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姉妹の愚痴〜心身障害者への理解を〜  作者: 七宝しゃこ
もう疲れた、もう眠りたい、もう諦めたい
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うわぁ……点滴だって……。

土曜日から少しおかしいなぁと思っていた。

しかし、月曜日まで我慢すれば大丈夫だろうと思っていたのだが、日曜日になると口に何かを入れると吐き、そして、急にお腹がキリキリ痛み出した。

慌ててトイレに駆け込むと、水のような液体が出た。

それから数度トイレに駆け込み、これはダメだと、落ち着くまでトイレに滞在。

本当はカイロは寝る時には低温やけどの危険があるのでダメだが、毛布に貼り付けて横になった。


翌日も同じ症状だったので外科の病院に行き、その後、心療内科に向かう。

そして、受付でお願いしベッドで休ませて貰っていると、吐き気がし慌ててトイレに駆け込み、吐くものがないので胃液を吐いた。

口をゆすぎ、お腹もぐるぐるとするし、トイレと往復していると診察になり、


「ちょっと、酷い嘔吐と下痢です。食べると吐くし……でも、水もあまり……」

「ストレス性の症状と脱水症状もあるね。点滴する?」

「えっ。点滴出来ますか?」


もしダメなら、もう一つの内科に行ってお願いしようと思っていたのだ。


「また別ってしんどいでしょう。ここで休んでなさい」


ありがたいと心の中で手を合わせる。

点滴をする。

注射は嫌いだが、体が良くなれば嬉しい。

嘔吐と下痢は本当に体力を消耗するのだ。


たった30分の点滴……。

でも、孤独感というより、自分への失望感を覚え、片腕で探り、持ち歩いているテディベアを抱く。

ダメなのだ。

もういい年をしているのに……行方不明のライオンのぬいぐるみを探し疲れ、テディベアを抱く。

涙がにじむ。

自分の弱さ……自分への怒り……情けないと思う気持ち……。


それに、自分の甘え……甘え方が解らない。

甘えられるのに慣れていて、自分が解らない。

どこまで言っていいのか……。

親や親族は、一言目に、


「わがまま言うな!」

「お姉ちゃんやろ?我慢しなさい!」


と言った。

それ以上言うと、手首を掴んだり、頬を叩かれる。


あぁ、ダメだ……これ以上考えると、自分の心が壊れる。


気持ちを落ち着かせようと、点滴の、液が落ちるところを見ていた。

安定したように落ちる液が自分の中に入っていく……辛い思い……凍りついた部分が溶けてくれればいい。


上の袋の液がなくなり、看護師さんに針を抜いてもらうと、すぐに身体を起こせなかった。


「ゆっくりでいいですよ?しばらく、休んでください」


そう言われ、無理に起きるのはやめ、血が止まったのを確認し、そろそろと動く。

そして、会計のところに行くとすぐに薬を出してもらえた。


リュックに薬を入れ、帰りながら、自分がもっと強くなりたいと思った。

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