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2 戦え! エクササイズ! ①

 通っているスポクラの話。入会してしばらくしてから、妙に「集金イベント」が多くなった(笑)。いや、いいんですけどね別に。楽しいので。

 イベントを通じて、挨拶できなかった会員さんと雑談レベルまで交わせるようになったりすると、やっぱりうれしい。

 さて、そんな別枠レッスン。一昨年の夏と暮れ、そして昨年のお正月と夏のライブに挙行した、とある振付(コリオ)がある。三分半程度のポップスに合わせて脚を上げまくりウエストを捻じりまくり、腸腰筋から背筋やら体側(たいそく)、腹筋まで動かしまくる。

 そのレッスンで、いつも前列にいる女の子がいた。

 小さな体をフルに使っていても、ちっともつらそうに見えない。いつも大きな瞳を輝かせて、にこにこしながら動く「あの人」は、いつか自分の憧れの存在にもなっていた。

 昨年の一月のことだ。そのレッスンがあると知り、迷わず申し込んでいた。だって、あの女の子が、とってもラクラク楽しそうに動いていたんだもの。もしかしたら「あの人」と、お話しできるようになれるかもしれない。できたら、いいなあ。

 だが、しかーし(笑)。

 シンプルな動きの組み合わせなんだけど、とんでもなく汗が出る。そして毎度のことながら、他の会員さんたちのようにカッコよく動けない自分。

「こんなヘタクソに話しかけられても、うれしくないだろーなー!」

 そう思って、常時さっさと着替えてイントラだけに挨拶して帰ってましたよ、ええ。

 ある日、スポクラ併設のマッサージ部に行くと。バイト服の「あの人」が、床の拭き掃除をしていた。

 びっくりするばかりだった。まさか憧れの会員さんが、スタッフの一員になっているなんて。一瞬で、わたしの頭の中がバグった。

「あ、あっ」

 思わず失語症になったわたしに、彼女は腰をかがめた姿勢のまま笑いかけてくれた。

「バイトはじめたんですー」

「あっ、そうだったんですね!」

 そんなこんなで、次にスポクラのフロントでお会いしたとき。

「マッサージだけじゃ、なかったんですね」

 そう話しかけたら、彼女は大きな瞳をキラキラと輝かせてくれた。

「イントラを目指してるんです」

「わあ素敵! あのレッスンで、いつも貴女を見てましたよ! 一番きれいだったー」

「本当ですか?」

 にっこにこ彼女。

「うん。いつも楽しそうで、動きもきれいで、とっても羨ましかった。貴女なら、きっといいイントラになれると思うよ」

 ずっと溜めていた思いの丈を赤裸々にぶつけるのは、いいことだと思う。スッキリするよね。特に、こういう賞賛ごとは。お互いが気分よくなれる。

 そんな憧れの会員さんだった人、正式にイントラになってました。がんばってたもんね、よかったよかった。

 彼女から言われた。

「いつもレッスンで、ゆみかさん。がんばってるなって思っていました」

「『このヘタクソ』って」

「違いますよ、お話ししてみたいって思っていたんです。SPレッスンで、よくお見掛けしてました。だからかな、ゆみかさんってKALIのイメージあるかなあ」

 うっひゃあ。

 たとえ世辞でも、うれしくなるじゃないですか。

 ちょうど、ふくらはぎのリンパ節をゴリゴリ押しているときだったんだけど。痛さと恥ずかしさで、あんよバタバタ状態になっちゃった(汗笑)。

 もうねえ。若くて可愛い子がキラキラしていると、それだけで触発されるよね。

 それと思った。

 どんなことにでも、言えるんだろうけどさ。誰も見てないよ、こんな私なんか! なんて、スネて不貞腐れた状態であってもね。コツコツ取り組む姿を見ていてくれる人がいるんだなーって。

 それがさ。鬱々とした不貞腐れモードを超えたときに、見ていてくれた存在が温かい言葉を掛けてくれたりするんだね。

 彼女から、あらためて教わったかな。










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