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14 規範定立

 ステータスと唱えてみた。 するとまるで目の前にボードが有るかのように表示された。まるでARだ。


 ――――――――――――――――――――――――――――――

 名前:タチバナユキノ

 性別:女性

 職業:勇者

 レベル:11

 ユニークスキル:『絶対切断』

 スキル    :『剣術』Lv1『詠唱省略』『言語理解』

 魔法適性   :火・水・土・雷・光・聖

 体力量 :221/221

 魔素量 :240/240

 物理攻撃力:20

 物理防御力:18

 敏速 :18

 魔力 :15

 魔法防御力:14

 幸運 :50

 スキルポイント:10

 ※ユニークスキル、パッシブスキルにはスキルポイントは不要

 ――――――――――――――――――――――――――――――

 これってゲームみたいだけど、剣道ばかりやってたから良いのか悪いのか良く分からない。パッシブスキルってなんだ?アクティブもあるのだろうか。どれがパッシブかも分からない。


「ご覧になられましたか。ステータスの詳細は後程伺いますが、ここでは職業とレベルを教えていただけますか。まずは右の手前の方から自己紹介を兼ねて質問もお願いします。」


 メガネを掛けたオタク高校生が立ち上がった。

「僕は赤坂のぼると言います。16歳高校生です。職業は賢者レベルは9となってました。レベルの上限はあるのでしょうか。」


「はい、有ります。レベルは99迄しかありません。ステータスは人類の最高値が(およ)そ200です。スキルレベルの上限は10です。では次の方。」


「俺は田中大輝。二十歳。職業は勇者、レベルは12.大学では剣道をやっていた。そこの橘さんとは彼女が高校生になる頃から知っている、有名だったからね、剣道界では。」


 私はあなた知りませんけど・・・


「質問は魔法と魔術とはどう違うのか教えて貰えるかな。」


 田中君は媚びない、(へつら)わない。多分退きもしないし省みもしないのだろう。このまま世紀末の帝王を目指して欲しいな。

 あの漫画は格闘技好きの私が読んだ数少ない漫画の一つだ。もう読めないのかな・・・


「魔法とは魔素を材料にイメージを魔力で現実のものとするものです。いくら魔素が有っても魔力が無いと魔法を発動することは出来ません。魔素とは、魔法の材料ですね。この世界にはそこら中にあります。空気の様なものです。魔法を使っても暫くすれば回復します。そして魔術とは魔力が足りず魔法を発動できない者の魔力を補うものです。数学に例えるなら、魔術とは方程式の様なもの。頭の良い人は方程式が無くても解ける問題があるとします。その問題を解く能力がない者でも方程式を使えば問題を解くことが出来ます。そのように魔力が足りず、ある魔法を発動できない者も魔術を使えばその魔法を発動できるようになると言う訳です。しかし、魔術は補助的なものであり魔力の底上げに過ぎず、魔力からかけ離れた魔法は発動できません。但し、足りない魔力を補うために人数を集めれば大きな魔法も使えるようになりますが弊害もあります。」


「魔力について詳しく。」イケメンがまた尋ねる。


「魔素を魔法に変える力の事です。魔力が強くないといくら魔素があっても魔法を発動できません。魔力が強ければ効果の高い上級魔法も必要な魔素を使い発動できると言う訳です。また、同じ魔法でも魔力を更に込める事によって効果が上がってきます。」


 一息つく。召喚魔法で疲れているのだろうか、辛そうだ。

 更に話を続ける。


「重要なのは魔法の発動に必要な魔素の量は決まっていますが、その魔法の発動にはその魔素と同量の魔力が必要だという事です。因みに魔素の単位はmpです。つまり、魔素が20mp必要な魔法を発動するためには魔力が20必要だという事です。しかし、体内の魔素量が300mpある場合に魔素を300mp使う魔法を発動しようとしても魔力が20しかないとその魔法を発動することは出来ません。因みに現在人類の魔力の最高値も凡そ200なので300mpの魔素を要する魔法を単独で使える者は存在しません。」


「mpは魔力ではないんですか。」メガネ君が尋ねる。


「mpとは魔素の単位です。魔素量は体内保有可能魔素量を表しています。人は体内に蓄える魔素の量が決まっています。その蓄えられた魔素を使って魔法を発動します。ステータスには魔素の残量も表示されていると思います。」


「空気の様に魔素が有るならそれを使うことは出来ないのですか。」またメガネ君だ、興味津々だ。


「できません。魔法を発動するには希薄過ぎるからです。蓄えて初めて発動可能となります。」


「では、どれくらいで蓄えられるのですか。」更にメガネ君。


「魔素量に準拠します。しかし魔素の吸収力が高い人もいますので蓄える速度は人によって区々(まちまち)です。しかし魔素量、つまり体内保有可能魔素量が多い人は時間がかかります。一般的な能力の人は一晩で保有可能最大魔素量まで回復します。寝ている状態が一番回復が速いですね。勇者様方はまだレベルが低いので暫くは一晩で回復します。では次の方。」


「もう一つ質問良いですか。人数を集めれば大きな魔法が使えるとの事ですが、詳しくお願いします。」メガネ君食い下がるなぁ、さすがは賢者、いやオタク?


