1 本日の雑談① 誰も得しない自分のための覚え書き
三月ですよ、弥生ですよ。三月、と言葉にすると軽いけれども。今年が丸二ヶ月「あっ」と言う間に過ぎちゃったということですよねえ。
なにかしら文章を書かないとならん、そろそろ読書時間を減らす努力をしたいと思う今日此の頃。
ところで今の自分、実質的に年中無休の業種の職場にいる。土日祝日なにそれうまいの? という世界。なので曜日と日付の感覚が段々となくなりつつある。
それで先日、ちょっと失敗してしまった。大したことではないのだけれど、自分のシフト休日が何曜日かワカラン状態になっていたのだ。
「明日は火曜日! しかも休み! 11時半からジムで○○レッスンがあるよ! 久しぶりなんだし、絶対に出なくちゃ!」
気合いを入れて就寝し、朝もパッチリお目覚め。
いつもダラダラと朝の準備をする自分なんだけど、ちょっと驚いたりなんかして。
「あらー。こんなわたしでも、テキパキ用事を済ませることって出来るのねー。そうだよね、だって今日はアレのレッスンなんだもん! うふっ!」
なんてニヤつきつつ電車に乗ってジムに行く。だって本当に楽しみにしていたんだもん、道々ニヤニヤしていても不思議じゃないよ。対外的には充分に“危ない案件”だろうけどね。
フロントには、なぜか年齢を重ねるごとに若々しく美しくなっていくI女性イントラが。気さくで美しくて、もちろんスタイルも抜群。
「ゆみかさん珍しいね、こんな早くから。今日は休み?」
「はい」
ニコニコしながら会員証とロッカーキーを交換して、お着替えをする。んでレッスン予定のスタジオに入ったところ。
開始時刻になっても、誰も来ない。がらーん。
おかしいな。
ふたたびフロントに行くとIイントラと若い男子Kイントラがいる。
わたし「あのう、今日って火曜日ですよね?」
Iイントラ「え、木曜日ですよ!」
わたし「うっそ」
Kイントラ「思いっきり木曜日です」
わたし「えーん」
イントラふたり「他のレッスンを受けて帰ればいいじゃないですかー」
あのときは本気で世界中が、わたしを騙していると思った。仕方がないから言われた通りにレッスンを受けて帰ったのだが。
しかし、このようなおドジ会員であっても。イントラの皆さまは根気よく、やさしく接してくださるからありがたい。
次のシフト休日も朝から、運動不足解消とばかりに行ったさ。
目当ては腸腰筋ガシガシ動かす一時間と、それとKALI。前エッセイでも時々書いていたけれども、ジークンドーのアレです。FBIでも必須な武道。
はじめて拙エッセイに目を通してくださった方のために、説明しますよ。
そこで教えてくれるKALIは戦闘というよりは、スティックを使ったエクササイズに特化している。打ち合い有と打ち合い無、ふたつ種類があって、わたしが出るのは打ち合い無レッスンばかりなのだけれども。
とはいえコレ。ものっそい体幹を使う。上半身だけではなく下半身にも効く。左右で違う動きをするときもあるので自律神経の調整にもなる。
イントラが言う。
「目の前にいる敵の顔や体をめがけて! 突いたり刺したりするイメージ!」
「敵の武器を、皆さんはこうやって払い落として。なおかつ、スティックの先端を、こう……相手の首に向かって刺すんですよー!」
「ざくざく突く! 突く! そうそう、それから相手の首めがけて払ってー!」
実際、持ったスティックの先端を下方から相手の顎へと突くイメージとかすると。非常にスッキリして、たまらん(打ち合い有レッスンだったら、実際に会員さん同士で打ち合いをするんだけど。わたしは下手っぴなので相手さまが気の毒になってしまう。なので打ち合い有レッスンには出ない/いつまで経っても上達しない理由)。
さて、ぶきっちょ会員のワイ。なんとかレッスン終了。
帰りのフロントには、ほのぼの男性イントラまっしーがいる。ちな、わたしが今している天然石ブレスは、まっしーイントラから教えてもらったところで購入したものだ。
「ゆみかさん、おつかれさまでしたー」
にこにこしながら会員証を出してくれるので、こちらもロッカーの鍵を渡す。そうしながら、尋ねてみたことがあった。
「あ、そうだ。来月からのイベントなんですけど、申込みは済ませたんですが、わたしの担当イントラって誰ですか?」
「ああ、まだ決めてなかったんですか?」
「ええ。申込みはしたけど事前のカウンセリングシートを出していないからかも、なんですけど」
