4 拉致・監禁
兎に角、此の侭では恐ろしい。暗くならない内に出来る限り街へと歩こう。
街に到着したら安全な場所で今後どうするかを考えよう。
そう言えば『ぐるぐる異世界』の存在を余りの状況に焦燥に駆られ忘れていた。
『ぐるぐる異世界』と念じるとスキルが発動され地図が目の前に表示された。縮小と考えると表示範囲が広くなった。中々使い勝手が良い。
すると、現在地より南西の方向に村が表示された。距離にして凡そ10km。
取敢えずその方角に歩こう。
空はまだ明るいが、森の中は既に暗くなり始めている。
音がする度に憂慮してしまう。
木の棒は拾った。
ただ、イノシシなんかが出てきたら棒で殴っても攻撃が効くとは思えない。
恐る恐る歩いてしまい速度が上がらない。
此の侭では、暗くなる前に村には辿り着けないだろう。
急いで歩く。兎に角急ぐ。
暫く歩くと突如視界がぶれ一瞬意識が遠のいた。
目を開けると逆様に木に吊り下げられている、脚を見るとロープが巻き付いていた。どうやら、動物用の罠に捕まってしまったようだ。
すると、そこに明らかに怪しい格好の男三人が登場した、にやけながら。
二人は手には短い剣を持ち、もう一人は槍を持っている。三人とも体格が良く身長180cmはありそうだ。絶対山賊か盗賊の類だろう。
ヤバイ、やばい、完全にヤバイ!!異世界に来て未だ一時間も経ってないのに。さすが幸運18だ。まさに不運。まだ戦えないのに、レベル1なのに、攻撃魔法さえ使えないのに。
弱いのに・・・ (;>_<;)ビェェン
「おーっとぉ、こりゃいい獲物が捕れた。おい、お前ら木から降ろしたらアジトへ連れて行くぞ。」
「いい獲物って、お金持ってません。逃がして下さい(T_T) 」逆さで喉が詰まって声が良く出ない。
「大丈夫だ、安心しろ。お金は持っていなくてもそれ以上のモノ持ってんだろ!」
それ以上のモノ?あ、これか、革の鎧。さすが神様が用意しただけの事はあるな。盗賊も欲しがる革の鎧、これをあげれば助かるかもしれない。
地面に下された後、引き起こされ立たされ手首をロープで逃げないように結ばれ歩かされる。多分、いや確実に、連れていかれるアジトには盗賊のお仲間が沢山いるに違いない。もう逃げられない (;_;)ウウウ。
本当にどうしよう。
盗賊は全員体格が良く力ではかなわないだろう。細マッチョでもレベルが1だし。そもそも細いんだから。
本気で詰みました。試験も受けられそうにないな。ハーレムの夢も潰えそうだ。ハーレムが遠い。
辞世の句は【露と落ち 露と消えにし ハーレムかな 異世界のことも 夢のまた夢】 にして下さい。
― 夏休み終了の日まで後60と2日 ―
夏休が終了する前に人生が終了しそうです。