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3 森

 目が覚めると森の中だった。 そこは風の音も動物の声も聞こえず静寂だけが響いていた。 (いま)だに太陽は高く日暮れ迄には少しは猶予がありそうだった。


 暫くすると風の音が聞こえ始め、次第に色々な音が鳴りだし、遠くの獣の唸り声や遠吠えが風に乗って聞こえて来る。


 明るい内に移動しないと森の中はどんな危険を孕んでいるか分かったもんじゃない。 急いで移動しなければいけないが、その前に現状把握する必要がある。そう、ステータスと装備だけは確認しておきたい。特に魔法は一度練習しないと実際に使う時に使えないかも知れない。殊更、攻撃魔法は必要だろう。それが無いと森を安心して移動できない。夜の森なら尚更だ。


 まずは装備だ。


 薄いグレーの緩めのパンツに上は長袖のベージュっぽいシャツ、その上に茶色い革の鎧を着込んでいる。

 真新しくまだ革の匂いがする。

 そして、足には茶色い革のブーツを履いている。

 紐で締めるタイプだ。

 動き易そうで、此の侭戦えそうだ。

 しかし、剣がない。

 まぁ、魔法が全て使えるのだから木の棒でも持っておくと良いか。


 新しい体は、身長は比較対象が無いから良く判らないが、華奢だが革の鎧の上からでも発達した大胸筋が判る。細マッチョと言うやつだ。

 髪も変わっている。

 薄い金色になっていて腰近くまである。多分、新しい体で好きな髪形に出来るように長髪がデフォルトなのだろう。街に着いたら切って貰おう。どんな髪型にするか楽しみだ。


 髪は後ろに束ねられていた。中途半端な長さだと顔に髪が掛かって邪魔だから、これだと長くても一切邪魔にならなくて良いな。と変なところに感心した。坊主やスキンヘッドにするのでなければ長い髪も便利かもしれないな。


 でも、シャンプーは大変そうだが。


 そう言えば神は弊害って言ってたな、何だろう、ステータス見れば判るだろうか。


『ステータス』と念じると眼前にARの様に眼前にボードが現れ情報が表示された。


 凄まじい内容だった。

 ――――――――――――――――――――――――――――――

 名前 : ターニャ

 職業 : 魔法使い

 レベル: 1

 体力量: 32/32hp

 魔素量: 15/15mp

 ユニークスキル:『ぐるぐる異世界』Lv1『亜空間収納』『アブストラクト』Lv1

 スキル: 『獲得経験値10分の1』『必要経験値10倍』


 物理攻撃力 : 3

 物理防御力 : 3

 敏速    : 5

 魔力    : ∞

 魔法防御  : 8

 幸運    : 18

 スキルポイント:10

 ※ユニークスキルとパッシブスキルにスキルポイントは不要

 ――――――――――――――――――――――――――――――


「はぁー?何だこれ?魔力は無限大だけど魔素量が15?mpって単位か?これじゃ魔法が使えないんじゃないのか?」叫んでしまった。


 木霊(こだま)した。

 これが神が言っていた弊害か。

 魔素が少なすぎて魔法がほぼ使えないみたいだ。

 ほぼ全ての魔法の表示がグレーアウトしている。


「全ての魔法を使えるようにした為にほぼ全ての魔法が使えないなんて詐欺だ!!」


 また叫んでしまった。声が上ずって高くなってしまう。未だ新しい体に慣れてないな。

 詳しくステータスを見ると使える魔法は『ヒール』『ライト』だけ。


 それだけ?


 攻撃魔法は?


 全てグレーアウトしている。


 攻撃魔法が使えない(T_T)。


『ヒール』は魔素が5mp必要みたいだ。


 た、たったの3回?3回しか使えない。


 攻撃魔法が使えず武器も無し?


 これ詰んでる?詰んでるよな?


 しかも幸運が18って、18%だよな。だとしたら幸運と言うより不運だよ。絶対何か悪い事が起こるわ。


 使えるスキルは『ぐるぐる異世界』Lv1に『亜空間収納』『アブストラクト』Lv1。レベル1のスキルはまだ性能が低いんだろう。


『亜空間収納』に注意を向けると一覧が表示された。レベルが無いのはこれ以上性能が良くならないという事だろうか。もし無限収納ならレベルが無いのだろうけど、無限という事は無いだろう。

 一覧には貨幣の表示があった。貨幣価値が良く解らないが金貨が有ったので少なくはないはずだ。『亜空間収納』はスキルポイント無くても使える様だ。

 そう言えば魔法がほぼ使えない事に驚きすぎて名前の件を忘れていたがターニャと表示されていた。タカシだと異世界では変だから愛称でターニャだろうか?ま、悪くはないのか?


 レベルは1で仕方がないが。しかし魔法極振りの影響か、いや影響だろう、ステータスが低すぎる。


 まぁ、最初はこんなものだろう、レベル1だし。


 だけど、直ぐにレベルが上がっていくに違いない、チートな転移者だし。


『ぐるぐる異世界』は元の世界の「グルグル地球」みたいなものだろう。これにもスキルポイントは不要らしい。

 意識を向けると近辺の地図が表示された。


 もうひとつのスキル『アブストラクト』が意味不明だ。

 注意を向けると表示が変わった。どうやらヘルプ機能が有るらしい。

 《体力・魔素等を吸収する》との表示。


「等」が良く解らないが便利そうだ。これもスキルポイントは不要みたいだ。


 話しかけて来るAIが欲しいな。あれば色々教えてくれそうだな。


 そして、これがチート。これですぐにレベルが上がる。

『獲得経験値10分の1』『必要経験値10倍』


 合わせて100倍速く成長する。う~~ん!チートだ!これで楽々ハーレム生活だ!うんチート、チート?


(・・?)


 何だ?違うのか?違うぞ!


 よく見ると100倍成長が遅い!


 10匹倒せばレベルが上がるとしたら1000匹倒さないとレベルが上がらない(T_T)。orz・・・


 もう立ち直れない。


 こ、これかぁ!これが神が言っていた弊害に違いない。


 最早、弊害と言うより災害?と言うより呪い?


 攻撃魔法が使えない。武器がない。成長が遅い。まじで詰んだ。


 どこがちょっとした弊害だ!ちょっとどころか弊害しかないんじゃないのか?


 成長が遅いので攻撃魔法も暫くは使えないだろう。

 早く森を抜け出して街へ行かないといけない。夜が来る前に。でないと死んでしまう。

 そして、街へ行ったら教会で神にこのステータスとスキルを何とかして貰わないと・・・




 ― 夏休み終了まで後60と2日 ―


 ・・・・ハーレムどころか本当に夏休み中に帰れるのだろうか(T_T)・・・・






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