「選べますよ」にっこにこ。
そうだ。そのイベント参加する会員は、自分担当するイントラを選べるのだった。
「え、あ、ああー。(今ここで、まっしーさんを)選んでいいんですか」
「はいはい」めっちゃ笑顔。この人、こういうところ憎めないんだよねー。
何日か前にジム併設・マッサージ部で「え、わたしの担当って誰だろう。もう某イントラのパパでいいや。それかIさん」と言ってた舌の根も乾かぬうちに、女心はプイッと翻るんである。あはは。
まっしーは数字に弱い。んで時々、一生懸命すぎて失敗もするけど。どんな会員に対しても親切丁寧であろうとする。そういうところが会員たちに非常に人気があるヒトである。
「え、でも。女性会員が男性イントラ指名していいんですか」
「いいんですよー」
「じゃ、じゃあ。まっしーさんで」
「わあ、よろしくお願いしますー」
「あっあっ。ここここちらこそです」いきなりドモるわたし。
「こちらこそでーす」にっこにこにこ。
「でもね? 担当って、どんなことするんですかね?」
「質問の窓口とかね」
「んー、そうなんだー」
考えてみれば、ワイがリラックスして会話できるイントラって貴重だと思うわ。二年経っていても緊張しちゃう人がいるしね、マジで。
「ゆみかさんは真面目だから、大丈夫」
「えー。真面目じゃないですよぅ、いつまで経っても、他の人みたいにサクサク綺麗に動けないもん」
「でも真面目に取り組んでますよ?」
「あー、あのですねえ。真面目にしたくないのに、なんか。いつのまにか真面目になっちゃうんですよねえ」
「わはははははh」
マジまんじ思いっきり笑われた。……しかし「マジまんじ」って、どういうときに用いるのが適切なのだろう。今の若い人の言語センスを見習いたい。
あたし、顔を赤くしつつ言いました。
「あはは、生意気は言いませんから」
「ははは。言うこと聞いてください」即答かよオイ。
「でも、サイズチェックが嫌だなー」
などと言われたそばから、文句や愚痴の類いを垂れるワイである。で、帰宅してからイベント参加者必須の提出用紙に記入しようと思ったのさ。
しかし、ある箇所で。
「あれっ、なんて書いたらいいのかな」
そのまま固まって、ちょっと悩んだ。
「じゃあ次に行ったときに、イントラさんに聞いたらいいか」
そしたら今だに緊張する某イントラしかいない。
若くて上手な女子ばかりのレッスン終わったせいか非常に、にこやかな彼。さっきまでKALIレッスンで、グイグイ激しい動きで、長い脚をアップダウンさせていた。ほんっと、あの人って生身の人間なのかしら。全身を激しく動かすエクサ、三コマくらい続けて担当したりするしさ。
珍しく、あっちの方から笑顔で話しかけてきた。
「ちゃんと振れてましたよー」
スティックを正しく、しかも大きく振れていたという意味だろう。しかし某さんが満面の笑顔で! 珍しい! などと思った私は、途端にドモった。
「あ、あー。ほっ本当ですか! うれしい!」
「ホントですよーぅ」
全身バネ人間の男ッ前が、ニッコニコするわけ。高身長で身体能力抜群なわけ。で、疲れているときはモロに若い人にだけ、やさしい。
あ、今。聞いちゃおうかな。
「あのーイベントに出すカウンセリングシートなんですけど」
「はい」
「『間食は一日何回ありますか』という質問。あれで悩んじゃって」
「ええ」
「ほとんど間食しないんですけど。仕事中に」
「はいはい」
「大量に、のど飴だけは舐めます」
「ああ、いいですよ。別にー」
にこやかに会話を交わしていると、他の先輩女性会員が二人加わってきた。
ひとりの会員さんが、私に話しかけてくる。
「仕事って、なにしてるのー」
「一日中、電話かけまくり」
「ああ、それじゃあ。のど飴は必要だね」
「でしょう? もうね『おやつにバナナは入りますか』みたく、考えこんじゃった」
「あはは」
すると、某イントラ。真向かいにいた、もうひとりの会員さんに「本当は辞めた方がいいんですけどねー」とか言ってる。
私はキッとなって、そっちを向いた。
「龍角散なんですけど!」
某イントラと先輩会員さんたち
「だったら間食のうちには入りませんよー!」
だって。ホンマか、きみたち。安心して龍角散のど飴を舐めまくるぞ、お姐さんは。
教訓。おそらく、アレは間食のうちに入らない。たぶんね(いまいち確信が持てないです)。