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1 宣告

初投稿です。

気軽な物語です、気軽に読んでください。


 ― 宣告 ―


 お前は選択しなければならない。

 生き返るか、生まれ変わるかを。

 体はもう駄目かも知れないが日頃の行いと早すぎる死に免じて生き返りたいのなら何とかしよう。


 後藤隆、お前はどちらを選択する。


 その言葉に目を開けると白く渺茫(びょうぼう)とした空間が広がり怖気(おじけ)だつ程の澄んだ静寂が辺りを満たしていた。

 目の前には全てが白い老人が空間に溶け込む様に立っている。

 そして、俺に問いかける。

 次第に覚醒していく頭の中で考え始める。



 これは夢か?

 それとも此処は神が居る憧れの異世界へと繋がる空間か。

 詐欺か?

 それにしては壮大過ぎる。

 現実か?なぜ此処に居る。

 何が起こった。

 爺さんは浮いているし詐欺ではないだろう。

 だとしたら夢か?

 それとも、これは現実で俺は死んだのか。


「で、どうするのじゃ。」


 その問い掛けにラノベ好きの俺は「異世界転移でお願いします。」と返答してしまった。


「いや、そんな選択肢は無いのじゃ。」


「異世界転移でお願いします。転生は面倒なので。それと、試験があるので夏休みの間だけ異世界で過ごし、その後、生き返るという事でお願いします。俺の将来を決める大事な最初の試験なんです。」


「我儘じゃな・・・・無理じゃ。」


「嫌です。異世界転移でお願いします。どうか、お願いします。」


「無理じゃ!そんな力はわしにはないぞ。ん?そう言えば、近々、いや、既に始まっているのじゃが、この世界から五人の人間を勇者として此処とは異なる世界に召喚すると言う話がある。あるいは、その世界ならもう一人くらい召喚に紛れ込ませる事も出来るやもしれぬ。待っておれ、その世界の神に聞いてきてやるぞ。」


「あなたは異世界の神ではないのですか。」


「わしはこの世界の神じゃ。」


 そして、神は消えた。


 神は異世界からの召喚は既に始まっていると言っていた。

 だとしたらあれは・・・・


 ― 追憶 ―


 記憶を辿ってみる。

 今年大学に入学した俺は、前期最後の授業が終わり帰宅の為にバス停へと向かっていた。

 現在は親元を離れ一人で暮らしている。

 と言うのも、憧れの同級生がこの大学へ進学する予定だと聞いて大して目標のなかった俺はこの大学への進学を決め試験を受けて見事合格した。

 好きと言うほどの感情も無くただ憧れていただけだったが・・・


 バスは既にバス停に到着し客を乗せ始めていた。


 後50m。


 思いっきり走りやっとバスに乗り込めたんだ。


 するとそこには憧れの同級生が座っていた。


 彼女の名前は橘雪乃。


 美人で皆から好かれカースト上位の高校生活を満喫していた女子だ。

 今年俺と同様にこの大学に入学し、確か剣道部に入部したと聞いた。

 彼女も同じ学部だったが部活が忙しいのかあまり見かけることもない。

 俺なんかが話しかけて嫌がられないかと思いつつも勇気を出して声を掛けた。


「あれ、橘。今日部活休み?珍しいね。」


「明日から学校夏休みでしょ。だから剣道部の合宿があるのよね。これからその為の買出しに行く所。」


「そうか、合宿大変だね。がんばって。」


「ありがとう。」


「あ、後ろの席が空いてるから行くよ。じゃあね。」


「じゃあ、またね。」


 彼女の隣の席は空いていた。

 座っても良いかと聞きたかった。

 でも勇気が出せなかった。

 まさかこれが最後の会話になるかもしれないと分かっていればもう少し勇気が持てたかもしれない。



 最後尾の座席に座り前方の席に座っている橘を見ていた。

 もう少し勇気が出せていたら隣に座れたのに、と少々の後悔を覚えながら彼女を見つめていたんだ。


 バスはバス停を出て暫く進んだ。

 すると、突然、彼女の周りが光始め、直後その光がバスの中全体を覆っていた。


 直ぐに光は消えたが既に橘は居なくなっていた。


 しかし、あまりの光量に光が消えても周りが良く見えなかった。

 その所為かバスの運転手が赤信号を無視して交差点へ突っ込んだんだ。

 直後、凄まじいスキール音が・・・

 音のする方向を見ると他のバスがこのバスに向かって突っ込んで来ていた。

 それを最後に俺は意識を手放した。


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