「では、集団魔法について。集団魔法はその人数によって魔力が大きくなり、大きな魔法も使える様になります。」


「だから、召喚魔法もできるわけですか。」


「いえ、それは別の方法です。集団魔法は所詮(しょせん)は他人が一緒に魔法を発動するわけですから人数の増加に伴い効率が悪化の一途を辿ります。最大効果を発揮できる人数は10人か11人です。一人だと魔力が全て使えますが、一人の増加につき5%効率が悪化します。一人だと0%の損失、二人だと5%の損失、三人だと10%の損失と言う様に低下していきます。ですので10人と11人の時に魔力は最大となりそれ以上人数が増加しても逆に魔力は低下する事になります。現在人間の魔力の凡その最高値である200で計算すると使用可能な最大魔力は10人と11人の時に1100となる訳です。それ以上の魔力が必要な魔法は今の人類には発動できません。ですから勇者様方には何としてでも200以上の魔力を持てるように努力して頂かなければなりません。」


「別の方法とは何でしょうか。」


「現代では失われたテクノロジー、古代のアーティファクトを使用します。召喚もこれを使用しました。では次の金髪の方。」


 学生服は来ているが頭が金髪の男子が立ち上がった。不良?ハーフ?趣味?しかし、身長が高い180cmは優に超えてる。イケメンも高かったけど更に高いようだ。


「俺は青山ダイヤだ。高校生だ・・・って言うかなんで一緒に飯食ってなきゃいけないんだよ。俺は帰りたいんだ。早く返せよ。ったく何の権利があって俺を拘束する、お前ら警察か!っうっ・・・」


 王女が手をあげると金髪高校生が黙った。魔法だろうか。強制的に黙らされたみたいだ。

 言動から行けば不良が正解なのだろうか。


「では、そちらの女性の方お願いします。」


 私の隣に座った白地に青のチェックの短いスカートの上に白いシャツに赤いリボンの制服の女子高生?が立ち上がった。制服だろうかコスプレだろうか。頭が薄い茶髪だし。しかし、大きすぎだろ!その巨乳。いや、爆乳の域に達しているだろう。男どもは全員顔を見てないぞ。皆がそのデカいのにくぎ付けになっている。絶対私を見るなよ男ども!私の胸を見て失笑しようものなら後で覚えてろよ、私の剣道でコテンパンにしてやる。あ!金髪のヤンキーが見やがった!!おい、口が片方上がってるぞ。失笑しただろ?お前はコテンパンの刑だ。ここは異世界だ、罪刑法定主義などくそくらえだ。罰してやる。訓練が楽しみだ。


「あたしの名前は奥之院彩芽。年齢はピチピチの16歳。魔法が使える様になると聞いて興奮してるんだ。だから勇者でなくって賢者だったから良かった。レベルは12。こんな格好してるけど趣味は読書なんだ。いつかは来てみたかった異世界でかなりワクワクしてるんだ。質問は無いよ。」


 この()も敬語を使わない我が道を行く()らしいな。

 デカいのは胸だけではないらしい。

 お前もこの異世界では頭がプリン確定だな、ざまみろ。


「最後にお願いします。」王女が私を見つめながら言う。睫が長い。どこのコスメ使ってるのだろうか。異世界コスメ?もしかしたら過去に召喚された勇者が化粧品創ってぼろ儲けしているのかも知れないな。


「橘雪乃です。年齢は18歳。今年大学に入学しました。職業は勇者レベルは11.突然の突然の召喚と言う事態に戸惑っています。しかし一刻も早く帰れるように全力を尽くしたい所存です。質問はありません。」


「では、みなさん。最後に何か質問はありませんか。」


「魔族はどこにいるんでしょうか。人類最高値の魔力と先程仰ってましたが、魔族には更に高い魔力があるという事でしょうか。」メガネ君再登場。


「先程も申し上げた通り、魔大陸に魔族の国リサンタット帝国を築いています。そして人間以上に高い魔力を有していますが詳細は不明です。」


「場所はどのあたりですか。」またメガネ。もう止めて。早く部屋へ行きたいよ。王女も顔が辟易してきてるぞ。


「西の方へ大陸を一つ越え二つ目がマー大陸です。」


「それ、魔族が住むから魔大陸でマー大陸とか。」


「ナ、ナンノコトダカ、コトバガヨクワカリマセン。」正解らしい。


「では皆さんステータスの詳細は後ほど部屋へ伺って調査していきます。詳しいステータスの内容は他人には教えないようにしましょう。情報漏れには気を付けてください。」


 一息つく。王女様は今にも倒れそうだ。


「先程も申し上げた通り、世の中には『鑑定』スキルの高レベルを持つ者がいます。その者であれば他人のステータスの詳細まで判るのでそれを妨害するために魔道具をお渡しいたします。これで情報漏洩を防止できます。では、食事を終えたら皆様の個室までご案内いたします。明日は午前10時より隣の会議室で今後の訓練についてのブリーフィングを行います。それまでには朝食を済ませておいてください。因みに時間は過去に来られた勇者様が不便だと言う理由で元の世界と同じように設定してあります。なんでもこの世界はあなた方の世界とは多元世界の別の世界であり、同じ地球でなので同じ時間経過だという事です。1日24時間、1時間は60分、1年は365日です。それではここで失礼します。召喚魔法の影響で魔素枯渇状態で倒れそうですので。」


 そう言うと王女は去って行った。

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