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6 宴

 相変わらず盗賊がごった返す雑然とした雰囲気の中にお頭の姿を発見する。

 相手のステータスは判らなかったが護衛を信じて『アブストラクト』>『鑑定』と念じた。


 自分のステータスを確認すると『鑑定』Lv1の文字が増えていた。無事盗めたみたいだ。

 鑑定を使ってステータスを確認してスキルを窃取しようと盗賊の持つ有益なスキルを物色してみよう。


 するとそこに盗賊がやって来た。


「こっちに来い!!」


 えっ?俺ですか?引きずられながら輪の中心へと引き立てられた。

 これではあの魔法が使えない。


「さぁ、みんなで楽しもうぜ~、へへへへっっ・・、服を脱がせろぉ!今日は御馳走だぞぉ!全員で犯してやれぇ!!」盗賊のお頭が叫んだ。


「俺は男だぁ!!」


「はぁ?何を言ってんだ?どう見ても女だろ!」ニヤニヤしながら強引に革の鎧を剥ぎ取った。


 するとそこには二つの巨大な双丘が存在した。


「は?胸?おっぱい?( ̄ー ̄?)...あれ??? 」素っ頓狂な声が出た。


 なぜ俺に胸が?発達した大胸筋はどこ行った??


 唖然、茫然、愕然としていると盗賊がシャツの上から胸を揉んでいた!


【きゃぁー、嫌ぁーー!!】悲鳴が聞こえた。自分で出していた。なぜ女の様な悲鳴を・・・


 此の侭ではやばい!

 兎に角、逃げる。何とか逃げる。


 しかし殴られ地面に転がされた!


 思いっきり殴られた。体力がほぼ無くなった。な、なんて少ない体力。このままでは死んでしまう。

 護衛とのリンクは切れてるし(ToT)ウゥゥゥ・・・

 此の侭ではハーレムの夢が潰えてしまう。どころかハーレム要員にされてしまう?


「アブストラクトを使うのじゃぁ~!」護衛が叫んだ。


 そ、そうだった。青天の霹靂(へきれき)で思考が止まって完全に忘れていた。


『アブストラクト』>『体力』。念じると目の前の盗賊の体力を吸収した。やった回復した。


 そう思ったのもつかの間、再度殴られた。が、また吸収した。


「服引っ張るなぁ!触るなぁ!」服伸びてるし、胸出てるし。


「ほぉーら、もっと逃げろ、逃げろ!!もっと楽しませろ!ほら、もう半分見えてるぞ!もっと見せろぉ!!ぎゃーっは、はっははは・・・」盗賊大喜び。


 盗賊が煽って、服を引っ張り脱がせようとしてくる。もう半分破れてるし。


「痛い!やめろぉー!殴るなぁ!」盗賊が聞いてくれる訳も無く、更に容赦なく殴りつける。その度に体力を吸収するが、繰り返しだ。


「ほら、下も脱がせろぉ!」


「ズボン引っ張るなぁー、脱がせるなぁ!」パンツを脱がせようとして来る。


 抵抗しても殴られる。体力が無くなるから体力を吸収する。

 体力を吸収して盗賊の体力も減っているはずなのに盗賊は痛くも痒くもない様だ。スキルレベルが低いからだろうか。

 早く逃げないと、逃げて何とかあの魔法を使ってでも盗賊を倒さないと殺されてしまう。

 走った。


「この野郎、逃げるな!」


 蹴られた。盗賊の輪の外側迄ふっ飛んだ!


 やった、ついに盗賊の輪を抜け出た。死にそうだけど・・


「リンクを繋いだ!魔法を使うのじゃ――!!」護衛が叫んだ。


 ステータスを確認した。アクティブになっている!例の魔法も!


 思いっきり叫ぶ。盗賊に聞こえる様に。盗賊に後悔させる様に。殴った事を後悔させてやる。


「 『メテオストライク』!!」


「 待て、待て、待て、待つのじゃ―――!それはデカすぎるのじゃ。こっちまで被害が出るぞぉ―――!!」


 護衛が何か叫んでいるが、最早遅い!如何(どう)しようも無い。


 直後、天より赤く炎に包まれた巨大な岩の塊が幾重(いくえ)にも轟音と共に降り注いだ。

 台地は揺れ続け形を変え、森は数キロ先まで跡形もなく消え、それでも尚、大地を(えぐ)っていった。


 魔法は一分間も続かなかったのかも知れない。

 しかし、魔法はその恐怖によって悠久の様に長く感じさせ、魔法による余震が唸る様に長く尾を引き続いていた。

 寸刻後、眼前に森は存在せずデコボコと抉られ溶けた荒涼とした広大な何もない台地が広がっていた。



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