。

そこに描いてあったのは、林檎の絵だった。

そして、その絵を指さしたと同時に芋けんぴを何本か片手で器用に取り出すと、そのうちの一本を咥えて、咀嚼し、飲み込む。

そして、林檎の絵を再び指差すと、芋けんぴを対象の前に近付けた。

「ЖЙМЁН?」

「なるほど、向こうでは林檎をヴォルブェンって呼ぶのか。」

間宮は一旦膝の上に林檎の絵を置くと、ヴォルブェンとメモり、再度林檎の絵を指さし、聞き返す。

「ヴォルブェン?」

すると、幼い対象は頷く。

「そうか。それじゃあこれをやろう。」

芋けんぴを差し出され口に咥えた幼い対象の幸せそうな笑顔は煌めく様な印象を受けた。

「・・・それじゃあな。」

対象の傍から離れた間宮の表情は暗かった。

研究者だったからこそこれから対象・・・いや、彼女に行われる研究がどの様なものか大方予想がついてしまうのだろう。

俺は間宮に話し掛けた。

「おい、彼女達には一体どんな研究が行われる?」

「・・・元々未知の場所から現れた存在だ。人権なんてものは当てにしない方が良いだろう。度重なる薬物投与や、身体中に検査機器を取り付けてのあらゆる検査。そして、死んでからは、全身解体されてから標本になるだろうな。」

「この仕事受けて後悔したか?」

「正直・・・微妙だ。彼女らもホモ・サピエンスでは無いが、感情や、言語を持っている限りなく人間に近しい知的生命体だ。そういった存在をこんな扱いをして良いのかというのもあるが、かと言って、生物に対しての生体実験が無ければ今の人間社会はここまで発展していないだろう。」

間宮がそこまで言い切った時、護送班が到着した。

対象の身柄が引き渡されて行く。

俺達も帰還しようと思ったその時だった。

「みゃ、みゃみや~っ!」

俺と間宮の会話を聞いて推測し、まだはっきりまでとは発音していないとはいえ、いや、これまで全く発音が違う言語を使っていながら、たったの数回で発音まで身に付けたとは、なんて賢い子だろう。

俺が気付いた時には間宮は俺の隣に居なかった。




是非とも、ブックマークや、評価をして頂けると何となく作者のやる気も増すので、宜しく御願いします。

↓文系剣士と理系魔道士のテンプレ回収記

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