噂話 参
噂話 参
ねえ、こんな噂話知ってる?
あの山の上に在る高校の話しらしいんだけどさ。
あそこの高校ができる前って別の学校が建っていたらしいの。
だけど、その学校は戦争の時にボロボロになっちゃって、あの高校が新しく作られたらしいんだけど、あそこの高校には……出るんだって。
何が出るって?
出るって言ったらあれしかないでしょ。
……幽霊よ。
どんな幽霊がでるかと言うと、そこが別の学校だった頃に通っていた女の子の幽霊だって。
その子は通り魔に両目を刳り抜かれて、両目が見えなくなっちゃたらしいけど、どうにか学校には通い続けたんだって。
不幸な彼女だけど、更に不幸な事は下校の時に起きたんだって。
目が見えなかった彼女は、崖みたいに切り立った斜面が目の前に在る事に気が付かないで、そのままそこに落っこちてしまったの。
そして、その事故で死んじゃったんだって。
その時に彼女はこう、呟いたんだって。
〝見えていたくせに〟
周りのみんなは目が見えていたのに、なんで私の事を助けてくれなかったの?
そんな、悲痛な言葉を残して死んでいったの。
そして、その事件が忘れられ始めた頃に、幽霊が出るようになったの。
誰も居なくなった暗い学校の中で。
無念を晴らす為に誰かに見つけて貰う為に、漂い始めた。
当時の制服のセーラー服姿で、ずっと同じことを繰り返すの。
崖があった所に向けて歩きだす。
誰かに止めて貰えるまでずっと繰り返すの。
その姿を見つけて、目が合ってしまったら必ず、止めてあげないといけないの。
それじゃあ、止めなかったらどうなどうなるって?
もしも、彼女と目が合ったのに無視をしてしまうと、殺されてしまうの。
目が見えていたのに、助けてくれなかったと。
気が付いていたのに、助けてくれなかったと。
その恨みを込めて、目を刳りぬいてから殺してしまうの。
けれど、一つだけ助かる手段があるの。
彼女に殺されてしまう前に、その山の何処かにある石碑の元に向かうの。
幾つもの積み石に囲まれたその場所にで、彼女が現れるまで待つの。
そして、彼女が現れると、そこにある積み石が崩れ鬼の手が、彼女を賽ノ河原に連れ戻すの。
早く死んで親を苦しめた罰を与える為に、賽ノ河原で永遠と積み石をさせる為に。
彼女の魂を連れ戻すの。
そして、この話で怖い事がもう一つあって。
この恨みは伝染するの。
見えていたのに何もしてくれなかった恨みを込めて。
彼女の魂がそうさせるの。
…………




