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姉妹の愚痴〜心身障害者への理解を〜  作者: 七宝しゃこ
もう疲れた、もう眠りたい、もう諦めたい
132/134

妹がパートを辞めるという。

 何で私に最初に許可を取るのか……妹がパニック障害と不安神経症を隠し、コンビニのバイトをしていたものの、完璧主義で前職がスーパーのレジ担当の副主任だったこともあり、勝手の違う仕事に、疲れ果て辞めたいと言い出した。

 その前に、私は妹に、生活保護は辞めるな、実家から独立しなさいと言っていたのに、


「姉ちゃんには私の気持ちはわからん!姉ちゃんは何でもできる。頭もいいし勘も鋭いし、1言われたら全部理解できる。そんな姉ちゃんには私の寂しさはわからん!大嫌いや!」


と実家に戻り、一年フラフラと無職の引きこもりをし、ようやく4月に始めたばかりだった。


 やっぱり……と頭を抱える。

 妹は1か10でしか考えない頑固さを持っている。

 私も似ているが、真っ直ぐな道がなくても突き進む妹と、私は平静の場合は道が二つあれば考え込むことにしている。

 それに、もうこれは妹の決定事項で、すでに会社に言ってしまったのだろう。


 その晩、父から電話がかかり、


「おい、お前がけしかけたんか?」


と言われカッとなった。


「何いよんよ。本人が辞めるって言って来たんよ。それに、文句を言うなら、生活保護をやめさせて実家に戻らせた父さんや母さんが悪い!仕事もないのに辞めるように育てたんはうちじゃない!全部うちの責任にするな!」

「頼むけん、ひなを止めてくれや」

「何でうちが。うちを家から、追い出したんは父さんらやん。金返せ」

「そればっかり言うな!守銭奴!」


 父に怒鳴られ、普段なら萎縮するが、怒鳴りかえした。


「借金を私に押し付けといて、追い出したんはみんなやん。今は中古でも一戸建て。一括払いで購入して、幸せに暮らしとるんやろ?今更戻れって何なん。病人で五つも病院に通っとる娘に何させるん?」

「……」

「それに、ひなが頑固やけど集中力がなくて、読書とアニメオタク、ゲームオタクで一歩間違ったら引きこもりって解っとったやん。でも、帰ってこいって言ったんは父さんたちやん。うちは帰るな、自分で頑張れと言うた。でも、ひながうちに『姉ちゃんには私の気持ちはわからん!』言うたんや。これ以上関わりたくないわ」

「お前も戻りたいなら……」

「誰がやねん。うちは帰るんなら320万円、耳揃えて返してもらう。あれは母さんに貸したんや。母さんが返さん限り帰らん。それに自分の子供の育て方間違ったのに、代わりに面倒見とった長女に文句言うの辞めてくれん?もう縁切るで?」


 電話を切り、電源を落とす。




 うちの家族は、未だに弟妹を幼い子供だと思っているのか……私のことを何だと思っているのか……。

 堪えきれず涙が出て止まらなかった。

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