雨は土砂降りじゃなくていいんだよ?
雨が降らないなぁ……また渇水?
嫌だなぁ。
私の街は一昨年も取水制限される程、ダムが小さい。
今年もすでに取水制限が昨日された。
それまでに降った雨が少なすぎたからである。
しかし、今日は待望の雨〜と思っていたら、土砂降りになった後、昼はムシムシして湿気が80%を超えた。
ジリジリ暑いのも辛いが、ムシムシは私の病気が悪化するので嫌だ……。
ぼやいた私は、お風呂に入る。
あせもや湿疹は、汗腺を広げ、汗や、詰まった汚れを流すことが良いのだ。
今日は部屋の大掃除をした。
そうすると、仕舞っていなかった布団にトレーナー、セーターと出てきて、掃除をしない娘の家に2年ぶりに足を踏み込んだ父に激怒され、ゴミと段ボールを分けてくれた。
そして、
「またお前は……ぬいぐるみが増えとろが!」
「そ、そんなことないもん!」
ドキッ!
としつつ素知らぬふりをする。
「前は、こがいな布団の根際に、置いとらんかった!」
又、捨てぇって言われる……とビクビクしていた私に、
「まぁ、カビとかホコリとか注意せぇよ?昔は布団一杯にぬいぐるみ寝かして、自分は隅で寝ころがっとったろが?」
「だ、大丈夫だもん!」
「それより何ぞ?このダンボール。ガムテープベタベタやが……」
「それは図鑑が入っとった。で、こっちはベビーシャンプー、ソープ、ボディミルク、麦茶他」
父は呆れる。
懸賞マニアな娘で悪かったね。である。
「それより、この、紙吹雪みたいな布は?」
「あぁ、この『つまみ細工』の花びらになるの。今作ってるから捨てんとって」
「お前は……その、ものが捨てれん性格が、病気悪化させとんぞ、分かっとんのか?」
『つまみ細工』とは、良く七五三の子供さんの髪飾りや、和風ポーチの飾り、普段使いのカチューシャの飾りにかんざしにと使われる花飾りで、ちりめん布や着物の余り布でも作られている。
基本は、縦横約2センチ弱の布を、指とピンセットで三角形に3回たたみ、接着、そして、円形の土台に貼り付ける。
その時に、尖ったままか、丸みを帯びさせるかはその時の気分である。
例えば菊だったら尖らせ、椿や桜、梅、桃なら丸く……。
沢山作ったので、バレッタに飾ってみようと思っているのだが……。
「お前は、全く落ち着きがないのぉ……誰に似たんぞ」
「一応、父さん」
「それが困るんだろうが!」
「母さんに似なくてよかった……」
「……まぁ、お前は助けてくれも言わん、余計に心配や」
仕分けして引き出しに収めている、四種類の透明の袋の束を見てため息をつく。
私は私で、父の病気が心配である。
「良く似た親子だねぇ……」
「わしが死んだらどうするんぞ」
「実家には戻らん。お父さんの遺産は、キーとひなが継いだらいい。放棄するし」
「距離を置くのはやめぇや……兄妹が可哀想やろが」
「……」
父を見て、昔より痩せた体に、羨ましいと思う。
父はストレスで一時期80キロあったが、現在は52キロである。
私も痩せたいものである。
でも、父は歳をとったなぁ……ちなみに昨日、2019/06/29が誕生日だった。
「誕生日おめでとう。100歳まで頑張れ。ひ孫、玄孫見ないとね」
「……お前もな」
父を見送ると、
「うちはそんなに長生きしたないわ……」
と扉を閉じた。